札幌市　ヤングケアラー支援研修　話を聞いてほしかった　元当事者・藤田氏が体験談

（札幌市 2024-11-21付）

　札幌市子ども未来局は１１月上旬、札幌エルプラザで６年度ヤングケアラー支援研修（基礎編研修）を開催した。教育、福祉、医療関係者ら約１７０人が参加。元ヤングケアラーの藤田大さんが登壇し「誰かに話を聞いてほしかったのかもしれない」と当時を振り返った。

　市では、札幌ヤングケアラーｎｅｔを設置し、来所や電話、ラインなどで相談を受け付けている。このほか、当事者の居場所づくりとしてヤングケアラー交流サロンを開設するなど、ヤングケアラー支援に関する様々な取組を進めている。

　本年度の支援研修は、基礎編と実践編の２回に分けて実施。実践編は１２月１０、１１日の２日間、市内のかでる２・７で行う。

　基礎編研修でははじめに、市子ども未来局の引地志保子どものくらし・若者支援担当課長が市内の状況や支援のポイントなどを説明。

　支援に当たっては「“あなたのことを気にかけている、心配している”というメッセージを発し続けて」と呼びかけた。

　続いて「ケアをしていた当時から、いままでのこと」と題してトークセッションを実施。元ヤングケアラーの藤田さんが登壇した。

　藤田さんは、小学校入学前に父親が脳卒中で倒れ、着替えなどのサポートをするようになった。小学校中学年ごろから本格的に自宅での介護が始まり、学校を休むことが増えたという。６年生の時に父親をみとったが、その後、母親が精神的に不安定となり、家事などを行うようになった。

　貧困などが重なり、当時は「２４時間気を張っていた」と振り返る。部活動に打ち込むことで、精神を保っていたと伝えた。

　司会者から「当時、してほしかったことはあるか」と問われると「誰かに話を聞いてほしかったのかもしれない」と吐露。「そうすることで、自分の中のモヤモヤを発散できたのかな」と話した。

　支援に当たっては「何かしてあげよう、しなきゃいけないと思っている人には、かえって警戒されてしまう。まずは受け止めてほしい」と強調。「（すぐに解決しようとせず）まずは人と関わるところから始めることが大事」と伝えた。

(札幌市 2024-11-21付)