IEA TIMSS2023調査 理数学力 高水準を維持 算数数学、中学校理科は5位以内
(国 2024-12-06付)

表1
質問調査の国際比較(クリックすると拡大表示されます)

 国際教育到達度評価学会(IEA)は5日、国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)2023の結果を発表した。日本の平均得点はいずれも高水準を維持し、小学校算数が5位、中学校数学が4位、中学校理科が3位といずれも4年前の前回調査と同じ順位となった。小学校理科は特に生物・地学領域の点数が減少し、前回の4位から6位に下降した。

 参加人数は小学校が58ヵ国・地域から約36万人、中学校が44ヵ国・地域から約30万人。日本では小学4年生3875人、中学2年生3905人が参加した。調査実施日は5年3月。

 国・地域別ではシンガポールが全教科でトップ、続いて台湾、韓国が上位3位を占め、例年と同様の傾向となっている。

 日本の小学校算数の平均得点は591点で58ヵ国中5位、中学校数学は595点で44ヵ国中4位だった。数・図形・データなどの内容領域、知識・応用・推論などの認知的領域でいずれも高い水準となっている。

 400点に達した割合は小中いずれも99%と極めて高い。625点以上の高得点層の割合は小学校で32%、中学校で37%と国際中央値の7%を大きく上回った。

 理科は小学校が555点で58ヵ国中6位、中学校が557点で44ヵ国中4位。前回調査と比べ小学校で7点、中学校で13点といずれも低下している。

 400点に達した割合は小学校が98%、中学校が97%。625点以上の高得点層の割合は小学校が15%、中学生20%と国際中央値の6~7%を大きく上回っている。

 児童生徒対象の質問調査をみると「算数・数学は得意」「理科は得意」と回答した児童生徒の割合はいずれも低下し、苦手意識を持つ児童生徒の割合が上昇している。算数が得意な小学生は9ポイント、数学は1ポイント低下。理科は小学生が5ポイント、中学生が2ポイントといずれも低下した。

 ICT活用に関する自信は国際平均と同程度だが、「強くそう思う」と回答した割合は国際平均と比べて低い。

 ICTを活用する自信があるほど、平均得点が高い傾向が見られた。

 授業で「いつも(ほとんどいつも)自分で問題に取り組む」と回答した割合は算数が64・4%(国際平均56・0%)、数学は61・6%(同46・8%)といずれも高い。

 理科の授業の実験頻度が「週1回」と回答した割合は小学校が59・6%(同31・5%)、中学校が33・8%(同26・5%)とこちらも国際平均を上回っている。 

 GIGAスクール構想によって情報端末の整備率は9割以上で世界で最も高い水準にある。

 一方、教員のICT活用指導力の自信は低く「端末を学習改善に使う方法が分からないため、授業に取り入れられないでいるか」との設問に「まったくない」と回答した教員は28%。国際平均の57%を大きく下回っている。

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表3-1
上位20ヵ国・地域の推移①(クリックすると拡大表示されます)
表3-2
上位20ヵ国・地域の推移②(クリックすると拡大表示されます)

(国 2024-12-06付)

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