道議会文教委員会の質問・答弁概要(9月7日)(道議会 2015-12-10付)
道議会文教委員会(九月七日開催)における山崎泉委員(北海道結志会)、佐野弘美委員(日本共産党)の質問、および杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、佐藤和彦特別支援教育担当局長、加賀学施設課長、岸小夜子義務教育課長、小原直哉特別支援教育課長、堀本厚健康・体育課長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆内申点について
山崎委員 義務教育機関において、平等性・公平性がきちんとなければいけないのではないかと考えている。義務教育が終わって高校に上がるとき、一つの高校に対していろいろな中学校から受験する中で、A校とB校が違う対応を取ることは、いかがなものか。もちろん、いろいろな評定の過程はかんがみるが、その違いについて伺いたい。
まず、二学期制、三学期制を含めて学期制があると思うが、現在どのようになっているのか伺う。
岸義務教育課長 二学期制と三学期制の割合について。道内の中学校においては、おおむね四月から九月までを前期、十月から三月までを後期とする「二学期制」を取り入れている学校は一八・六%の百十四校であり、おおむね四月から七月を一学期、八月から十二月を二学期、一月から三月を三学期とする「三学期制」を取り入れている学校は、八一・四%の五百校という状況になっている。
山崎委員 学期とは関係なく、大体の学校が三者面談を行って、進路を考える期間があると思う。その期間はいつごろなのか、同時に、高校側が中学校側に求める評定の時期などについても、三年生のいつの時点での評定をもとに、生徒や保護者と面談を行っているのか伺う。
岸義務教育課長 三者面談の時期などについて。進路選択に向けて、生徒とその保護者、担任教師の三者によって行う面談は、二学期制、三学期制の中学校のいずれにおいても、通常十一月から十二月ごろ行われており、その面談の際に使用する情報の一つとして、学校が提示する評定については、二学期制の学校では、前期の評定、三学期制の学校では、一学期や二学期の評定を用いているものと承知している。
山崎委員 十二月段階のランクで面談する。中学校期間において冬休み後にテストがある。そのテストの結果が、高校が求める内申点の考え方でいえば、含まれるのか含まれないのかも伺う。
岸義務教育課長 学年末テスト結果のいわゆる内申点への反映について。道立高校入学者選抜の実施要項において、第三学年の評定およびその合計は、「出願の時点における学習状況を踏まえて記入すること」と示されており、中学校は、この記述に基づいて、学年末のテスト結果も含めて三学期末の評定を行い、調査書を作成しているものと考えている。
山崎委員 基本的に、テストの結果だけではなく、様々な観点から成績評定が決められる。極端にいえば、「A、A、A、B」でも「5」にならないが、「A、A、B、B」でも「5」になる場合もある。そういった中で、内申点がどうなったのか分からないのではないかと危惧する。冬休み後のテストの評定について、受験前に子どもたちに教えているのか教えていないのか伺う。
岸義務教育課長 生徒等への評定に関する情報提供について。教育局を通して、管内の中学校から学年末テスト終了後に行う三学期の評定について、生徒や保護者への情報提供の有無を聞き取ったところ、生徒・保護者に伝えている学校が多かった一方で、伝えていない学校もあった。
山崎委員 例えば、一ランク下がれば一つ高校を下げたい、一ランク上がれば一つ上の高校に行きたいと思う子どもたちや親もいると思う。学校間において、教えているところと教えていないところがあることに対して、不公平感を感じる。
多くの学校が教えているというが、では、どのように教えているのか伺う。
岸義務教育課長 生徒等への情報提供の方法について。先ほど申し上げた聴き取りでは、例えば、生徒一人ひとり個別に口頭で知らせる、生徒には口頭で、保護者には電話で知らせる、三者面談や家庭訪問で知らせるなど、様々な方法で生徒や保護者にいわゆる内申点に反映されている三学年の評定を伝えている。
山崎委員 冬休みが終わってテストがあるのが一月中旬、その後、最終締切が二月中旬くらいだが、その間に進路変更なども含めて判断する中で、A校とB校の間に差があってしまう。蓋が開けば、ランクが下がっていた、もう一つ上に行けたのに行けなかった、こういった格差があること自体、義務教育機関ということを考えれば、公平性がきちんと保たれなければいけないのではないか。
本来であれば、どこの中学校も、時期、伝え方も含めて統一する必要性があると思うが、見解を伺う。
梶浦学校教育局長 いわゆる内申点の生徒等への情報提供について。道教委では、いわゆる内申点と言われる中学校の学習成績など、生徒の進路の選択・決定の際に活用される情報については、学校と生徒および保護者の間で適切に共有される必要があることから、各学校が、生徒の入学時から各学年にわたり、一人ひとりの生徒や保護者に対し、適切な時期に必要な進路情報を確実に伝えることが重要であると認識している。
山崎委員 受験のときには公平、平等がなければいけないのではないか。統一してもらいたいと思うが、どう考えているのか伺う。
杉本学校教育監 道教委の今後の取組について。学校における進路指導は、生徒が自分自身をみつめ、自分と社会とのかかわりを考え、将来、様々な生き方や進路の選択可能性があることを理解するとともに、自らの意思と責任で自己の生き方、進路を選択することができるよう適切な指導・援助を行うことが必要である。
道教委としては、今後、道内の中学校が、高校入試の際の調査書の作成や、生徒や保護者への進路情報の提供方法なども含め、進路指導をどのように行っているのかあらためて実態を把握し、その結果を踏まえて必要な対応を検討していく考えである。
― 意 見 ―
山崎委員 早急にきちんとやっていただきたい。十二月に三者面談も控えている中で、親たちも不安がある。何らかの対策をとってもらいたい。
◆特別支援学校の環境整備等
佐野委員 帯広養護学校は二〇一四年度、狭隘化に伴い高等部が増築され、地元で大変喜ばれたが、それもつかの間、すでに来年度の教室も足りないなど、切実な声が寄せられた。そこで、同僚議員とともに視察に行ってきた。
改修しても改善されず、十ヵ所以上の雨漏りのあとがあった。多動などの障がいのある児童生徒が行き交う、車いす利用も多い廊下で、常時バケツが置いてある状況は、安全面からも問題がある。こうした状況は他校でもあるのか、道立学校の雨漏り修繕の希望が出されている学校と改修の状況について、帯広養護も含めて答えていただきたい。
加賀施設課長 道立学校の雨漏り対策の状況について。現在、道立学校二十六校から修繕要望が提出されており、このうち七校については、降雨のたびに校舎の一部が使用できないなどの状況にあることから、今後、速やかに修繕することとしている。
また、帯広養護を含めた十二校については、建築経過年数を踏まえ、雨漏りなどを防ぎ建物の耐久性向上を図るため、次年度から計画的に、屋上防水や外壁改修などの抜本的な修繕工事等を実施したいと考えている。
残る七校については、今後、学校の実情を聴取した上で、緊急性などを勘案しながら、順次、修繕工事が実施できるよう必要な予算の確保に努めていく考えである。
― 指 摘 ―
佐野委員 七校で雨のたびに使えない施設がある、雨漏りやすきま風を我慢している児童生徒が多くいることが分かった。ぜひ改善を進めていただきたい。
佐野委員 児童生徒数と教室整備について。転用できる部屋はすべて教室に転用しても、来年度はすでに二教室足りない、図書室もなくして図書を数ヵ所に分けて設置、児童生徒が読書を楽しむスペースもない、クールダウンに必要なスペースも、何とか工夫してつくり出している状況である。道教委は、どのように把握しているのか、今後の見通しについてはどう考えているのか伺う。
小原特別支援教育課長 教室整備等について。帯広養護の普通教室は三十四教室であるが、二十七年五月現在の学級数は、訪問学級を除いて四十四学級であるため、十教室が不足しており、生活訓練室や理科室、木工室などの特別教室を普通教室に転用して、必要な教室を確保している。
また、知的障がい特別支援学校の在籍児童生徒数は、全道的に増加傾向にあり、帯広養護学校についても、同様であることから、今後も、不足教室数や特別教室の転用状況について把握していく。
― 要 望 ―
佐野委員 来年度には、すでに二教室足りないことが分かっている状況。ぜひ、取組をお願いする。
佐野委員 給食提供数について。給食設備を増改築してようやく二百五十食、児童生徒と直接指導に入る担任、副担任、介護員だけの食数がぎりぎり確保されている状況であった。
今後、児童生徒が増えることが見込まれる中で、すぐに義務教育の児童生徒の分も足りなくなることが危惧される。どのように対応するのか伺う。
堀本健康・体育課長 給食の提供について。道立学校においては、児童生徒および給食指導等を行う担任、副担任等の教職員に対して給食を提供することを基本としており、帯広養護では、二十七年度現在、給食提供可能食数が二百五十食であるのに対し、二百四十九食が提供されている。
道教委としては、今後、児童生徒数の変動があった場合においても、児童生徒等に対し学校給食を確実に提供できるよう、提供方法等の検討など、適切に対応していく考えである。
― 指 摘 ―
佐野委員 一食分しか余裕がないところに、児童生徒の増加が見込まれる状況で、来年度には足りなくなるのではないか。しかも、増改築で二百五十食に増やしたという経緯もあるので、検討することで対応できるのか心配である。引き続き、状況を確認させていただきたい。
佐野委員 高等部は増築されたが、小中学部は狭い職員室に先生たちの机がぎっしり詰まった状態、劣悪な環境であると言わざるを得ない。職員会議など、集まっての意見交換や情報共有するなど、業務にも支障が出るのではないかと危惧する。職員室の面積の標準からみて、この状況はどうなっているのか、一人当たりの面積も合わせて答えていただきたい。
加賀施設課長 職員室の面積について。道教委および道建設部が目安として定めている特別支援学校の標準的な面積では、知的障害の特別支援学校小中学部の職員室については、職員一人当たり五・三平方㍍となっている。
現在、帯広養護の小中学部の職員数は六十一人で、職員室の面積は百二十六平方㍍であることから、職員一人当たり二・一平方㍍となり、標準的な面積を下回っているが、学校では、高等部増築時に整備した集会室および既存の会議室で学年・学部別の打ち合わせや教務会議を行うなど、業務に支障をきたさないよう工夫している。
佐野委員 転用できる教室はすべて転用しても教室が足りない、児童生徒の増加が見込まれるのに給食はすでにギリギリの状況、設備も老朽化して雨漏りは改善されない、職員室も足りない、教職員の職務にも支障をきたすような状況はこれ以上看過できない。現場での工夫や改修ではもはや限界を超えている。改築を含めた大規模改修を早急に実施するとともに、規模の適正化のために、分校や学校新設を含めた見直しが必要と考えるが、どう対応するのか伺う。
佐藤特別支援教育担当局長 今後の対応について。道教委としては、児童生徒の急増に伴う教室不足によって、教育上の目的に応じて設置された特別教室で学ぶ機会が十分確保できていないなど、狭隘化の状況が続いている学校があることは、児童生徒の適切な教育環境を確保する観点から、改善を図るべき課題と認識している。
このことから、帯広養護学校の状況を十分把握した上で、教室不足等の解消について、検討していく。
― 再質問 ―
佐野委員 養護学校を視察した際は、本当にひどい状況であった。我慢も工夫も限界である。百聞は一見にしかず。学校の状況を早急に学校教育監に見に行っていただきたいと思うがいかがか。
杉本学校教育監 帯広養護の教育環境等について。これまでも担当課から状況の報告を受け、概要は承知しているが、学校の状況を十分把握することも必要であると考えるので、今後、検討したいと考えている。
― 意 見 ―
佐野委員 特別な配慮が必要な児童生徒への支援が滞っている。教育を受ける権利が侵害されている状況である。この件に関しては、代表質問でも、教育長に直接伺う。
(道議会 2015-12-10付)
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