道議会文教委員会の質問・答弁概要(9月7日)(道議会 2015-12-09付)
道議会文教委員会(九月七日開催)における加藤貴弘委員(自民党・道民会議)、佐々木恵美子委員(民主党・道民連合)、川澄宗之介委員(民主党・道民連合)の質問、および山本広海教育部長、秋山雅行総合政策局長、桜井康仁教育政策課長、岩渕隆義務教育課教育環境支援課長、堀本厚健康・体育課長、道の佐藤則子学事課長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆活動状況の点検・評価
加藤委員 二十六年度道教委の活動状況に関する点検・評価報告書について、数点聞く。
法律に基づき、毎年実施されているとのことだが、あらためて、この教育委員会の活動状況に関する点検・評価の担う役割と目的を伺う。
桜井教育政策課長 教育委員会の活動状況に関する点検・評価について。この点検評価については、二十五年三月に改定された道教育推進計画に基づく四十項目の施策の実施状況や目標指標の達成状況などの実績を把握し、施策の効果や課題等についてPDCAサイクルによって評価、分析を行い、その結果を報告書にまとめ、道民に公表することによって説明責任を果たすとともに、評価結果を翌年度以降の施策に反映していくことによって、施策の着実な推進を図ることを目的に実施するものである。
加藤委員 コミュニティ・スクールの導入促進について。道教委では、今回の点検評価報告書の中でも重点点検評価施策として取り上げ、今後も積極的に進めることとしているが、一方で、市町村においては学校支援地域本部など、すでに様々な住民参加の取組が進められている。両方の組織を併存させることは、学校や地域の負担増となると考えているところも多いと感じられる。そこで、道教委では、学校支援地域本部とコミュニティ・スクールの関連について、どのように考えているのか見解を伺う。
岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 学校を支える地域の仕組みについて。コミュニティ・スクールは、地教行法に基づき、一定の権限と責任をもって、地域住民が学校運営に参画する仕組みであることに対して、学校支援地域本部は、国の補助事業を活用して、地域住民がボランティアとなり、学校の教育活動を支援する仕組みである。
道教委としては、両者の利点を生かして、一体的に取り組むことによって、相乗効果が発揮され、充実した学校運営が進められることを周知するなどして、コミュニティ・スクールの導入に努めている。
また、国の中央教育審議会においては、学校支援地域本部や学校評議員制度等の機能を含めたコミュニティ・スクールの在り方について審議していると承知している。こうした議論も踏まえながら、地域とともにある学校づくりの充実に努めていく。
加藤委員 点検・評価結果をみると、施策として極めて重要な「知育」「徳育」「体育」のいずれもが「やや遅れ」となっている。このような評価結果をどのように受け止めているのか、また、改善に向けてどう取り組むのか伺う。
山本教育部長 今般の評価結果について。本道の将来を担う子どもたちが夢と希望にあふれ健やかに成長するためには、確かな学力、豊かな心、健やかな体をバランスよく育てる教育と、その基盤となる教育環境づくりが重要と認識している。
こうした中、「知育」「徳育」「体育」に関する施策の評価結果がいずれも「やや遅れ」となっており、こうした状況を厳しく受け止めている。
学力・体力については、これまでの取組によって一定の成果が現れ始めているものの、なお、一層の努力が必要であって、授業改善と望ましい生活習慣の確立に向け、「ほっかいどう〝学力・体力向上運動〟」を一層推進するとともに、いじめの防止等に向けた取組を含め、豊かな人間性や思いやりの心を育む教育の充実を図るなど、学校・家庭・地域、そして、行政が一体となって、施策の改善に向けて取り組んでいきたいと考えている。
―指摘・要望等―
加藤委員 「知育」「徳育」「体育」はもちろんだが、四十項目すべての点検・評価は、公表してゴールではなく、来年度以降の教育行政のスタートでなければならないものと思う。評価結果を来年度の施策に着実に反映をさせて、しっかりと取り組んでいただきたいと指摘させていただく。
◆私立学校管理運営費補助金
佐々木委員 急激に進行する少子化の影響によって、私立学校を取り巻く環境は大変厳しくなっている。同じ私立学校であっても、都市部と郡部、定員数の違いによって、抱える課題も異なり、それぞれの学校がそれぞれの課題の解決に取り組んでいる。
本委員会などで、経営の安定や教育条件の維持・向上などに重要な役割を担っている私立学校に対する管理運営費補助金の配分方法について取り上げてきた。あらためて管理運営費補助金の配分方法について、見直しを進めていくべきではないかという問題意識をもって、質問していきたい。
定員超過している学校について。定員超過は、子どもたちの教育環境に影響を及ぼすばかりではなく、きちんと定員を守っている学校との公平性からも、大きな問題。補助金上のペナルティーを強化するべきと考える。
二十四年度以降、入学定員を一・一倍超過している学校の状況について伺う。
佐藤学事課長 入学定員を一・一倍超過している学校の状況について。二十四年度が計六校、二十五年度が計三校、二十六年度が計九校、二十七年度が計三校となっており、そのうち、三年連続で超過したことのある学校が一校、二年連続で超過したことのある学校が四校となっている。
なお、この間、一・一倍を超過した延べ二十一校における定員超過の状況は、定員の一・一倍以上一・一五倍未満は十二校、一・一五倍以上一・二倍未満は四校、一・二倍以上一・三倍未満は三校、一・三倍以上は二校となっている。
佐々木委員 二十六年度に九校と大幅に増加している。現行のペナルティーが定員超過の歯止めの役割を果たしていないということではないか。入学時だけに適用するのではなく、その学年が二年生、三年生に持ち上がっても、引き続き、ペナルティを適用しなければ効果がないのではと考える。
小規模校、中規模校、大規模校のペナルティーが同じ。これは排除するべきではないか。見解を伺う。
佐藤学事課長 定員超過に対する減額調整について。教育条件の維持・向上や適正な学校運営の観点から、定員は順守されるべきであり、補助金の算定に当たっては、これまでも、定員の一定割合を超えて生徒を入学または在学させている場合には、超過の度合いに応じた補助金の減額措置を行ってきており、二十五年度にこれを強化した。
また、毎年、入学定員の一・一倍を超過した学校に対しては、超過した原因や今後の対応策について、文書による提出を求め、必要に応じ、ヒアリングを実施している。
委員指摘のとおり、二十六年度には、一・一倍を超過した学校が一時的に増加したものの、二十七年度には三校と減少し、また、いずれの学校も、超過率が一・一五倍以下となっていることから、減額措置の強化には、一定の効果があったものと考えている。
しかしながら、依然として超過している学校があることから、二十五年度以降、二年連続して定員超過していた学校については、その原因について確認するなどしていきたいと思う。
しかし、小規模校に対する減額調整については、これまで、公平性の観点から、一律の基準によって適用してきたが、学校が小規模になるほど、相対的に減額化する実態も踏まえ、適応基準の在り方については早急に検討していきたいと思う。
佐々木委員 早急に検討していきたいとの答弁なので、しっかりとやっていただきたい。
定員充足率の低い学校に対するペナルティーについて。定員充足率が著しく低い学校に対して、このままにしておいていいのか。補助金上のペナルティーを検討すべきと考えるがどうか。
佐藤学事課長 定員充足率の著しく低い学校について。大幅な定員割れが生じている学校については、学校施設などの環境に支障が生じることはないものの、定員の規模が実情と見合っておらず、適切ではないと認識している。
このため、道としては、充足率が著しく低い学校に対して、各学校の魅力をPRして、一層の生徒の確保に努めるよう依頼するとともに、ヒアリングの機会等を活用して、学校法人の考え方を確認の上、定員減を促しており、過去五年では、延べ二十三校、総計六百六十三人の定員減を認可した。
補助金の減額調整については、学校の経営を悪化させ、生徒の教育環境に影響を及ぼすおそれもあることから、今後とも、充足率の著しく低い学校に対しては、定員順守が難しい場合には、定員減の検討を促すなど、必要な指導を行っていきたいと思っている。
佐々木委員 期限付教員について。子どもたちにとって教育の質を高めることが必要であり、正規教員が指導に当たることが望ましいことは言うまでもない。現在、企業においては、非正規労働者の正社員化や処遇改善など、若年労働者の定着を促進することが、優秀な人材を確保する視点から重要になっている。企業内のキャリアアップの取組は、学校においても推進していくべきと考えている。
学校として望ましい正規教員の任用に向けて、誘導していく工夫が必要ではないか。そのためには、補助金等の配分において、例えば、期限付教員の割合が高い学校に対しては何らかの措置をとる必要があるのではないか。見解を伺う。
佐藤学事課長 期限付教員の配置について。高校の教員については、高校設置基準によって、生徒数などに対応して配置すべき人数が定められており、その基準を満たした上で、運用形態も含め、各学校の判断によって、教員の配置がされているものと承知している。
期限付教員の割合が特に高い場合、教育条件の維持・向上の面で、教育環境に影響をもたらすことも懸念されることから、そのような場合には、必要に応じて、学校法人との間でも意見交換を行っていきたいと思う。
佐々木委員 スポーツ・文化活動活性化推進加算について。この配分は、時代に合っていないのではないかという意識をもっている。この要件と学校の実績を伺う。
佐藤学事課長 スポーツ・文化活動活性化推進加算の要件等について。全国大会に出場したクラブ数に応じ、一校当たり一点から四点を配点するとともに、一学校一クラブを上限に、一位に三点、二位に二点、三位に一点を加点している。
二十六年度の実績では、全五十一校のうち、四十七校に対して配点しており、一点が二十四校、二点が七校、三点が三校、四点が五校、五点が八校となっている。
佐々木委員 配分は、子どもたちの教育のため、環境を整えるために必要となる活動に加算することだと思う。スポーツや文化活動について専門的な知識や技能をもった教員を採用した、あるいは、外部人材を活用したなどの取組に配分したのであれば理解できる。現在の配分方法はあまりにも結果にこだわっているのではないか。
現在の配分方法は、規模の大きい学校に有利に配分される状況にあるのではないか。同時に、道内の私立高校の特色はスポーツだけではない。それぞれの学校が様々な取組を行っているので、公平性を踏まえながら、スポーツや文化活動の活性化の配分方法について、しっかりと見直しや配慮をしながら検討していくべきと考えるがどうか。
佐藤学事課長 スポーツ・文化活動活性化推進加算の配分方法について。特色教育加算については、私立学校の特色ある取組を後押しする考えのもと、各種メニューを設定しており、その中で、道内の私立高校においては、スポーツや文化にかかるクラブ活動を特色としてアピールし、生徒確保に向け取り組んでいる学校が多い状況を踏まえ、メニューの一つとして設定している。
この加算は、全国大会に出場するクラブ数に応じ、配点するとともに、全国大会で優勝するなど、特に成績優秀の場合にあっては、学校の大きな特色となることから、加点することとしており、私立高校の特色ある取組を支援する上で必要と考えているが、具体的な配点については、今後とも、私学関係者の意見も聞きながら、他の特色教育加算メニューとのバランスなども考慮し、適切な加算措置となるよう努めていきたいと思う。
佐々木委員 小規模校には、出場するクラブ数のハンデがある。その中で、さらに成績優秀な学校に対して加算するのはいかがなものか。あまりにも、結果にこだわりすぎているのではないか。この加算措置は見直すべきではないかと考えるが、再度質問する。
佐藤学事課長 スポーツ・文化活動活性化推進加算の配分方法について。小規模校との公平性や対象校数なども考慮しながら、適切な加算措置となるよう努めていきたいと思う。
佐々木委員 入学金の減免に対する加算について。単なる減免制度の有無だけではなく、実際に減免した生徒数に応じて配分するとともに、減免の理由も生活困窮に限定するように見直したものと承知している。ただ、この生活困窮の要件は、各学校で異なる場合も考えられるが、これでは公平性に欠けるのではないか。見解を伺う。
佐藤学事課長 生活困窮者の入学金減免について。これまで生活困窮者について、各学校で共通する基準がなく、各学校が生活困窮者として減免した場合には、すべて加算の対象としていたが、本年度から、公平性の観点に基づき、新たに生活困窮者の基準を設け、道の私立高校等授業料軽減補助金交付要綱で定める第一種基準を満たす者、具体的には、年収二百五十万円未満程度の世帯を加算の対象とした。
佐々木委員 現状では、各学校の入学金が地域によって差があるのにもかかわらず、定額支給していると承知している。入学金だけではなく、その他の経費についても、配分の見直しについては、幅をもたせるよう指摘したい。
中退者、不登校生徒等の受入の加算について。私立学校の管理運営費補助金配分の基礎となる生徒数については、毎年五月一日在籍数を基準としており、それ以降に生徒が退学などしても、そのままカウントされている。この算定は、学校の状況を適切に反映していると言えるか。編入という形でほかの学校に行く生徒もかなりいると思う。特色教育加算の中で、中退、不登校等の受入のメニューを設定している。中退者等を受け入れている学校に対して、一定の配慮は理解している。
しかし、それは、前年度の実績に基づいている。当該年度の受入人数によって、補助金をきちんと算定するのが望ましいのではないかと考えるが、見解を伺う。
佐藤学事課長 中退者等の受入について。各学校の生徒数については、年間を通して変動があることから、五月一日を基準日として、補助金を算定することとしているが、特色教育加算メニューの中退・不登校等の受入については、その性質上、年間の実績を考慮する必要があることから、翌年度、実績に基づいて算定することとしている。
管理運営費補助金は、学校の資金計画を考慮して、九月、十二月、三月の三回に分けて支払いを行っており、当該年度中に年間の実績を反映することは難しいものと考えている。
佐々木委員 これについては、きちんと把握していく必要があるのではないかと指摘させていただきたい。
小・中学校の特別分について。道内には、現在、私立小学校が三校、中学校が十六校ある。それぞれの学校に対して、高校と同様に、管理運営費補助金が交付されているが、高校と異なって特別分が措置されていない。国では、高校と同様に、小・中学校に対しても、特色加算の対象としている。国の補助事業があるのに、なぜ道は小・中学校に対して補助事業を活用しないのか。検討すべきと考えるがどうか。
佐藤学事課長 小・中学校の特別分について。二十七年度現在、道内の私立小学校は三校で児童数百十一人、中学校は十六校で生徒数三千十三人いるが、現在の小・中学校に対する限られた財源の中で、特別分を配分することは困難な状況である。
道としては、健全な学校運営を図る観点から、まずは、経常経費への助成を充実することが必要と考えており、今後とも、国に対して、財源措置の充実を要望するとともに、小・中学校に対する限られた財源の中で、どのようなことができるのか、引き続き、学校からの意見等も伺っていきたいと思う。
佐々木委員 限られた財源というのは、道の財政が厳しいからということ。道として、財源確保をなぜしないのか。理由を伺う。
佐藤学事課長 小・中学校の特別分について。道の財政状況や小・中学校の実情等を踏まえながら検討していく。
佐々木委員 これは、あらためて知事に伺いたい。
今後、ますます進む少子化の中で、学校法人の経営が厳しくなっていることを考えると、配分の公平性、必要な見直しを不断に進めていく必要があると考える。特色加算といっても、どこでもやっているようなことであれば、特色にならないのではないか。さらなる見直しが必要ではないかと考えるが、見解を伺う。
佐藤学事課長 配分方法の見直しについて。特色教育加算については、道として積極的に奨励する、特色ある学校の取組などに対して、加算措置を設けているものであり、その重要度や必要性に応じて加算してきた。また、いじめの問題など、喫緊に対応しなければならない教育課題については、全学校に対応を促すため、加算項目を設定したことによって、二十六年度までに全校において、学校いじめ防止基本方針が作成され、目的を達成したことから、当該加算項目を廃止する一方、昨今話題となっている、ネットを通じた誹謗中傷などのいじめ等の未然防止にかかる事業の実施については、本年度、新たに設定するなど、適宜必要な見直しを行っている。
今後とも、配分方法については、社会情勢の変化、学校の意見、他都府県の動向、さらには、公平性や国の特色加算との類似性などを考慮しながら、不断に点検し、必要な加算措置となるよう努めていきたいと思う。
佐々木委員 私立学校の管理運営費補助金配分の見直しが必要ということで、何点か伺った。知事にしっかりと伺いたい。
◆校務支援システムについて
川澄委員 教職員の多忙化が言われてから、かなり時間が経っている。文部科学省等においても調査結果等が出ている。私も、一般質問の中で、教職員の多忙化の問題について指摘させていただいた。
こういった教職員の多忙化の一つの要因として、事務作業、事務処理等が多いと聞いている。
そこで、今回導入されている校務支援システムの目的について伺う。
桜井教育政策課長 校務支援システムの導入の目的について。本システムは、学校における児童生徒の出欠管理や成績処理などの事務を処理するためのものであり、こうした校務の効率化や事務負担の軽減によって、時間外勤務の縮減や子どもと向き合う時間の確保を目的として、二十四年四月に導入した。
川澄委員 校務支援システムが十分に利用されていないのではないか、活用が進んでいないのではないかと聞いている。活用がなかなか進まない理由について伺う。
桜井教育政策課長 校務支援システムの活用状況について。昨年十二月に行った高校へのアンケート結果によれば、本システムを毎日使っていると回答した学校の割合は八一・九%となっている。
また、本システムの課題として、校内の担当者など特定の教員に負担がかかっている、通知表や成績一覧表など帳票に柔軟性がない、多様な学校の実態に合っていないなどの回答が寄せられている。
川澄委員 現行のシステムに対して、いまだに数多くの改善要望が出ていると聞いている。このことについて、導入時を含めて、このような事態になってきた理由について伺う。
桜井教育政策課長 校務支援システムに対する改善の要望について。本システムは、学校現場の意見を聞きながら、開発したものであり、また、導入後においても随時、機能を改修してきた。
しかしながら、先ほど申し上げたような改修要望が寄せられているところから、学校の事務処理の方法にできるだけ即したシステムとなるよう、前年度から実施している当課職員による学校訪問や、システムの活用事例を提供・普及するための『たより』の発行を通じて、一層の活用を促進していきたいと考えている。
川澄委員 事務処理の軽減、校務の軽減ということであれば、本来、システムを導入する際に、どのような点が校務の多忙化につながっているのか、このシステムを通して何ができれば校務が軽減されるのかという点について、先生方の意見を十分聞くのは当然であると思っていたが、このシステム導入に当たり、学校現場の先生方からの意見聴取はしなかったのか。また、改善をされないまま完全実施に踏み切った理由について伺う。
秋山総務政策局長 校務支援システムの導入について。二十一年に、小中学校、高校、特別支援学校の教員等からなるワーキンググループを設置し、随時意見をいただくとともに、二十三年十月からは、小中高合わせて五十校で試験運用を行う中で、学校や市町村から改善要望をいただき、これらの意見などを踏まえて、授業の時間割の登録や成績を記録する機能の改善など十三ヵ所の改修を行い、二十四年度から本システムを導入した。
本格導入後においても、一層の活用に向け、各学校の意見や要望を踏まえながら、文書のレイアウト等の改修のほか、授業時間数の集計方法等、効果的な活用事例の発信などに努めてきた。
― 指 摘 ―
川澄委員 こういった取組があっても、多くの先生方には周知されていない状況があったと聞いている。また、改善要望の中で大きかったのは、特に出欠にかかる部分、特に高校は、教科の先生が出欠状況が分からない。成績についても、機能が充実していない、特に外字に対応していない。結局、手書きで対応しなければならない。こういった要望が出てきた。本格導入後においても、レイアウト等の改修はされてきたと今、答弁にあった。これを使うのは学校の先生方であるから、先生方が使いやすい状況をつくらなければ校務軽減につながらないと考えているので、今後も、現場の先生の意見をしっかりと取り入れながら改善等に努めていただきたいと指摘しておく。
川澄委員 校務支援システムの導入に当たって、情報管理が大きな課題であると思っている。マイナンバー制度が導入される状況がある。また、様々な国の機関、民間において、個人情報の流出とそれが別の形で活用されてしまう事例が出てきている。校務支援システム導入は、あくまでも業務の軽減が目的と答弁いただいている。こういった中で、外部への情報提供、例えば、自衛隊への情報提供、また、民間企業に対しての提供はあってはならないと考えている。
校務支援システムにおいては、管理されている児童生徒の情報が目的外で使用されたことがないのか。また、管理に関する規約、およびセキュリティーの状況について伺う。
桜井教育政策課長 情報セキュリティーの確保について。本システムは、学校における児童生徒の出欠管理や成績処理などの事務の処理のためのものであり、管理している情報を目的外に使用したことはなく、今後も使用することはない。
また、情報セキュリティーについては、総務省のガイドラインの最高基準を満たしており、極めて高いセキュリティーを確保していると認識している。
システム運用業者とは、秘密保持契約を締結しており、情報へアクセスできる者を制限すること、情報を記録した媒体を厳重に管理することなどを徹底しているほか、データセンターについても、生体認証やICカード等による入退室制限も含めて、外部からの侵入を防ぐ措置を何重にも講じるなど、情報の流出が起こり得ないよう、万全を期して、児童生徒の情報を適切に管理している。
― 再質問 ―
川澄委員 教育関連産業において、顧客の情報、特に、子どもにかかわる情報が流出する事故が起きている。こういった中、公教育にかかわる部分なので、万全な対策をとらなければならないと感じているのは私だけではないと思っている。校務支援システムで管理されている情報であるので、例えば、道教委で一括して見ることはできないのか、また、そういうことがないのかを伺う。
桜井教育政策課長 道教委からの情報の閲覧について。本システムには、校務用パソコン以外からはアクセスできない設計としており、校務用パソコンを使用して、アクセスする場合であっても、IDとパスワードで個人認証を厳格に行っている。
そのため、当該学校に所属する教職員以外は、閲覧できない仕組にしており、それは、道教委職員も例外ではない。
― 指 摘 ―
川澄委員 道教委で一括して見ることができない状況であることは確認した。あくまでも、校務の軽減ということである。そういった形で、しっかりと運用を今後もすることを指摘しておきたい。
川澄委員 それぞれの学校においては、例えば、通知票の形式、そのほか配付文書等は、それぞれの地域や学校、保護者の理解を得ながら形が決められてきていると思う。校務支援システムが先生方の業務軽減という部分はあるが、各校からの意見の中では、それぞれ学校独自で行ってきたものに対して柔軟性がないといった話が出てきていると理解している。通知表の形式一つをとっても各学校でかなり違ってきている。それが保護者にとっては、それぞれの学校の伝統、または、この間積み上げられてきた論議の中でつくられてきたものであると思う。こういった通知表の形式などについては、各学校の主体的な判断で、弾力的に運用されるべきではないかと考えている。その点についての見解を伺う。
秋山総務政策局長 通知表の形式等について。アンケート結果によると、校務支援システムの課題として、八三・一%の学校が通知表や成績一覧表など帳票に柔軟性がないと回答している。
本システムでは、初期設定の形式による出力に加えて、学校で使用される様々な帳票の作成ができるよう、必要な情報を抽出したデータファイルの出力機能を追加してきており、各学校の主体的な判断によって、任意の形式で柔軟に帳票を作成することも可能になっているが、この機能を使うためには、データを置き換える操作を行う必要がある。
道教委としては、今後とも、学校現場の意見を十分に伺いながら、この機能の利用方法を含め、分かりやすい操作方法や具体的な運用事例の提供、普及などを行い、本システムの一層の活用に努めていく。
― 指 摘 ―
川澄委員 アンケート結果によると、八三%、ほとんどの学校が通知表や成績一覧表の帳票に柔軟性がないと回答している。これは、学校にとって使いづらいという結果を表していると認識している。学校の意見を十分聞いて運用していかなければ、これが二度手間になってしまう。それぞれの学校の形式になかなか対応しないのであれば、また一から書き直さなければならない。そういった状況が生まれるわけであるから、十分に現場の意見を聞き、運用していくことが大切であることを指摘しておく。
― 再質問 ―
川澄委員 情報管理に関しては、現場の先生方の不安がぬぐい切れないところがある。例えば、健康診断の結果等を一律管理することが外部への情報提供につながるのではないか。そういった懸念がぬぐい切れないといった課題が残っていると考えている。あくまでも、本システムの目的は事務処理、事務負担の軽減や多忙化の解消につながるものであると考えているが、あらためて見解を伺う。
山本教育部長 校務支援システムの目的について。先ほど担当課長、担当局長からも答えたが、あくまで校務の効率化や事務負担の軽減によって、時間外勤務の縮減や子どもと向き合う時間の確保、これを目的としている。
道教委としては、今後とも、情報セキュリティの確保に努めることはもとより、校務の情報化によって、教育の質の向上を図るために、学校現場の意見を十分に聞きながら、本システムの活用に努めていきたいと考えている。
― 指 摘 ―
川澄委員 答弁いただいたとおりだと思う。このシステムが導入されてから数年経つ。システムは、時間が経てば経つほどいろいろな要望も出てくるし、それに応じて改善され、より良いものになっていくと思っている。効率化を含めて、学校の先生方が子どもたちに向き合える環境をつくることが一番と考えている。事務処理が一番の大きな負担になっている。その時間をいかに軽減していくか。それが、このシステムの目的だと思っている。
ただ、大切な子どもたちの情報であるので、万全の体制を整えていただくこと。または、それが一括管理という形で別の目的に使われないことを説明していただいた。先生方が子どもとゆとりをもって向き合えるために、このシステムが十分な形で運用されるため、道教委が取り組んでいただけるよう指摘をする。
(道議会 2015-12-09付)
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