夕張市教委「学力向上と学級集団づくり」講演会　切磋琢磨し合うクラスを　早大・河村教授を講師に招聘

（市町村 2015-08-24付）

　【岩見沢発】夕張市教委は十一日、夕張市立ゆうばり小学校で「学力向上と学級集団づくり」講演会を開催した。Ｑ―Ｕの開発者である早稲田大学教育・総合科学学術院の河村茂雄教授が講師を務め、学級集団の状態と子どもの学力の関係性について解説。参加した教員三十三人は、規律と人間関係が確立されたより良い学級集団づくりに向けて研鑚を積んだ。

　学力向上に向けた学校環境の充実、教員のスキルアップの向上を目的として今回初めて開催したもの。夕張市内外の教員三十三人が参加した。

　開会に当たり、小林信男教育長があいさつ。「学級集団づくりが今後の学力向上にどう向かうのか、初心に戻ってともに勉強したい。分からないことは質問し合い、有意義な時間にしてほしい」と呼びかけた。

　講演では、河村教授が登壇した。子どもたちの学力向上を図るための必要条件として、学級集団内で安心して生活するための基本的な「ルール」と、子ども同士が本音を言い合える親しい関係である「リレーション」の二点を提示。「どんなに良い教材や教育プログラムを用いても、学習環境である学級集団の状態が悪ければ効果は少ない。仲が良く、切磋琢磨し合う集団ほどいじめは少なく、個人も大きく成長できる」とした。

　また、小・中学校において内輪だけの人間関係が続いた場合、進学後に新たな人間関係を築くことができずに不登校になるケースがあることを示し、「多くの人たちと交流する経験が必要」と強調。解決策の一つとして、小・中学校において緊密な連携を構築する重要性を挙げた。

　このほか、同学年でも教員の指導力の違いから、平均点に大きな差がつく学校があること、教員同士が互いに支え合い、学び合う「同僚性」が高い学校ほど教育力の高い学級集団が形成される傾向があるとした。

　学力調査、不登校・いじめ調査に関しては、綿密な実態分析を行った上で、的確な対策を行っている自治体ほど大きな成果を挙げていると指摘。「Ｑ―Ｕによって得た情報は、活用することが前提。子どもたちの実態を踏まえ、課題解決のための具体的な教育実践に生かす第一歩としてほしい」と呼びかけ、児童・生徒のタイプごとに具体的な支援の仕組を学校内で検討すること、担任の転勤も考慮した授業のユニバーサル化を進める必要性を訴えた。

(市町村 2015-08-24付)