文科省 学習指導要領改訂を諮問 情報活用能力 抜本的向上を 中教審 8年度めどに答申
(国 2024-12-26付)

 阿部俊子文部科学大臣は25日、中教審の荒瀬克己会長に次期学習指導要領の改訂を諮問した。審議事項は「質の高い、深い学びを実現し、分かりやすく使いやすい学習指導要領の在り方」など4点。情報活用能力の抜本的向上、多様な子どもを包摂する柔軟な教育課程の在り方など、新たな時代における教育の方向性を検討するよう求めた。

 学習指導要領はおおむね10年に1度改訂されている。中教審は8年度中をめどに答申をまとめるとしており、現行学習指導要領と同様のスケジュールで進むと仮定した場合、周知・移行期間を挟み小学校が12年度、中学校が13年度、高校が14年度からの導入となる。

 諮問「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方」の審議事項は①質の高い、深い学びを実現し、分かりやすく使いやすい学習指導要領の在り方②多様な子どもたちを包摂する柔軟な教育課程の在り方③各教科等や目標・内容の在り方④教育課程実施に伴う負担を含む学習指導要領の趣旨の着実な実現のための方策―の4点。

 知識の概念としての習得や深い意味理解を促すとともに、学ぶ意味、社会やキャリアとのつながりの重要性を踏まえた授業改善を検討するよう要請。指導要領の記載は各教科等の中核的概念を中心にさらなる構造化を図り、デジタル技術などを活用し使用しやすいものとする。

 不登校や特別な支援、外国人の児童生徒が増加していることから、多様な子どもたちを包摂する柔軟な教育課程についても検討。単位授業時間や年間の最低授業週数の示し方も検討の俎上に載せる。

 情報活用能力は小中高を通じて抜本的向上を図り、生成AIなど先端技術に関する教育内容の充実、情報モラルやメディアリテラシーの育成強化に関する教科等の役割分担を議論する。標準総授業時数は現在以上に増やさないことを前提とし、教科書の内容・分量、デジタル教科書の在り方などを検討する。

 併せて諮問した「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策」については、学習指導要領の改訂を見据えた教職課程や採用・研修の在り方に関する検討を求めた。

 具体的には、教員養成大学が教育委員会との連携を深めて地域に求められる教師人材を確保する取組や、必要な教職課程を継続的に開設・実施する方策について議論する。

 各都道府県等で実施している教員採用選考検査は第1次選考の共同実施に向けた具体的な検討を推進。多様な専門性・背景を有する社会人が参入しやすくなる教員資格認定試験、民間企業の勤務者が在籍しながら教師として勤務する際の任用形態の在り方などについて検討を進める。

(国 2024-12-26付)

その他の記事( 国)

7年度予算 文科・財務で大臣折衝 調整額10%に引上げ 中学校35人学級 8年度から

 阿部俊子文科大臣と加藤勝信財務大臣は24日、7年度予算に関する大臣折衝を行い、教職調整額を12年度までに10%に引き上げることに合意した。教職員定数の拡充も図り、中学校の35人学級を8~1...

(2024-12-26)  全て読む

7年度全国学力・学習状況調査 文科省が実施要領決定 不登校の子 自宅から参加可

 文部科学省は24日、7年度全国学力・学習状況調査の実施要領を決定し、全国の教育委員会に周知した。オンラインによるCBT形式で実施する中学校理科調査は4月14~17日のいずれか1日に設定。不...

(2024-12-25)  全て読む

スポーツ庁 6年度体力等調査 小学男女5種目で全国超 「できた」時に高い満足度

表1  スポーツ庁は20日、6年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果を公表した。札幌市を含む道内小・中学校の体力合計点は、小学校女子を除き全国との差を縮め、小学校男女共に5種目で全国平均を上回...

(2024-12-23)  全て読む

産休・育休業務代替の正規教員 7年度から国庫負担対象に 政府 人員確保へ政令改正

 政府は17日、公立小・中学校の正規教職員が産休・育休取得者の業務を代替する場合、国庫負担の対象になるよう、国庫負担金の額の算定方法を定める政令を改正した。次年度を見越してあらかじめ正規教職...

(2024-12-19)  全て読む

文科省 キャリア教育優良表彰 道内 江別江陽中を選出 とうきび販売で勤労観養う

 文部科学省は、第17回キャリア教育優良教育委員会、学校およびPTA団体等文部科学大臣表彰の受賞団体を決定した。道内からは、生徒とPTAの連携行事「とうきび販売」を通して、生徒の勤労観を養う...

(2024-12-18)  全て読む

早寝早起き朝ごはん文科大臣表彰 津別町教委 通学合宿を選出 2月19日東京都で表彰式

 文部科学省は10日、6年度優れた「早寝早起き朝ごはん」運動の推進に係る文科大臣表彰の受賞者を公表した。道内からは津別町教委のつべつ生活体験「通学合宿」の活動が選ばれた。表彰式は、来年2月1...

(2024-12-13)  全て読む

スポーツ庁 部活動改革実行会議 中間まとめ 大筋で合意 「地域展開」に改称 期間延長へ

 スポーツ庁は10日、地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議の第2回会合を開いた。地域全体で支える観点から部活動の地域移行を「地域展開」に改称するほか、8年度以降を次期改革推...

(2024-12-12)  全て読む

前道中会長ら3氏に光 文科省 6年度教育者表彰

 文部科学省の6年度文部科学大臣表彰(教育者表彰)の受賞者として、道中学校長会の森田聖吾前会長(旭川市立忠和中校長)、道高校長協会の宮澤一会長(札幌南高校長)、道特別支援学校長会の四木定宏会...

(2024-12-09)  全て読む

文科省 英語教育でAI活用 全国にモデル校を指定 リーダー教員 1千200人配置

 文部科学省は7年度、AIを活用した英語教育強化事業に着手する。英語の授業・家庭学習などでAIを活用するモデル校を全国に約300校指定するとともに、活用の普及を図る「AI英語活用リーダー」を...

(2024-12-09)  全て読む

IEA TIMSS2023調査 理数学力 高水準を維持 算数数学、中学校理科は5位以内

表1  国際教育到達度評価学会(IEA)は5日、国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)2023の結果を発表した。日本の平均得点はいずれも高水準を維持し、小学校算数が5位、中学校数学が4位、中学校...

(2024-12-06)  全て読む