スポーツ庁 部活動改革実行会議 中間まとめ 大筋で合意 「地域展開」に改称 期間延長へ
(国 2024-12-12付)

 スポーツ庁は10日、地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議の第2回会合を開いた。地域全体で支える観点から部活動の地域移行を「地域展開」に改称するほか、8年度以降を次期改革推進期間に位置付ける中間取りまとめ案に大筋で合意した。近く文部科学大臣に取りまとめを手交し、7年1月から個別課題への協議を開始。7年春ごろに最終取りまとめを決定する。

 中間まとめでは改革の理念を「急激な少子化が進む中でも、将来にわたり継続的にスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保・充実する」と明記。地理的要因や障がいの有無にかかわらず、生徒たちが希望する活動を主体的に選択できる環境を整備するとした。

 部活動を地域に開き、地域全体で支えるコンセプトから、地域移行の名称を「地域展開」に変更。生徒のニーズに応じた多様な体験の提供、地域の様々な人や幅広い世代との交流など、新たな価値の創出を目指す。部活動指導員の配置や合同部活動などの「地域連携」は従来どおりとする。

 次期改革期間は前期8~10年度、後期11~13年度の計6年間に設定。休日の部活動の地域展開は原則13年度までに全部活動で達成することを目指す。平日の部活動に関しては、次期改革推進期間で課題への対応策を検証。10年度の中間評価で課題を検証した上であらためて方針を定める。

 会議には25人の委員が出席し、取りまとめ案を審議。地域移行の改称に関しては「“学校から切り離す”という表現ではない“地域展開”がちょうど良い」「部活動から脱却し、新しい形を創るという意味で取り組みやすくなる」などと賛意を示した。

 少子化の進行を見据え、未来の子どもたちのためにも早急にスポーツ・文化芸術環境を整備する必要があるとし「今の部活動がこのまま残ることが考えられない地域は全国に多く、今のうちに環境を整備する必要がある」「離島・中山間地域であるほど新しい形を考える必要がある。“地域連携”と“地域展開”の言葉の使い分けを明確にし、目指すものは地域展開であることを共通として考えていかなければならない」などと意見した。

 平日を含む地域展開の実現に当たっては、生徒の移動や指導者報酬に多額の費用を要することから、今後の負担分配を明確にするよう提案。「国、都道府県、市区町村そして保護者のバランスをどうするかが今後一番大きな議論になるのではないか」とした。

 地域展開に多くの関係者が関わることで、事故・事件発生時における責任の所在が曖昧になることも懸念。「人命に関わる事故があった場合、責任の所在は指導員なのか、施設の提供者なのかを明確にする必要がある」とし、スポーツ庁からは状況に応じた対処方法について検討を進めていく考えを示した。

(国 2024-12-12付)

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