道議会文教委員会の質問・答弁概要(9月1日)(道議会 2015-12-08付)
道議会文教委員会(九月一日開催)における山崎泉委員(北海道結志会)、田中英樹委員(公明党)、加藤貴弘委員(自民党・道民会議)、川澄宗之介委員(民主党・道民連合)の質問、および柴田達夫教育長、杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、菅原行彦学校教育局指導担当局長、岸小夜子義務教育課長、堀本厚健康・体育課長、竹林亨学校教育局参事(生徒指導・学校安全)の答弁の概要はつぎのとおり。
◆全国学力・学習状況調査
山崎委員 現実的に、塾の影響は、非常に大きいのではないかと思う。
距離や貧困の問題によって、塾に行く割合が低いことが非常に大きい。同じ水準の教育を、公平感をもってやっていくことは重要だが、札幌と郡部の差は大きいのではないか。地方に対する配慮も含めて、この水準が保たれるように、どのように行ってきたのか、見解をお伺いしたい。
岸義務教育課長 学習塾について。本年度の全国学力・学習状況調査では、本道の子どもたちの学習塾に通っている割合は、小学校第六学年で約三九%、中学校第三学年で約五一%となっており、小・中学校で違いがあるものの、学習塾で、学校より進んだ内容を勉強したり、よく分からなかった内容を勉強したりしている子どもが一定数いる。
道教委では、学習塾に通っているかどうかにかかわらず、教育の機会均等という義務教育の趣旨を踏まえれば、北海道に住むすべての子どもたちに、社会で自立するために必要な学力を保障することが重要であると考えており、これまでも、チャレンジテストの実施をはじめ、放課後等の学習サポートを行う退職教員や学生ボランティアを学校に派遣するなど、各市町村教委や学校における学力向上の取組を支援してきている。
さらに、本年度からは、学習が遅れがちな子どもの支援のため、地域住民の協力を得て、道内三十市町村で「子ども未来塾」を実施することとしており、すべての子どもたちに、必要な学力を身に付けることができるよう引き続き取組を進めていく。
山崎委員 地方に対する配慮と同時に、貧困によって学力の負の連鎖が起きないように配慮していく必要性はもっとあるのではないか。
それと同時に、携帯電話、スマートフォンは、学力低下を含めて、教育に影響があるのではないかと思っているが、どのように考えているのか見解を伺う。
岸義務教育課長 スマートフォン等の影響について。本年度の全国学力・学習状況調査における携帯電話やスマートフォンの使用状況等については、今後、詳細に分析を行うが、前年度の状況では、各教科の平均正答率と携帯電話やスマートフォンの使用時間をクロス集計した分析結果では、小学校国語Aでは、一日四時間以上使う児童の平均正答率は六二・七に対し、三十分より少ない児童は七二・八、持っていない児童は七三・六、中学校国語Aでは、一日四時間以上使う生徒の平均正答率は七四・二に対し、三十分より少ない生徒は八一・一、持っていない生徒は八一・四となっているなど、小・中学校の全教科において、携帯電話やスマートフォンの使用時間と学力に相関関係がみられた。
道教委としては、学力や体力の向上のためには、子ども一人ひとりが学校や家庭の一日の生活を通した望ましい生活リズムを確立することが大切であると考えており、今後も、「ノーゲームデー」の推進や保護者等への啓発資料の配布などを実施する「どさんこアウトメディアプロジェクト」などの取組を通じて、ネット利用も含めた望ましい生活習慣の定着に向けて取り組んでいく考えである。
―意見―
山崎委員 私は、スマートフォンの影響について、道教委と見解が違う。北海道は、もともとゲームをする時間が長く、スマートフォンがあるからゲームをする、しないということではない。ゲームをする時間が長いか、長くないかということである。
スマートフォンは、無料で会話できるツールであることが、問題ではないかと思う。子どもたちに聞くと結局、そのツールを使っていることが、コミュニケーションを取っているという判断をしている。それが人の話を聞く、理解するといった根本的な学力、また、道理的な部分も含めて、様々な影響があることをかんがみていかなければならないのではないか。
道教委は、いまだに考え方自体が、国語力という位置付け。コミュニケーション能力について、子どもたちに答えを導かせることも含めて、授業の工夫をする中で、スマートフォンの影響を考えなければならないのではないか。
山崎委員 全国と比べたとき、北海道には、正答数の多い子と少ない子の差が非常に大きいという傾向がある。正答数の少ない子どもたちの割合が全国より多くなっていることをかんがみれば、その子どもたちに対する取組が必要と考えているが、見解を伺いたい。
岸義務教育課長 正答数が少ない児童生徒について。正答数が少ない児童生徒の割合が高いということは、習得することが望ましい学習内容が十分に身に付いていない児童生徒が多いということを示している。
道教委では、正答数が少ない児童生徒に対するきめ細かな指導の充実が図られるよう、これまでも、学校に対して、子ども一人ひとりの習熟の程度に応じた少人数指導を計画的に実施すること、チャレンジテストを活用して子ども一人ひとりの定着状況を把握し、個に応じた指導を工夫すること、放課後等に補充的な指導を実施することなど、基礎・基本の定着に向けた取組を進めるよう指導してきており、今後においても、より一層徹底するよう、指導主事の学校訪問等を通じて、それぞれの学校の実態に応じて具体的に指導助言していく考えである。
―指摘―
山崎委員 正答数が多い子どもと少ない子どもの差が広ければ広いほど、先生は一人しか基本的にいないので、中間にレベルを合わせれば、中の上が伸びるだけで、上は天井効果、下はついていけない。その関係の中、差を縮めていくことが必要であり、北海道の問題点としてあるのではないかと指摘したい。
道教委として習熟度別授業を進めているが、どの教科、どういった年代、どういった部分で、どんな効果があるのか検証していただきたい。
山崎委員 授業の改善には、学校全体で組織的に取り組む必要性があると考えている。現在、道教委では、学校全体で取り組む授業改善がどのように行われているのか伺う。
岸義務教育課長 全校で取り組む授業改善について。道教委では、二十四年度から、「学校力向上に関する総合実践事業」を実施し、本年度は、実践指定校と近隣実践校等を合わせ十四管内百校で、全教職員が一体となった授業改善に取り組んでおり、これらの学校では、すべての教員が、学習課題を黒板に書くことや、学んだことを定着させるために練習問題に取り組ませることなどに取り組み、学力向上に成果を上げてきている。
また、本年度からは、異なる学校の教員がチームを組んで、一週間を単位として同一の学校に勤務して、全学級でチーム・ティーチングを行い、学校全体の授業改善に取り組む「授業改善推進チーム活用事業」を九市町八チームで実施している。
今後、これらの事業の成果を取りまとめ、各市町村に情報提供するなどして、学校全体で授業改善が一層進むよう取り組んでいく。
山崎委員 本年度から、チーム・ティーチング授業が実施されているが、この授業については、十勝でも行われるので、拝見させていただき、成果、効果があるのかを含めて検証させていただきたい。
学力向上は、今後のためにも進めていかなければならない、生きる力を補っていくものの一つが学力向上であって、子ども一人ひとりを評価していくことが普通ではないかと考える。そういった部分も含めて、教育長にお伺いする。
柴田教育長 道教委としての今後の取組について。道教委においては、教育の機会均等という義務教育の趣旨を踏まえて、全国平均という目標を掲げているが、これまでも申し上げたように、平均点を上げるというそのものが目的ではなくて、子ども一人ひとりに、ただ今、委員から指摘もあったように、基礎・基本を確実に身に付けさせる取組が大事だと考えている。
そうした中で、道教委はこれまでも、その上で必要な学力を身に付けさせる必要ももちろんあると考えており、これまでも、チャレンジテストの実施をはじめ、退職教員等や学生ボランティアを活用した学習サポートの実施など、市町村教育委員会や学校を支援する取組を進めてきており、本年度の調査においても、前年度に引き続き、そうした皆さんの努力をいただきながら、一定の成果が現れてきているものと考えている。
そういった中で、まだ多くの教科で全国平均を下回っているという状況については、引き続き厳しく受け止めながら、今後も、授業の改善と生活習慣の確立、この二つを車の両輪と位置付けて、全国学力・学習状況調査を活用した検証改善サイクルをより一層確かなものとして、正答数の少ない児童生徒の学習状況を改善することに重点的に取り組みながら、本年度に引き続き、二十八年度には全国平均以上という目標を達成できるよう、学力向上の取組を推進していきながら、子どもたちの生きる力をしっかり身に付けていけるように取り組んでいきたいと考えている。
◆全国学力・学習状況調査
田中委員 本年度の結果については、全国との差が広がった教科はあるものの、全体としては改善の傾向にあることが分かった。
しかし、多くの教科では全国を下回っている状況にあり、より一層、学力向上の取組を進めていく必要があると考える。特に、小学校では、全国平均を目指して、学校、家庭、地域が一体となった取組を進めていくことが大切であり、そのためには、道民全体で今回の結果を正しく認識し、課題を共有していくことが必要であると考えている。
そこで、調査結果について、いくつか質問する。
子どもたち一人ひとりに確かな学力を身に付けていくためには、子ども自身の学習に対する意欲を高めていくことが大切だと思う。
そこで、子どもの学習に対する意識は、どのような状況になっているのか伺う。
岸義務教育課長 子どもの学習に対する意識について。それぞれの教科の勉強が好きと回答した児童生徒は、国語では、小学校が全国より〇・七ポイント高い六一・八%、中学校が三・七ポイント高い六四・二%、算数・数学では、小学校が二・一ポイント低い六四・五%、中学校が二・二ポイント低い五三・八%、理科では、小学校が二・一ポイント高い八五・六%、中学校が四・五ポイント高い六六・四%となっており、全国の平均正答率との差が大きい算数・数学は、学習に対する意識についても、全国と比べて低い状況がみられる。
田中委員 算数・数学よりも国語や理科が好きという子どもが多く、そのことが平均正答率にも影響しているようである。学習に対する興味や関心を高める指導を工夫することが大切だと思う。興味がわくと、家庭でも学習するようになると思うが、「一日当たり一時間以上勉強する」子どもの割合は全国より低くなっている。また、テレビやゲームをする時間も、全国より長い傾向が続いている。
こうした結果をみると、本道の子どもたちは、家庭学習の仕方が身に付いていないのではないか。道教委として、この点について、どのように認識しているのか伺う。
岸義務教育課長 家庭学習について。本道の子どもたちは、小・中学校ともに、「家で、自分で計画を立てて勉強している」と回答した児童生徒の割合が全国より高くなっており、自分は家庭学習をしていると考えている子どもが多いものの、「普段、一日当たり一時間以上勉強する」割合は全国より低く、また、「普段三時間以上テレビゲームをする」割合は、全国より高い状況となっている。
このような状況から、本道の子どもたちの家庭学習は、必要な時間が十分に確保されておらず、学習内容を確実に定着させる効果的な学習の仕方が身に付いているとは言い難い状況がみられる。
田中委員 北海道の子どもたちは、効果的な家庭学習がなかなかできていない状況がみえてきた。
家庭学習の習慣を定着させるためには、学校が出す宿題も一つの大事な要素だと考えるが、宿題の状況は、どのようになっているのか伺う。
梶浦学校教育局長 宿題の状況について。宿題をよく与えたと回答した学校は、小学校が国語で前年度より五・一ポイント高い七八・八%、算数で前年度より四・二ポイント高い八二・四%となっているが、全国と比べると、国語で七・三ポイント、算数で五・一ポイント低くなっており、また、中学校が国語で前年度より八・二ポイント高い四八・五%、数学で前年度より七・一ポイント高い五五・六%で、全国と比べると、国語で二・九ポイント低く、数学で〇・四ポイント高くなっており、数学以外は、全国と比べ低いものの、宿題を与えた学校は増えてきている状況である。
また、保護者に対して家庭学習を促すような働きかけを行った学校は、小学校で前年度より三・一ポイント高い六七・二%、中学校で前年度より五・〇ポイント高い四七・四%であり、全国と比べて、小学校で一三・四ポイント、中学校で一五・六ポイント高くなっている状況である。
田中委員 多くの学校が宿題を出して、家庭学習をするよう保護者に働きかけをしていることが分かった。
北海道では、地域によって、塾がないところが多いため、子どもたちに学習習慣を定着させていくためには、学校と家庭が連携協力した取組を進めていく必要があると考えるが、道教委として、今後、どのように取り組むのか伺う。
柴田教育長 家庭学習の充実に向けた今後の取組について。道教委においては、学習習慣の確立や基礎学力の定着を図っていく上で、家庭学習の習慣化は不可欠であると考えており、各学校に対し、子どもたちの生活習慣の実態について、調査結果を活用して保護者の方々に分かりやすく示し、家庭と連携しながら、家庭学習を含めた生活習慣の改善を図るよう指導を行ってきた。
しかしながら、先ほど申し上げたように、家庭学習の時間は、必ずしも十分に改善されていないことから、道教委としては、今後、子どもが主体的に家庭学習に取り組むことの大切さなどを示した保護者向けの啓発資料を作成して、「ほっかいどう〝学力・体力向上運動〟」を展開する中で有効に活用するなどして、学校やPTAとも連携しながら、保護者の方々のさらなる意識啓発を図っていきたいと考えている。
◆児童生徒の安全確保
加藤委員 先日、大阪府内で中学生二人が殺害されるという大変痛ましい事件が発生した。今回の事件の重大性を踏まえると、本道のすべての教育関係者や保護者、地域社会が連携・協力して、このようなことが二度と起きないように努める必要がある。
そこで、児童生徒の安全確保について伺う。
今回の事件は、北海道で起こったわけではないが、非常にショックな内容であり、社会的な影響はとても大きく、本道においても、いつ同様の事件が起こるか分からない。また、模倣犯が現れないとも限らない。保護者にとっても教育関係者にとっても、不安な状況であると考える。
まず、今回の事件について、教育長はどのように受け止めているのか伺う。
柴田教育長 指摘の事件について。現時点において、原因や背景等の詳細について、明らかにはなっていないが、中学生二人の尊い命が失われたということは動かし難い事実であって、極めて痛ましい出来事であると受け止めている。
私としては、この事件の重大性にかんがみて、本道においても、すべての教育関係者が連携・協力して、こうした事件が決して起こることがないよう、全力で取り組む必要があると考えている。
加藤委員 今回の事件にかかわっては、中学生二人の深夜徘徊(はいかい)について、報道されているが、道内の児童生徒の深夜徘徊の状況は、どのようになっているのか伺う。
竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 児童生徒の深夜徘徊について。道青少年健全育成条例では、保護者は、やむを得ない事情がある場合のほかは、午後十一時から翌日午前四時までの深夜、監護する青少年を外出させないよう、規定している。
児童生徒の深夜徘徊については、道警の統計資料では、二十六年中、道内で不良行為少年として補導された児童生徒のうち、深夜徘徊は四千六百五十一人で、二十五年に比べ四百三十人減少している。学校種別では、小学生が三十二人、中学生が八百九人、高校生が三千八百十人であった。
加藤委員 報道によると、今回の事件の容疑者は、被害となった児童生徒と面識がなかったとのことである。本道においても、不審者による子どもへの声かけ事案などが後を絶たないが、不審者の状況と対応についてはどのようになっているのか伺う。
竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 不審者への対応等について。子どもへの声かけやつきまといなどの事案は、道警の統計資料では、本年一月から七月末までに、前年比百四十件増の五百六十二件となっている。
各学校においては、知らない人に声をかけられても気軽に近づかないこと、できるだけ複数の友達と行動し、一人で外出するときは早めに家に帰ること、不審者に声をかけられた場合は、先生や近くの大人に知らせ、110番通報をしてもらうことなどを指導してきた。
前年度の道警の統計資料においては、九月、十月は、声かけ事案等が増加する傾向にあることから、道教委としては、市町村教委や学校に対し、あらためて不審者に対する注意を喚起するよう指導していく。
加藤委員 今回の事件を受け、道教委として、何らかの手立てを打ったのか。また、何もしていないのであれば、手立てが必要であると考えているが、道教委としての考えを伺う。
菅原学校教育局指導担当局長 各学校への指導について。道教委では、これまでも、児童生徒の安全確保に向け、各市町村教委や学校に対し、通知を発出するなどして指導してきたが、このたびの事件の重大性にかんがみ、あらためて事件の課題を踏まえた具体的な指導のポイントや先ほど答えた不審者に対する注意などを示した児童生徒の安全確保にかかる通知を発出し、指導していく。
―意見―
加藤委員 保護者も大変不安であり、教育関係者も同様であると思う。早急な対応をよろしくお願いする。
加藤委員 深夜徘徊で補導された児童生徒が四千六百五十一人ということだが、こうした児童生徒の情報共有を含め、各学校において、地元の警察と連携した対応が必要と考える。見解を伺う。
竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 警察との連携について。学校と警察が児童生徒の健全育成を図るために、それぞれの機能を発揮して非行等の防止を図ることは、極めて重要であり、道教委では、各道立学校とその管轄する警察署との連絡が円滑に行われるよう、「子どもの健全育成サポートシステム」の協定を結び、十六年度から運用している。
本サポートシステムでは、児童生徒が逮捕された事案のほか、家出や深夜徘徊等を繰り返すなど、継続的に対応が必要と認められる事案について、警察から学校へ連絡されることとなっている。
また、現在、道内のすべての市町村教委が警察署と子どもの健全育成にかかる協定を締結しており、道教委としては、今後も、引き続き、各市町村教委や学校に対して、児童生徒の安全確保のため、警察との一層の連携が図られるよう、働きかけていく。
―意見―
加藤委員 道教委は、毎年、道の公安委員会と意見交換会を実施しているが、そういった場面などでも、積極的に取り上げていただき、全道的な観点から子どもたちの安全確保策について、関係者間の意思疎通を図っていただきたいと思う。
加藤委員 夏季休業に向けた指導について。今回の事件は、夏休み中に発生したもの。夏休み中の生活について、道内の各学校においては、児童生徒に対してどのような指導をしているのか伺う。
竹林学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 夏季休業に向けた指導について。夏休みなどの長期休業は、児童生徒が、自主的、自律的に生きる力を身に付けるための良い機会であり、豊かな人間性を培う上でも有意義なものである。
一方、学校生活から長期間離れることによって、児童生徒の気持ちが緩み、生活が不規則になるようなことから、各学校においては、夏季休業中に問題行動を起こしたり、不慮の事故に遭ったりすることがないよう、全校集会や学級活動等での児童生徒への指導のほか、『学校だより』や『学級通信』等による保護者への協力の依頼などを行っている。
また、道教委では、毎年、「夏季休業に向けての児童生徒の指導等について」の通知を発出し、各市町村教委や学校に対して、家庭や地域の関係機関・団体等との緊密な連携のもとに、規律ある生活に向けた指導や不良行為、暴力行為等の未然防止など事故防止について万全を期すよう指導している。
加藤委員 今回の事件にかかわっては、家庭での指導にも検証すべき点があるように感じている。本道においても、外出時間等の家庭におけるルールづくりが必要であると考えるが、道教委としての考えを伺う。
杉本学校教育監 家庭のルールづくりについて。家庭においては、市町村教委や学校が地域の青少年健全育成団体等と連携して作成する「生活のきまり」等を踏まえ、各家庭での外出時間等のルールや目安を決め、それらをしっかり守るよう児童生徒と話し合うことが極めて重要と考えている。
このため、道教委としては、各市町村教委および学校に対して、先ほど指導担当局長から答弁のあった通知の中に、家庭における外出時間等のルールづくりを盛り込むほか、道PTA連合会等に対し、家庭におけるルールづくりについての協力要請を行うとともに、「道家庭教育サポート企業」に対しても働きかけていく考えである。
加藤委員 このような痛ましい事件が起きないようにするためには、タクシー協会や運送協会、郵便局など地域に密着した企業等に危険な児童生徒を見かけたら、会社や警察に通報してもらうなどの協力を得て、早急に地域のネットワークをつくり、児童生徒の安全確保に努めることが大切であると考えるが、道教委として、今後、どのように取り組んでいくのか伺う。
柴田教育長 児童生徒の安全確保に向けた今後の取組について。児童生徒の健全育成のためには、学校、家庭、地域、関係機関等が連携して、実効ある取組を推進することが大切であると考えている。
このたびの事件を受け、道教委としては、今後、道や道警と連携し、タクシー会社、運送会社、郵便局など、地域の実情に詳しい企業・団体等に協力をいただき、例えば、深夜に徘徊している児童生徒を見かけた場合には、声をかけていただいたり、警察に通報していただいたりなどの、児童生徒が犯罪の被害に遭わないようにするため、ただ今委員から提案いただいた見守り活動のネットワークを構築して、児童生徒の一層の安全確保に努めていきたいと考えている。
食に関する指
導の実施状況
川澄委員 一学期が終わってから、道内の給食センター施設の状況がどのようになっているのか見学等させていただき、センター長ほかからも、状況について説明いただいた。
食に関する指導について、栄養教諭と話す機会があった。指導に関して様々不安なことや、うまくいかない点を聞いてきたので、そういった点を含めて、食に関する指導の状況について伺う。
栄養教諭の道内における配置状況について、人数および配置されている市町村数について伺う。
堀本健康・体育課長 市町村における配置状況について。本年四月一日現在、道内百七十九市町村のうち、学校給食を実施していない、あるいは、ほかの市町村から学校給食の提供を受けている二十二市町村を除く百五十七市町村が、栄養教諭の配置対象市町村となっており、そのうちの百五十一市町村に三百八十八人の栄養教諭が配置されているが、残りの六市町村では未配置となっている。
川澄委員 今後の栄養教諭の配置についての考え方を伺う。
堀本健康・体育課長 栄養教諭の配置の考え方について。道教委では、学校における食に関する指導の充実を図るため、国の制度改正によって、栄養教諭の配置が可能となった十七年度から、学校栄養職員からの任用換えや新規採用によって、栄養教諭の任用を順次進めてきた。
しかしながら、栄養教諭への任用換えを望まない学校栄養職員がいることや、給食調理場の整備時期と併せて栄養教諭を任用することとしている市町村があることから、引き続き、未配置の市町村に対して、あらためて栄養教諭制度の趣旨を説明するなどして、早期に栄養教諭が配置されるよう取り組んでいく。
川澄委員 栄養教諭の役割および配置を進める理由について伺う。
堀本健康・体育課長 栄養教諭の役割などについて。栄養教諭は、食に関する指導と学校給食の管理を職務内容とし、食に関する指導としては、肥満や偏食、食物アレルギーなどの児童生徒に対する個別指導や学級活動などにおける学級担任等と連携した集団的な食に関する指導、教職員間や家庭・地域と連携した食に関する指導にかかわる連絡・調整を行うこととされ、また、学校給食の管理としては、栄養管理や衛生管理などを行うこととされている。
道教委としては、子どもたちに、食に関する正しい知識や望ましい食習慣を身に付けさせるとともに、食に関する様々な体験活動を通して、地域の文化や産業など郷土への理解を深めさせるため、学校において、こうした食に関する指導の中核的な役割を担う栄養教諭の配置を進めている。
川澄委員 道内には、数多くの栄養教諭が配置されているが、現在、栄養教諭が配置されている地域においては、どのように食に関する指導が行われているかを伺う。
堀本健康・体育課長 食に関する指導について。栄養教諭が配置されている学校においては、栄養教諭が中心となって児童生徒の健康状態や食生活の実態等を踏まえながら、食に関する指導の全体計画および年間指導計画の原案を作成し、全教職員の共通理解を図った上で、学校としての計画を決定している。
食に関する指導としては、例えば、地場産物を活用した学校給食を実施する際に、栄養教諭が学級に出向き、地域の産業などについて理解を深める指導を行うなどの例がある。
また、こうした取組のほかにも、特別活動の時間において、朝食の大切さや栄養バランスのとれた食事をとることの重要性などについて、学級担任とのチーム・ティーチングによる指導なども行われている。
川澄委員 今、説明いただいたが、何人かの栄養教諭と話す中で、なかなか授業が行われていない状況であると聞いている。地域によって差はあると思うが、年に数回程度という人もいれば、十回を超える人、一学期に一度も指導はできなかった人もいると聞いている。こういった中で、食に関する指導が全く行えない状況の栄養教諭がいる。道教委は、栄養教諭の食に関する指導の実態、年間授業時数、指導体制などを把握しているのか伺う。
堀本健康・体育課長 食に関する指導の実施状況について。道教委が行った調査では、二十五年度における栄養教諭による食に関する指導の回数は、「毎日指導している学校」が小学校六十二校で七・八%、中学校十五校で三・三%、また、「週や月、学期に数回指導している学校」が小学校二百四十七校で三〇・九%、中学校六十五校一四・三%となっており、「年に一~二回」が小学校四百六十三校で五七・九%、中学校三百二十八校で七一・九%となっているほか、「指導していない」が小学校二十二校で二・八%、中学校四十六校で一〇・一%となっている。
川澄委員 この中には、かなり差がある。確かに、毎日行うのは非常に難しい。ほとんどの学校は年に一~二回、中には、指導していない、栄養教諭が配置されていても全く指導していないという実態がある。
こういった状況が起きる理由は何か。また、この間、道教委は指導および対応をどのようにしていたのか伺う。
堀本健康・体育課長 食に関する指導について。栄養教諭による食に関する指導が行われていない学校があることや、学校によって指導の回数に差が生じている要因としては、栄養教諭が担当する学校数や、学校間の移動距離などに違いがあることや、市町村によっては、事故の防止など給食管理に重点が置かれ、栄養教諭の食に関する指導の役割が十分に生かし切れていないことなども考えられる。
道教委としては、これまでも、栄養教諭による食に関する指導の充実を図るため、市町村に対して、『栄養教諭を中核とした食育の推進実践事例集』や、「学校における食育推進モデルプログラム」を作成・配布するとともに、栄養教諭の専門性を生かした指導の充実に関し、教育局指導主事の学校訪問において、必要な指導助言を行ってきている。
川澄委員 栄養教諭の本務の一つである食に関する指導が、配置されている市町村によって、大きく異なっていることは大きな問題だと認識している。道教委は、市町村によって大きな差がなく、適切に指導が行えるよう指導助言を行うべきと考えるが、道教委の見解および今後の対応について伺う。
菅原学校教育局指導担当局長 栄養教諭による指導について。道教委としては、栄養教諭による食に関する指導を担当する学校のすべての児童生徒が少なくとも年に一回は受けられることを目標としており、栄養教諭が配置されているにもかかわらず、指導が行われていなかったり、実施回数が少なかったりする学校があることは、食育を推進する上で、大きな課題であると受け止めている。
このため、栄養教諭が、食に関する全体計画等の改善や教職員間や家庭との連携・調整など、学校における食に関する指導の中心的な役割を果たしながら、担当するすべての学校の児童生徒に対し、確実に食に関する指導が行われるよう、「学校における食育推進モデルプログラム」等を活用し、教育長会議等を通じて市町村教委に直接働きかけるとともに、必要な指導助言に努めていく。
―指摘―
川澄委員 栄養教諭が指導したいという願いをもっているにもかかわらず、採用された自治体によって、全く指導ができない、または、学校との連携やセンターとの関係によって指導ができると、差が大きく出ている状況があると聞いている。非常に大きな問題と考える。食に関する指導を適切に行っていくことは、自治体間で大きな差があってはならない。在籍校または教育委員会には、十分に食に関する指導の重要性を理解していただく。道教委は、栄養教諭が自身の専門性を生かし、授業に取り組む状況をつくれるよう、しっかりと指導助言していただきたいことを指摘する。
(道議会 2015-12-08付)
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