女性管理職アンケート結果―道教委 家庭との両立困難など 登用への課題が明らかに
(道・道教委 2015-07-27付)

 道教委は、『女性教員の管理職登用に関するアンケート調査結果報告書』を作成した。報告書は、調査対象とした女性管理職の勤務時間や管理職を志した理由、女性教員の管理職への登用を推進する取組などの項目などで構成。結果をみると、管理職の業務の多忙感、仕事と家庭との両立の困難さ、公宅への入居など、女性教員が管理職を目指すための課題が明らかとなった。「教職員への指導・助言を通じた教職員や子どもの成長」などにやりがいを感じる人も四四・三%いた。

 道内公立学校における女性教員の管理職の登用を推進するための方策を検討するため、昨年十~十二月にアンケートを実施。対象者は公立学校の全女性管理職(札幌市立を除く)二百六十四人で、回答率は八九・八%だった。

 調査結果をみると、平均勤務時間は十二時間以上が四七・七%と最も多く、十時間以上十一時間未満が一八・一%、九時間以上十時間未満が一五・二%などと続く。

 管理職を志した理由の項目については、「上司等に勧められたため」が八七・八%と多く、「自分自身の成長のため(五八・六%)」「やりがいがあるため(五〇・六%)」という人もいた。

 管理職の仕事の満足度では、「どちらかというと満足している」が四四・五%と約半数を占め、「満足している(二三・六%)」と合わせると約七割の女性管理職が仕事に満足している。

 満足していない理由としては、「多忙であり管理職として本来やるべき仕事ができていない」「学校改善がうまく進まない」「責任の重さや業務量の多さに見合った権限や給料が与えられていない」などの意見があった。

 管理職を目指すに当たっての課題では、「長時間勤務」が五八・一%と多く、「プライベートな時間の減少(五二・一%)」「公宅への入居(四〇・七%)」「夫や子どもとの別居(三九%)」などと続く。

 管理職となって両立が難しいと感じることは、「プライベートな時間の確保(六七・二%)」「親族の介護(五四・九%)」「趣味(三七%)」「子育て(二三・四%)」などがあった。

 一方、管理職の仕事でやりがいを感じる業務は、「教職員への指導・助言を通じた教職員や子どもの成長(四四・三%)」「学校経営全般、学校改善、学校課題の解決(三五%)」「教職員が一丸となって取り組み、成果を上げたとき(一〇・八%)」などが示された。

 女性教員の管理職登用を推進するための取組の項目のうち、管理職を志す女性教員が少ない理由として、「管理職(特に教頭)の業務が多忙であり、仕事と家庭の両立が困難になるため(九三・二%)」が多く、つぎに「管理職になった場合、勤務地等に関する希望を出しづらく、結果として広域異動となるため(七二・六%)」「公務外の仕事も多く、プライベートな時間が減少するため(六九・七%)」「公宅に入居しなければならないため(五六・八%)」の順となっている。

 管理職を志す女性教員を増加させる取組については、「教頭等の多忙化の解消(八五・五%)」「人事上の配慮(七〇・一%)」「給与等待遇の改善(六一・五%)」「希望制による公宅入居(五二・一%)」「女性管理職に対する校長・教職員、教育委員会の意識改革(四七・四%)」「管理職への意欲の醸成(四五・三%)」などが並んだ。

 特に人事上の取組では、「結婚、出産・育児等の家庭事情により広域異動が困難な場合は、現在の勤務地で昇任し、昇任後もこの状況が解消するまでは通勤圏での勤務」が九五・六%と多く、「校長採用への配慮(教頭経験年数が比較的短くても校長に採用等)」が二七%、「学校種や学校規模に配慮した配置(中・高校の教諭から小学校の教頭に昇任等)」が二五・八%の順となった。

 教頭等の多忙化を解消させるための取組では、「調査事務の軽減化(九三・四%)」「業務見直しによる校務の効率的執行(七六%)」「管理職を支える体制の強化(五六・一%)」「事務職員等の内部人材の協力(七六%)」「業務の再配分(五四・六%)」「地域活動の精選(四九・五%)」などが挙げられた。

 管理職への意欲を醸成させるための取組に関しては、「女性管理職候補者に対する上司からの働きかけ(七七・一%)」「各学校における女性教員の学年主任や教務主任等への積極的な配置(七一・九%)」「女性教員の主幹教諭や指導主事への積極的な任用(六一・五%)」「校長等の仕事の魅力を伝えるための工夫(五八・三%)」「女性教員のキャリアアップに関する研修の充実(五五・二%)」「先輩管理職によるメンタリング(四七・九%)」などが出された。

(道・道教委 2015-07-27付)

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