クリアファイル問題調査結果―道教委 8管内の道立15校で確認 学校や市町村教委へ指導通知
(道議会 2015-12-10付)

 道教委は、「政治的目的を有する」と考えられるクリアファイルが道立高校内で確認された問題に関し、道立学校・市町村立学校を対象に実施した調査結果を九日の道議会文教委員会で報告した。空知など八管内の道立学校十五校で、職員の机上に「置かれていた」ことなどが確認された一方、市町村立学校は該当がなかった。道教委では、「直ちに法令等に違反するものではないが、児童生徒や保護者の目にふれ誤解されるおそれがある」として、各道立学校・市町村教委に指導通知などを発出するほか、クリアファイルを配布した道高教組に申し入れるなどして、教職員の政治的中立性確保、服務規律の厳正な保持に努める考え。

 道教委はことし八月末、道立高校内で「アベ政治を許さない」との文言が入ったクリアファイルが職員の机上に置かれていたとの情報が寄せられたことから、道立高校全校に聴き取り調査を実施。五管内五校で同様の行為が確認された。

 クリアファイルの文言は、「国会議論やそれを取り巻く情勢から、政治的目的を有する」と考えられ、それを配布する行為は、「政治的行為を定義する人事院規則一四―七第六項第一三号で規定する、禁止されている政治的行為に該当するおそれがある」と判断。

 「教育公務員の政治的中立性を確保し、学校教育に対する道民の信頼を損なうことのない」ようにするため、十月十四日付で指導通知を発出したのに併せ、道立学校・市町村立学校職員を対象とした文書調査を実施した。

 調査対象は、道立学校二百六十四校の職員一万三千七百五十三人(一般職員一万二千八百九十八人、管理職員八百五十五人)、札幌市を除く市町村立学校一千四百十二校の職員二万五千百三人(一般職員二万二千三百八十二人、管理職員二千七百二十一人)。

 調査項目は、クリアファイルを①校内で職員が「配布している」ところを見たか②校内で「置かれている」「放置されている」「職員が使用している」ところを見たか―の二点。

 一般職員は無記名・任意作成、管理職員は記名・義務作成で行った。

 調査の結果、道立学校について、八管内の十五校で二十件の該当行為が確認された。いずれも、②の行為で、①は確認されなかった。

 内訳は、空知が一校三件、石狩が四校五件、後志が一校一件、渡島が三校四件、上川が一校一件、オホーツクが二校三件、十勝が一校一件、釧路が二校二件。

 回答内容をみると、「職員室で職員の机の上に置かれていたのを見た」との回答のほか、職員室の職員の机の上に置かれたり本立てに立てられたりしたため、「生徒の目にふれることのないよう指導した」「校長の指示のもと、職員と個別に面談を行い、クリアファイルの取扱いについて指導した」「持ち帰らせた」との指導事例があった。

 また、「職員が所有していたクリアファイルをほかの職員に見せていたことから、校内で使用したり、教職員や生徒等に見せることのないよう指導した」「教室内で、生徒の目にふれた」との報告があった。

 「職員室の自分の机の上に置かれていた」ため、机の中にしまったり、家に持ち帰ったとの回答もあった。

 一方、市町村立学校については、該当する行為が確認されなかった。

 道教委は、調査で確認された行為について、「直ちに法令等に違反するものではないが、児童生徒や保護者の目にふれ誤解されるおそれがある」と判断。

 各道立学校や各市町村教委に対して、指導通知などを発出する。また、クリアファイルを組合員に配布したと表明している道高教組に対し、口頭で申し入れを行う。

 また、各種会議や研修会などを通して、「教職員の政治的中立性を確保することはもとより、教職員の服務規律の厳正な保持に努めていく」との姿勢を明らかにした。

(道議会 2015-12-10付)

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