道議会文教委員会(9月1日)の質問・答弁概要(道議会 2015-12-04付)
道議会文教委員会(九月一日開催)における吉田祐樹委員(自民党・道民会議)、川澄宗之介委員(民主党・道民連合)の質問、および柴田達夫教育長、杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、岸小夜子義務教育課長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆全国学力・学習状況調査
吉田委員 小学校と中学校を比べると、小学校の方が全国平均より低くなっており、特に、算数に課題があるように思われる。小学校の詳しい状況について伺う。
岸義務教育課長 小学校の状況について。全国の平均正答率との差を前年度と比べると、国語Aで〇・八ポイント、算数Aで〇・六ポイント広がっているものの、国語B、算数B、理科で差が縮まったほか、本年度、全国との差が最も大きかったのは算数Aの二・九ポイントで、前年度、最も差が大きかった算数Bの三・〇ポイントから縮まっており、全体として改善の傾向がみられる。
しかし、算数Aでは、第四学年で学習する分度器を使った角度の測定や、第五学年で学習する分数の割り算などの問題で、全国の平均正答率との差が大きくなっており、第五学年までの学習内容の定着が不十分な状況がみられる。
吉田委員 分析結果で弱いところなどが、少しずつ解明されてきていると思うが、まだまだ課題があるようなので、引き続き改善の努力をしていただきたい。
一方、中学校の状況については、ことしの「調査結果のポイント」で、中学三年生が小学六年生のときに受けた結果との比較がなされている。このことについて伺う。
岸義務教育課長 中学校の状況について。本年度の調査対象である中学校三年生が小学校六年生だった二十四年度の結果と比較すると、全国の平均正答率と比べ、国語Aでは四・二ポイント低かったのが差がなくなり、国語Bでは四・五ポイントの差が〇・一ポイント、数学Aでは四・六ポイントの差が一・四ポイント、数学Bでは四・六ポイントの差が一・九ポイントの差に縮まり、理科では二・三ポイント低かったのが全国より〇・三ポイント高くなり、いずれの教科においても改善されている。
吉田委員 中学校の生徒が小学校時代に比べて、力を発揮して全国水準になってきているということは、塾等の影響もあると思うが、評価したいと思う。
特に、理科については改善傾向がみられているようである。本道の子どもたちが理科への興味・関心が高いことがうかがえる。
道教委の取組で、サイエンスカーがへき地の学校へ出向いて観察・実験を直接体験させてきた取組があるが、今後、理科教育の充実に向け、このサイエンスカーの活用についてはどのように考えているのか伺う。
岸義務教育課長 サイエンスカーの活用について。道立教育研究所附属理科教育センターでは、子どもたちの自然科学に対する興味・関心を高め、科学的なものの見方や考え方の育成を図ることを目的に、昭和四十六年度から、理科教材を搭載したサイエンスカーを導入して、へき地・小規模校の小学校や中学校を巡回し、観察、実験を行う移動理科教室を継続的に実施してきており、本年度はさらに、土曜授業の実施校や放課後子ども教室などでも活用されており、こうした取組を通じて、子どもたちの理科に対する興味・関心が高まっているものと認識している。
現在、このサイエンスカーについては、老朽化した車両や搭載する観察・実験器具の更新を進めており、来年度からは、特別支援学校での移動理科教室を拡充するなど、新しいサイエンスカーを一層効果的に活用して、理科教育のさらなる充実を図っていく。
吉田委員 本年度更新されるということであるが、サイエンスカーがより一層活用され、理科に対する興味・関心がさらに高まることを期待している。
ところで、学力調査では、児童生徒質問紙調査や学校質問紙調査も行っているが、その中で、今回、特徴的な状況があれば伺う。
岸義務教育課長 質問紙調査からみられる特徴について。調査では、学校質問紙と児童生徒質問紙に共通する項目がいくつかあり、指導方法に関して、例えば、授業の冒頭で目標を示すことについて、学校質問紙調査で「よく行った」と回答した小学校は六七・三%、中学校は五〇・〇%に対し、児童生徒質問紙で「そう思う」と回答した児童は四九・〇%、生徒は三〇・一%となっている。
また、授業の最後で振り返る活動について、学校質問紙調査で「よく行った」と回答した小学校が五四・三%、中学校が三九・一%に対して、児童生徒質問紙で「そう思う」と回答した児童は三五・五%、生徒は一三・九%となっており、いずれも児童生徒質問紙の方が二〇%程度低く、学校と子どもの意識の差は、全国と比べても大きくなっている。
― 再質問 ―
吉田委員 学校と子どもの意識に大きな差が全国と比べてもある。先生は指導したつもりでも、それが子どもに伝わっていない状況にみえる。子どもがきちんと授業の内容を受け止めることができるよう、指導方法を改善していく必要があると考えるが、道教委は、こうした意識の差について、どのように考えているのか伺う。
梶浦学校教育局長 学校と子どもの意識の差について。学習した内容が確実に身に付くようにするためには、教師が提示した授業の目標を、子どもがしっかりと意識して学習に取り組んだり、授業の最後で学習した内容を振り返って確かめたりする活動を充実することが大切であり、調査結果からみられる学校と子どもの意識の差を少なくすることが必要である。
道教委としては、今後、授業の目標は必ずノートに書かせるなど授業改善の視点を明確にした指導資料を作成し、各学校に配布するとともに、各教科の指導方法の改善に関する研修会において、子どもが学習の見通しをもつことができる目標の提示や、学習したことを振り返る活動の改善充実について重点的に指導するほか、指導主事の学校訪問などを通じて、子ども理解や子どもの評価の在り方などについて、あらためて指導助言するなどし、教育活動の充実に取り組んでいく考えである。
吉田委員 道教委では、二十三年に「二十六年度までに全国平均以上」という目標を掲げ、前年度は一つの教科で目標は達成したものの、ほとんどの教科で達成できず、「二十七年度には、すべての教科で全国平均を目指す」と目標を再び設定した。
本年度は、理科が増えて十教科で実施され、そのうち二教科で目標を達成したものの、ほかの八教科では目標が達成できず、また、各都道府県の平均正答率との比較では、全国の中で低い位置にある。来年度に向け、道教委では目標について、今後、どのように考えているのか伺う。
柴田教育長 全国学力・学習状況調査について。本年度の調査の結果においても改善の傾向がみられ、これまでの取組が一定の成果として現れてはいるものの、なお一層の努力が必要であると考えており、道教委としては、教育の機会均等という義務教育の趣旨を踏まえ、本道に住むすべての子どもたちに、社会で自立するために必要な学力を身に付けさせる必要があるとの考えのもと、学校、家庭、地域、行政が一体となって取り組む「ほっかいどう〝学力・体力向上運動〟」などを継続し、これまでの取組をより一層徹底、強化していくことが必要と考えている。
このため、今後も、授業改善と生活習慣の確立を車の両輪と位置付けて、全国学力・学習状況調査を活用した検証改善サイクルをより一層確かなものとして、正答数の少ない児童生徒の学習状況を改善することに重点的に取り組みながら、二十八年度には、すべての教科で全国平均以上という目標を達成できるよう、引き続き、学力向上の取組を推進していきたいと考えている。
吉田委員 次年度には目標が達成されるよう、これまで以上に、特に、保護者、地域住民と課題を共有することが大切だと思っているので、ぜひ、進めていただきたい。
道教委では、道民に分かりやすく結果を伝えるため、前年度、八十六市町村の同意を受けて市町村別の結果を公表した。家庭や地域が一体となった取組を進めるために、こうした公表は効果的であると考えるが、一方で、序列化につながるという意見や批判もある。こうした公表の仕方について、あらためて道教委の認識を伺う。
梶浦学校教育局長 市町村別結果の公表について。国の実施要領では、調査結果の公表に関して、「序列化や過度な競争が生じないようにするなど教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要である」とされている。
道教委では、前年度、こうした配慮事項に基づき、単に平均正答率などの数値のみの公表を行うのではなく、教科の領域別の状況を分かりやすく示すことができるレーダーチャートを基本としつつ、市町村教委がこれまで取り組んできた施策等の成果を示すことができるようにし、今後、重点的に推進する施策等を掲載したものである。
こうした内容は、平均正答率の数値等を単純に並べ、優劣を付けるといった、いわゆる序列化につながらないよう検討したものであり、本年度も、市町村教委に丁寧に説明していく考えである。
吉田委員 学校では、授業の改善等に頑張っていると思っている。家庭に危機感を広めていくために、分かりやすいレーダーチャート等もそうだが、結果を公表していくことが今後も重要と思っている。
わが会派としても、この市町村別結果の公表をさらに進めていくべきと考えている。前年度は、八十六市町村が同意したが、本年度はさらに同意数を増やし、道教委の結果報告書をより充実して、保護者や地域と課題を共有し、学力向上に取り組んでいただきたいと考えているが、道教委の見解を伺う。
杉本学校教育監 道教委による市町村別結果の公表について。道教委では、前年度と同様、国の実施要領に基づき、同意が得られた市町村の結果を道教委が取りまとめる調査結果報告書に掲載することとして、先月、市町村教委に対し、本年度の市町村別結果の公表について、同意の照会を行った。
前年度、報告書に掲載した市町村からは、序列化につながったという声は聞いていない一方で、学校と地域住民が地域の課題や成果を共有でき、学校と家庭が連携して生活習慣の改善に取り組んだ、また、学校支援地域本部による学校支援が促進された、さらには、掲載市町村間で視察を行い、成果を上げている地域の取組を共有できたなどといった、学力向上に向けた取組の充実につながったという報告を受けており、本年度は、こうした事例を紹介しながら、より多くの市町村の同意が得られるよう、働きかけていく考えである。
◆全国学力・学習状況調査
川澄委員 新聞報道等で、教育長のコメント等が書かれていた。あらためて、今回の調査結果をどのように受け止めているのか、道教委の見解を伺う。
岸義務教育課長 調査結果の受け止めについて。二十七年度の本道の状況は、全国の平均正答率との差が、前回と比べて二教科で同じ、五教科で縮まり、そのうち、中学校国語A、中学校理科は全国平均以上となるなど、前年度に引き続き改善の傾向がみられ、教育委員会や学校、家庭、地域の取組が一定の成果として着実に現れてきたものと受け止めている。
一方で、いまだ多くの教科で全国平均を下回り、そのうち、三教科では全国との差が広がっていることから、こうした状況を厳しく受け止め、全国学力・学習状況調査を活用した検証改善サイクルをより一層確かなものとして、正答数の少ない児童生徒の学習状況を改善するなど、なお一層の努力が必要と考えている。
川澄委員 ポイントでみれば、確かに全国平均と比べると差はあると思うが、問題の正答率でみれば、そんなに開きはないと認識している。ただ、本道は広大な地域でもあるので、本道で生きていく子どもにとって本当に必要な学力とは何か、あらためて道教委の見解を伺う。
柴田教育長 子どもの学力について。道教委では、自立と共生を北海道教育の基本理念として、社会で生きる実践的な力の育成を目指している。そのためには、学校教育において、確かな学力や豊かな心、健やかな体などの生きる力の育成に向けて、知・徳・体のバランスのとれた教育活動を展開することが大切であると考えており、子どもたちには、学校教育法に規定された基礎的・基本的な知識・技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等を育み、主体的に学習に取り組む態度を養うことが重要であると考えている。
― 意 見 ―
川澄委員 確かに義務教育の段階なので、必要な力を付けさせることは全国共通だと思う。ただ、道として、どのような子どもたちを育てていくのか、本道で暮らしていく子どもたちにとって本当に必要な学力を検討していく必要があると考えている。
川澄委員 この調査は、本来、全国で教育条件が整っているかどうかを調査する目的で始められたと認識している。本調査の目的は、教育条件整備に寄与することなのか、それとも、全国平均の向上なのか、あらためて伺う。
岸義務教育課長 全国学力・学習状況調査の目的について。文部科学省は、実施要領の中で、この調査の目的として、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図ること、また、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てること、さらに、そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することを示しており、道教委としても、こうした目的を達成するように取り組んでいる。
― 意 見 ―
川澄委員 子どもたちの教育条件を整備していくことを重点にして、取り組んでいただきたい。
川澄委員 教育長が出したコメントにもあるように、二十八年度にすべての教科で全国平均以上という、開けてみないと分からない、不明確な点数を目標としているが、その理由について伺う。
岸義務教育課長 学力に関する目標について。道教委では、教育の機会均等という義務教育の趣旨を踏まえ、「全国平均」という目標を掲げているが、これまでも申し上げているように、平均点を上げることそのものが目的ではなく、子ども一人ひとりに基礎・基本を確実に身に付けさせる取組が大事なのであり、そのことを確実に行えば、結果として、平均正答率が全国を上回るという趣旨で設定したものである。
道教委では、引き続き、この目標の実現に向け、本道の子どもたちに、社会で自立するために必要な学力を身に付ける取組を進めていく。
川澄委員 過去に、道教委から、「悔しくないのか、北海道の学力は低い」といったことが大きく書かれたチラシが、子どもたちや家庭に配布されたと認識している。ホームページ等にも掲載されていたが、新聞や様々な報道によって、このあと削除されたことも分かっている。こうしたことから、本当は、平均点以上を目標としているのではないかととらえざるを得なかった。学校現場では、子どもたちが一生懸命学んでいる、また、先生方が、子どもたちの学力を上げるために、一生懸命日々取り組んでいる状況を認識している。こうした中で、明らかに子どもたちのやる気を削ぐようなチラシが、過去に出されたという事実もある。子どもたちのやる気を高める施策を検討すべきではないかと考えているが、その点について、見解を伺う。
岸義務教育課長 道教委の取組について。道教委では、これまで、子どもたちに、学ぶ意欲はもとより、基礎的・基本的な知識・技能や、思考力・判断力・表現力など、社会で自立するために必要な学力を確実に身に付けさせる必要があるとの考えのもと、授業改善と生活習慣の確立を柱として、学校、家庭、地域、行政が一体となった取組を進めてきた。
今後も、例えば、授業の冒頭で目標を示し最後に振り返る活動や、自分の考えを発表したりグループで話し合ったりする活動を徹底すること、また、適切な内容と分量の宿題を継続的に出して家庭学習を充実させるなど、本道の子ども一人ひとりの学習意欲を高め、確かな学力を確実に定着させるよう取り組んでいく。
川澄委員 授業の冒頭で目標を示す活動、振り返りをするといったことは、日常的に行われており、そうした中で、子どもたちのやる気を高めていくことが非常に重要なことだと認識している。
道教委では、北海道チャレンジテストや、早寝早起き朝ごはんの取組として、生活リズムチェックシートを、二学期が始まってから二週間程度、家庭での生活状況を調べて提出してほしいと、各学校から家庭に出している。また、体力向上の取組ということで、どさんこ元気アップチャレンジや、朝読書、学力向上指定校事業など、様々な施策が行われてきたが、まだまだ本道の学力が全国平均に届かないという。こういった取組は、形は違うが、他府県においても実施されている。そういった中で、どこに課題があるのか、その認識について伺う。
岸義務教育課長 学力向上の取組について。道教委では、これまで、チャレンジテストの実施、退職教員等や学生ボランティアを活用した学習サポートの実施など、市町村教委や学校の学力向上の取組を積極的に支援するとともに、生活習慣の確立に向け取り組んできた。
そうした中、全国調査実施後、自校採点を行ってすぐに授業改善を行う学校や、調査結果が国から返却されたあと、直ちに組織的に改善策を検討する学校が増えており、こうした取組などによって、本道の調査結果には、一定の成果が現れてきている。
一方で、調査の目的を踏まえた検証改善サイクルが十分に確立されていない学校があることや、依然として全国と比べて、子どもたちのテレビやゲームの時間が長いことなどが課題であると認識している。
― 意 見 ―
川澄委員 学校での改善の取組がまだ十分に確立されていない。または、子どもたちのテレビやゲームの時間が長い。ということは、家庭での教育力にも問題があると押さえておきたい。
川澄委員 この間、学力向上に向けた施策が様々に行われている。授業改善に向けて一定程度、これらの取組が寄与していると考えているが、その一方、様々な施策が下りてくる中、これまで行っていた教職員の創意工夫、自分たちで進めてきた指導法の工夫改善を含めて、授業実践が行いづらくなっているという声がある。この点について、道教委の見解を伺う。
岸義務教育課長 授業改善について。子どもたちの学力向上のためには、授業改善が重要であり、道教委では、授業の基盤となる学習規律の徹底やノート指導、授業の始めに目標を分かりやすく示すこと、振り返りの活動を位置付けること、自分の考えを発表したり、グループで話し合ったりする活動を徹底することなど、授業改善の具体的な改善方策を示した手引をすべての教員に配布するとともに、各教科の指導方法の改善に関する研修会などにおいて、学習指導要領に基づく創意工夫を加えた授業改善が一層推進されるよう、各学校の実践に基づいた研究協議を行っている。
川澄委員 授業の基盤となる学習規律の徹底や、ノート指導などについて、先生方は、様々な形で取り組んでいるし、実際に授業の場面等を見させていただくと、こういう形で取り組んでいると理解している。
道教委から、学習の進め方の手引等が出されていることが、学校の教科指導の画一的な方向につながっているのではないかと危惧している。
授業のやり方一つを取っても、それぞれの先生方が経験や研修によって、子どもたちにとってより良い、分かりやすい形をつくり出していると思う。
しかしながら、一つの方法で授業を進めていく。こういったことが画一化につながっているのではないか。また、教員の自主的な研修を深めるためには、今後どのような手立てを考えているのか伺う。
岸義務教育課長 教職員の研修について。道教委では、子どもたちの確かな学力や豊かな心、健やかな体などの生きる力の育成のためには、子どもたちの教育に直接携わる教職員の資質能力の向上が極めて重要であり、研修事業の不断の改善を図っていく必要があると認識している。
特に、教職員の自主的な研修の促進を図るため、道立教育研究所において、教職員自らが、選択して参加することができる各種研修講座の開設や、個人やグループで研修課題等を自ら決めて行うフリープラン研修の実施など、研修機会の確保に努めている。
また、長期休業期間中に教育局が主催する研修事業や教育研究団体が主催する研究会など、校外で開催される研修情報を提供する取組も進めており、今後も、こうした取組を一層充実させ、教職員の研修を支援していく考えである。
― 指 摘 ―
川澄委員 道研等でフリープラン、また、長期休業中における様々な研修、各種民間教育団体等が開いている研修等に対して、先生方が参加しやすい体制を整えていることは理解している。ただ、道教委が理解している範ちゅうの中での研修ではないかと思う。長期休業中、特に、校外研修に当たっては、先生方がそれぞれ自分の研究をしている内容、または、つぎの段階で必要としている教材研究のために校外で行いたい研修等が非常にしづらいという状況を聞いている。こういった点も含めて、先生方が自分自身の力量を高めるために、自己研修または研修に出られる機会を充実させる取組を、道教委は率先して進めていただきたいと指摘しておく。
川澄委員 この間、学校での取組は様々に行われている。しかし、調査結果が全国平均より低い要因の一つとして、学校だけの取組ではなく、家庭の経済状況、特に、塾に通う子どもが、本道は全国平均よりも下回っている状況がある。広大な地域であるから、塾がない地域が当然数多くある。また、経済的な格差や、広大な地域性が指摘されている中で、単に学校での取組で解決できないと認識している。こういった点について、道教委の認識を伺う。
岸義務教育課長 家庭での経済状況等について。道教委としては、機会均等を旨とする義務教育の趣旨を踏まえれば、生まれ育ったところによって、学力に大きな差が生じることは、本来あってはならないことと考えており、家庭の経済状況や学習塾に通っているかどうかにかかわらず、すべての子どもたちに、社会で自立するために必要な学力を確実に身に付けさせることが必要であると認識している。
道教委では、引き続き、指導主事が複数回、学校を訪問して、各地域の実態に応じたきめ細かな指導助言を行うとともに、学校、家庭、地域、行政など道民が一体となった「ほっかいどう〝学力・体力向上運動〟」を推進し、子ども一人ひとりに確かな学力を保障する取組を進めていく考えである。
― 指 摘 ―
川澄委員 家庭状況にかかわらず、子どもたちにとって必要な学力を身に付けさせることは、重要なことであると私も認識している。ただ、これは、道教委が単独で取り組める問題ではない。知事も公約の中で、地域で子どもが育っていくことができる環境をつくることが、最優先されるようなことも話している。こういった中で、地域では、様々な支援が必要と考えている。道教委だけではなく、子どもたちの貧困解消に向けた計画の策定が進められているが、こうした点も含め、単に施策を学校に下ろす、家庭に協力を求めることだけではなく、様々な条件整備を進めることが大事だと指摘しておく。
川澄委員 本道は、他府県に比べ、特殊な地域だと理解している。広大な地域で散在している中で、一次産業から都市部で暮らす皆さんが、本道で生活していき、これからの本道を支えていく子どもたちをどのように育てていくか。そうした部分で言えば、今、道教委が進めている施策は、他府県とほとんど変わりがないと思っている。全国平均以上を目指すのではなく、また、一方的な教育施策を学校現場に下ろすのではなく、本当に本道にとってふさわしい学力とは何か、実際に子どもたちに指導する現場の先生方の意見等を聞きながら、教育条件の整備を進めていくことが重要ではないかと考える。その点について伺う。
梶浦学校教育局長 学力向上の取組の推進について。道教委としては、本道の未来を担う子どもたちが、社会で自立するために必要な学力を、しっかりと身に付けさせることが重要であり、そのためには、具体的な目標を掲げながら、学校の教職員はもとより、保護者や地域の方々と課題を共有し、一体となった取組を進める必要があると考えている。
こうした考えに基づき、道教委では、市町村教委や校長会、PTA等の意見や要望の把握に努め、理解を得ながら、学力向上の各種事業を推進してきており、今後とも、施策の展開に際して一層丁寧な説明に努めるとともに、指導主事等による学校訪問など、様々な機会を通じて現場の声の把握に努め、各学校の抱える課題に応じたきめ細かな支援を充実させていく考えである。
― 指 摘 ―
川澄委員 やはり学校だけで達成できる問題ではないと思っている。教育長のコメントの中には、残念ながら点数を向上させることしか書かれていなかった。本来であれば、頑張っている子どもたちに対して、褒め言葉の一つでも出すべき。現場で先生方が一生懸命指導している。私も、地元で小・中学校を訪問した。授業も実際に見ている。校長先生や教頭先生、そして、子どもにかかわる先生方の話も聞いてきた。一生懸命学校で取り組んでいる。こういった先生方に対する敬意も感じられない。また、地域に対して学校への協力、様々な形で学習支援等に入っていただくボランティアがたくさんいる。こういった方々に対する感謝の言葉もない。
本来であれば、道教委は、子どもや教職員、地域の方々に対する丁寧な言葉がけが必要。その上で、子どもたちの条件整備にしっかりと取り組んでいくというメッセージを出す。その中で、先生方が子どもたちにゆとりをもって向き合い、子どもたちの学力を向上させるための授業に余裕をもって取り組める。子どもたちが伸び伸びと学んで、知識を付け、本道を支えていける学力を身に付ける。地域が一丸となって学校を支えていこうという機運をつくるためには、単に学校に対する様々な施策を出すだけではなく、他部局とも連携しながら、本当に本道にとって必要な学力の向上、本道を支えていく子どもたちを育てる。そういった点についての検討を進めていただきたい。
(道議会 2015-12-04付)
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