こども家庭庁 6年度補正予算案 保育士人件費 10・7%に引上げ 児童虐待防止措置を前倒し
(国 2024-12-04付)

 こども家庭庁は、総額4335億円に上る6年度補正予算案を公表した。保育士等の抜本的な処遇改善に1150億円を充て、人件費の改定率を過去最高となる10・7%に引き上げる。また、8年度末までにこども家庭センターを全市町村に設置するなど、児童虐待防止に必要な措置を前倒しして実施する。

 柱には①「こどもまんなか」のバージョンアップ②地域の若者の将来設計の可能性の最大化③未来を担うこどものための質の高い成育環境の提供④すべてのこどもの幸せを守り抜く―の4点を据えた。

 ①では「こどもまんなか社会」の実現に向けて、子どもと子育てに優しい社会へと意識・行動改革を進める「こどもまんなかアクション」の推進に6億7000万円、子ども・若者視点の現場主義の強化に6億8000万円を計上。こども家庭庁におけるデータや合理的根拠に基づく手法「EBPM」を一層強化するなど、これまでの取組をさらに推進する。

 具体的には、各府省庁の審議会等の委員に、子ども・若者を一定割合登用する取組を開始し、子ども・若者の意見、現場の声の政策反映を強化。子育て支援等の現場に足を運び、現場の問題意識・課題を政策につなげる取組を進める。

 ②では、結婚する前の若者のライフデザインの支援に取り組むとともに、産後ケアなど、地域で安心して妊娠・出産できる環境整備に46億円を措置。放課後児童クラブの強化などに22億円を充て、誰でも無理なく子育てができる社会への転換などの施策を拡充する。

 ③では、保育士等の処遇の抜本的な改善に1150億円を計上。人件費の改定率を過去最高となる10・7%に引き上げ、現状からの脱却を図る。保育所等の整備にかかる交付金の拡充や質の高い保育の持続的な確保、性暴力や災害等から子どもたちを守る安心安全の確保に取り組む。

 ④では、生命を脅かす病気を持つ子どもとその家族の安らぎの場となる施設・取組「こどもホスピス」の支援を開始。地域で取組を行う民間団体を自治体が支援するモデル事業を行う。

 また、児童虐待防止に必要な措置の前倒しも検討。8年度末までにこども家庭センターを全市町村へ設置を目指して相談・研修等の支援機能を強化する。

 全国の警察署等に児童相談所と直結した端末を整備。児相・警察間でリスク情報をリアルタイムで共有する体制を整備する。

(国 2024-12-04付)

その他の記事( 国)

文科省が補正予算案を公表 体育館冷房整備に779億円 交付金新設 10年で95%に

 文部科学省は総額9067億円に上る6年度補正予算案を公表した。教育DXの推進、不登校・いじめ対策、学校施設の整備などを重点に予算案を編成。生成AI利活用の実証研究や、保護者対応を外部に委託...

(2024-12-03)  全て読む

文科省 補正予算案の概要 DX推進に383億円 部活動地域移行実証 2.9倍に

 文部科学省は6年度補正予算案の概要をまとめた。教育のDX推進に383億円を計上し、学校の通信ネットワーク改善や次世代校務環境の整備、高校等におけるデジタル人材育成の強化に必要な経費を措置。...

(2024-11-29)  全て読む

文科省 生成AI利活用指針 活用事例や留意点整理 有識者会議で改訂素案審議

 文部科学省は初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドラインの改訂素案をまとめ、26日の有識者会議で示した。生成AIの急速な社会実装を踏まえ授業・校務等における活用事例や留意事...

(2024-11-27)  全て読む

総合経済対策が閣議決定 次世代校務環境を整備 7年度の予定施策前倒し

 政府は22日、新たな総合経済対策を閣議決定した。教育関連では次世代校務DX環境の整備、高校DX加速化推進事業(DXハイスクール)の拡大など7年度に予定していた施策を一部前倒しして措置。12...

(2024-11-26)  全て読む

全国知事会 学力調査アンケート 公表の在り方で賛否 都道府県別5割、全国のみ3割

表2-2  全国知事会は全国学力・学習状況調査の調査結果をまとめ、25日の全国知事会議で報告した。調査の活用状況や学習指導における有効性に関しては全ての都道府県が肯定的に回答。一方、公表方法の在り方に...

(2024-11-26)  全て読む

いじめ未然防止の認識共有へ モデル教材作成を計画 文科省 8年度から全国展開

 文部科学省は、いじめ未然防止教育のモデルとなる指導案・指導教材の作成に着手することを計画している。「いじめとは何か」を児童生徒が認識し、安全・安心な学校・学級づくりに主体的に取り組むモデル...

(2024-11-25)  全て読む

外部人材の配置効果向上へ 補助金申請の指標新設 文科省 事務職員配置推進も

 阿部俊子文部科学大臣は19日の記者会見で、教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ)など外部人材の配置効果を高めるため運用の改善を図っていく考えを示した。市町村が補助金を申請する際に教...

(2024-11-21)  全て読む

教員の処遇改善で財務省案 調整額10% 段階引上げ 時間外在校等時間など条件設定

 財務省は11日の財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会において、教員の処遇改善に向けた独自案を示した。教職調整額は10%を目指して数年間をかけて段階的に引き上げるとともに、働き方改革の...

(2024-11-13)  全て読む

定数・処遇改善は一体で 文科省 財務省案に見解 阿部大臣 総合対策へ折衝継続

 文部科学省は12日、財政審財政制度分科会の財務省資料に対する見解を公表した。高度専門職である教師にふさわしい処遇改善を喫緊の課題とし、教職調整額の将来的な廃止を含む案に反論。働き方改革の推...

(2024-11-13)  全て読む

文科省 道内CS導入状況 177市町村 全校7割に 相互理解、学校魅力化に寄与

表1  文部科学省は、6年度コミュニティ・スクール(CS)および地域学校協働活動実施状況調査結果を公表した。道内におけるCSの導入自治体は177市町村。全公立学校における導入率は3・5ポイント上昇...

(2024-11-08)  全て読む