文科省が補正予算案を公表 体育館冷房整備に779億円 交付金新設 10年で95%に(国 2024-12-03付)
文部科学省は総額9067億円に上る6年度補正予算案を公表した。教育DXの推進、不登校・いじめ対策、学校施設の整備などを重点に予算案を編成。生成AI利活用の実証研究や、保護者対応を外部に委託する調査研究など多くの新規事業を盛り込んだ。公立学校体育館における冷房整備には779億円を計上。臨時特例交付金を新設し、10年間をかけて避難所施設としての機能強化を図る方針を示した。
11月に決定した総合経済対策に基づき編成。9日に国会に提出し、年内の成立を目指している。
DX関連の施策をみると、義務教育段階における1人1台端末の更新には234億円を計上し、都道府県を中心とした共同調達を引き続き支援する。GIGAスクール構想支援体制整備事業には60億円を充て、学校の通信ネットワーク改善や次世代校務環境の全国的な整備の支援に着手する。
生成AI利活用の実証研究には6億円を措置。多言語対応が必要な外国にルーツを持つ子ども・保護者への対応や個別最適な学習の提供など教育分野における生成AIの可能性を検証する。
高校DX加速化事業には74億円を計上。情報・数学などの教育を重視するカリキュラムやICTを活用した文理横断的・探究的な学びを支援する。採択校数は公立・私立の高校1170校程度を見込んでいる。
生徒指導関連では、不登校児童生徒の保護者に対する相談支援に1億円を計上。教育委員会・教育支援センターによる相談事業や保護者学習会などの取組を支援するとした。
また、警察のOB・OGなど他職種の専門家が学校を支援する「いじめ対策マイスター」のモデル制度の構築、いじめ未然防止教育の指導教材の作成など新たな不登校・いじめ対策に必要な経費を措置した。
学校の保護者対応の高度化に向けた調査研究には6000万円を計上。電話・チャットの一時連絡を受け付ける「保護者等問い合わせ窓口」を1地域に設置する試みで、学校で対応困難な案件を行政につなぐ仕組みや働き方改革への影響を調査する。
公立学校の体育館・武道場の冷房整備に779億円を計上。臨時特例交付金を新設し、避難所としての機能強化を図る。対象校種は小・中学校、特別支援学校で補助割合は2分の1。算定対象は400~7000万円となっている。
自治体への補助期間は6~15年度の10年間。9月時点における体育館等における冷房整備率は約2割となっており、これを17年度までに国の目標値である95・0%にまで引き上げる。
阿部俊子文部科学大臣は11月29日の記者会見で、今後開催する有識者会議において、全国学力・学習状況調査の公表方法の在り方を検討する考えを示した。全国知事会が実施したアンケート結果を踏まえた対応。文科省によると、例年12月に開催する「全国的な学力調査に関する専門家会議」で議題の一つとすることを検討している。
(国 2024-12-03付)
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