札幌市教委人権教育推進検討プロジェクト　人間尊重の教育推進　講演やグループワークで研鑚

（市町村 2016-03-10付）

５０人が参加した人権教育フォーラム

　札幌市教委は二月二十九日、市内ちえりあで人権教育推進検討プロジェクトにかかる第二回推進会議兼札幌市人権教育フォーラムを開催した＝写真＝。関係者約五十人が参加。講演やグループワークを通して、人権教育の充実に向け研鑚を積んだ。

　二十三年度から進めている人権教育推進事業では、「人間尊重の教育」について、子どもにとってより実感の伴う学習活動の在り方などを研究。本年度は、①学校にアイヌ民族を招いて行う体験的学習②サッポロピリカコタンの活用③子どもの権利にかかわる学習活動④男女平等教育⑤人権教育を基盤とした学校づくり―の五課題で、二十一校を研究推進校に指定している。

　オープニングセレモニーでは、札幌アイヌ協会の川上容子氏がアイヌ民族の叙事詩であるユーカラを披露した。

　続いて、長谷川正人教育課程担当課長があいさつ。依然として子どもに対する人権侵害やいじめ、体罰や虐待などの問題が起きている中で、「問題解決に向けて取組を充実していく必要がある」と述べ、「本日のフォーラムで人権教育の充実に向けた具体的な取組の知見を深め、新年度からの計画づくりの一助としてほしい」と話した。

　このあと、講演会を実施。四人の有識者がそれぞれの立場から講演した。このうち、札幌市アイヌ協会副会長の多原良子氏は、アイヌ民族が非アイヌ民族に比べ、進学率や最終学歴が低い傾向にあること、またアイヌ女性の教育状況が悪いことも紹介。読み書きに不自由している人が三割ほどいるほか、雇用にも影響している状況を説明した。

　また、札幌市子どもの権利推進アドバイザーの薄木宏一氏は、子どもの権利救済機関の相談内容からみえる現状を説明。子どもからの相談内容としては友人関係が最も多いこと、いじめの問題については子どもが相談しづらいと感じていることを紹介した。

　グループワークでは、研究推進校や一般参加者、有識者などが参加し、九グループで交流。研究推進校の担当者が一年間の取組成果など、実践報告を行ったほか、参加者が模造紙に感想等を記入した。

　続いて、各グループの感想等をもとに、人権教育の課題などを共有。学校における人権教育の充実改善に向け、意見を交換した。

(市町村 2016-03-10付)