7年度全国学力・学習状況調査 文科省が実施要領決定 不登校の子 自宅から参加可(国 2024-12-25付)
文部科学省は24日、7年度全国学力・学習状況調査の実施要領を決定し、全国の教育委員会に周知した。オンラインによるCBT形式で実施する中学校理科調査は4月14~17日のいずれか1日に設定。不登校や病気療養中の生徒も参加できるよう、CBT調査を後日に実施する場合は自宅、病院、適応指導教室など学校外での実施を可能とした。
7年度は教科に関する調査を国語、算数・数学、理科で実施。このうち中学校の理科と児童生徒・学校質問調査をオンライン形式で実施する。
中学校理科を除く紙による教科調査の基準日は7年4月17日。初の全面CBT形式で実施する中学校理科と生徒質問調査は4月14~17日のいずれか1日とし、操作に慣れるため生徒質問調査、中学校理科の順に実施する。
小学校の児童質問調査は4月18~30日、学校質問調査は4月1~17日のいずれか1日でオンラインで実施する。
調査を実施できない事情のある学校や、トラブル・欠席で調査を実施できなかった児童生徒向けの「後日実施」の期間は4月18~30日に設定。CBTによる中学校理科や児童生徒質問調査を後日に実施する場合、自宅、病院、適応指導教室など学校外での実施を可能とした。これまでは調査用紙の厳重な管理が必要なため実施が困難だったがCBT導入を契機に参加機会の拡大を図る考え。
中学校の理科調査では生徒ごとに異なる問題を割り当てるIRT(項目反応理論)を導入。学習指導要領の各領域からこれまで以上に多くの問題を出題する仕組みとする。
国立教育政策研究所のウェブページでは理科のCBT問題のサンプルを公開しており、元素記号を直接入力する問題、図を移動させて化学変化のモデルを作成する問題など端末から回答するイメージを把握することができる。特別な配慮を必要とする生徒のための拡大文字やルビ振りに対応した問題は7年1月に公開する。
質問調査は児童生徒70項目、学校80項目程度を予定。新たに不登校児童生徒、特別な配慮を必要とする児童生徒、外国人児童生徒等の分析を進める項目を設けるほか、各教科の得意・苦手に関する意識や興味・関心の男女差について分析する項目を追加する。
調査実施年であることから特に理科の学習への興味・関心、授業の理解度、学習活動に関する項目の充実を図る。コミュニティ・スクール(CS)導入20年の節目を迎え、CSや地域学校協働活動に関する項目も充実させる。主体的・対話的で深い学びの視点による授業改善に関する項目は継続する。
全体の傾向を把握するため、中学校の生徒質問調査において新たに「ランダム方式」を試行導入。調査の一部において同一カテゴリーの質問項目群から無作為に選ばれた一部の項目を質問するもので、3、4項目程度を予定している。
23日の全国学力調査専門家会議では、調査結果の取り扱い検討ワーキンググループの設置を決定した。学力調査の公表の在り方やCBT・IRTを最大限活用する提供内容を審議する。7年1、2月ごろに1回目の開催を予定している。
全国知事会が実施したアンケート(11月26日付1面既報)では都道府県別の結果を文科省が公表する従来の方法に否定的な回答もあったことから、都道府県・指定都市別による従来の公表方法の在り方を検討する。
また、9年度からCBT調査に全面的に移行する予定であることから、児童生徒により細やかに分かる形での結果の示し方も検討する。
7年度調査の公表時期は前年度と同様に7月末ごろを予定。ワーキンググループで公表の在り方等に関する審議内容がまとまった場合、7年度調査から可能な範囲で適用するが、間に合わなければ8年度調査からの適用となる見通し。
(国 2024-12-25付)
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