道議会文教委の質問・答弁概要(28年2月2日)(道議会 2016-03-31付)
道議会文教委員会(二月二日開催)における加藤貴弘委員(自民党・道民会議)の質問、および杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、岸小夜子義務教育課長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆各管内の学力向上の取組
加藤委員 二十七年度の全国学力・学習状況調査の結果については、中学校の国語Aと理科で全国平均を上回ったものの、そのほかの教科では、目標としている全国平均には到達しておらず、依然、厳しい状況が続いていると言わざるを得ない。道教委では、二十八年度には全道の平均が全国平均以上、二十九年度にはすべての管内で全国以上という目標を掲げて学力向上の取組を進めていると承知しているが、目標を達成するためには、各管内が自らの課題を分析した上で、それぞれの実態に応じた効果的な取組を進めることが必要であると考える。
二十七年十一月の文教委員会で、管内ごとの結果について質問させていただいたところ、道教委では、平均正答率の高かった管内と低かった管内の差は、概ね一〇ポイント程度の差があると答弁した。このような傾向は、これまでの学力調査でもみられている。各管内で、自らの課題を明確にして、その課題を解決することができているのかは疑問である。
そこで、各管内では、どのように調査結果を分析し、自らの課題をどのように認識しているのか伺う。
岸義務教育課長 各管内の課題等について。各教育局では毎年、文部科学省から調査結果が返却される八月以降、管内の学力や学習状況について分析を行い、各教科の領域ごとの正答率や正答数の少ない児童生徒の割合などを把握し、課題を明らかにしている。
本年度は、これらの分析に加えて、全道的に課題となっている児童生徒の一日の勉強時間や、授業の冒頭で目標を示し、最後に振り返りの活動を行うことを各管内共通の項目として分析を行っており、例えば、他管内に比べ、日高管内では、特に下位層が多く、一時間以上家庭学習する児童生徒の割合も低い。宗谷管内では、中学校で、計画を立てて勉強している生徒の割合が高いものの、一時間以上家庭学習する生徒の割合が特に低い。また、オホーツク管内では、小学校で、授業の冒頭で目標を示したり、最後に振り返る活動を行う学校の割合が特に低いなど、管内ごとの課題が明らかになっている。
加藤委員 日高、宗谷、オホーツクの教育局では、明らかになった課題の解決に向けて、どのような取組を行っているのか伺う。
岸義務教育課長 教育局の取組について。家庭学習の課題への対応として、日高では、管内の東部地区、中部地区、西部地区のそれぞれで学校関係者や保護者等を対象とした学力向上フォーラムを開催し、生活習慣や学習習慣にかかわる課題を共有するとともに、下位層の子どもに対する指導の在り方について、学校訪問等で重点的に指導しており、また、宗谷では、国語、数学の教員を対象にした研修会において、家庭学習の時間や内容を改善する指導について理解を深める取組を行っている。
授業改善に向けて、オホーツクでは、臨時に開催した小学校長会議において、全国的に著名な講師を招へいし、学力調査を活用した授業改善についての講演会を実施したほか、重点校を指定して学力向上に向けた取組の進行管理を行うなど、いずれの教育局においても、管内の課題解決に向けた独自の取組を展開している。
加藤委員 三つの管内では、課題を明確にした上で、その解決に向けた取組が進められているということである。そのほかの管内でも、それぞれの課題があり、それを明確にして、課題解決に向けた取組をスピード感をもって進めるべきと考える。道教委では、各管内の実情に応じた取組をより一層充実させるため、どのように取り組んでいく考えなのか伺う。
梶浦学校教育局長 各管内の取組の充実について。実効性のある学力向上の取組を進めるためには、各管内が自らの課題を明らかにし、その課題に応じて、主体的な取組を進めることが重要であると認識している。
そのため、報告書を公表したあと、本庁と教育局とが、それぞれの管内の課題を共有し、個別に今後の学力向上の取組について協議を行ったほか、ことし一月には、各教育局の義務教育指導監と教育支援課長を集めた会議で、各管内の課題に応じて、指導主事の学校訪問の内容や方法を工夫すること、さらには、教員研修や、保護者や地域住民と課題を共有する場面をより一層充実することなどについて協議を行い、共通理解を深めた。
今後、道教委としては、こうした取組をより一層効果的に進めるため、管内の個別の課題に応じた講師を派遣したり、教員研修として、同じような教育環境の中で学力向上に成果を上げている地域への視察研修を行うなど、各管内の課題解決に向けた取組が一層充実するよう努めていく。
加藤委員 すべての管内で課題に応じた取組が進められ、次年度には目標を達成できるよう期待する。
これまで、わが会派では、学力向上の取組を充実させるために、調査結果を保護者や地域住民と共有し、道民が一丸となって取組を進める必要があると主張してきた。道教委でも同じ認識に立っていただき、昨年度から各管内で「子どもたちの学力について考える会」を開催してきたと承知している。この「学力について考える会」においても、それぞれの管内の状況に応じた内容が工夫されているものと考えるが、どのような内容で行われているのか伺う。
岸義務教育課長 「学力について考える会」について。道教委では、保護者や地域の方々と教員等が一堂に会し、学力の向上や学習習慣の確立などについて共通理解を深めることを目的とし、昨年度から、すべての管内で「学力について考える会」を開催している。
各教育局では、例えば、子どもたちの学習意欲が低い管内では、保護者が子どもたちの将来について考えることができるよう、キャリア教育に詳しい講師を招へいしたり、また、家庭学習の習慣が十分に身に付いていない管内では、保護者同士がグループで日ごろの悩みを打ち明けながら解決策を考える場面を設定したりするなど、それぞれの管内の子どもたちの学力や学習状況を踏まえたものとなるよう、内容を工夫して実施している。
加藤委員 管内によっては、共働き世帯が多く、子どもの面倒をみることができない家庭が多いところもあれば、塾に通っている子どもが多く、宿題に追われ、自分で計画を立てて勉強する時間がないなど、地域によって家庭学習を取り巻く環境は様々である。それぞれの地域の実態に沿って、子どもの生活習慣や学習習慣の定着について考えていくことが大切だと思うので、これからも管内の実態を踏まえた内容を工夫していただきたい。
昨年の第四回定例会において、わが会派の同僚議員が、道内では、まだまだ地域によっては、学力に対する保護者や住民の認識に温度差があり、家庭学習の習慣化を図る取組をさらに進めるべきと指摘した。これに対して、道教委では、新たに、保護者向けの啓発資料を作成すると答弁しているが、その取組状況と今後、どのように保護者の意識啓発を進めていこうと考えているのか伺う。
杉本学校教育監 保護者の意識啓発について。道教委では、家庭での学習習慣を定着させるためには、幼児期から一貫した指導が大切であると考えており、ことし一月中旬に、幼児期から高校までの子どもの成長に合わせた保護者の適切なかかわり方を示した保護者向けのリーフレットを作成して、全道の公立幼稚園や小・中学校等と保護者に配布した。
今後は、このリーフレットを活用して、市町村教委や学校に対し、保護者懇談会やPTA研修会等で家庭学習の習慣化に向け、家庭での過ごし方について親子が一緒に考える機会をもつよう働きかけたり、市町村やPTAの広報誌などで家庭学習の大切さを取り上げたりするなど、より多くの保護者の意識啓発を促す取組を積極的に進めるよう働きかけていく。
― 意 見 ―
加藤委員 保護者向けリーフレットの活用は、保護者の意識啓発を促す上で、大いに期待するところであり、親子で家庭での過ごし方について、一緒に考える機会をもつことにもなる。こういった取組は、子どもたちに、家庭での学習習慣を定着させることが目的であると承知している。
そうした中、先日、子どもの習慣を身に付ける講話を聞いた。その一部の例であるが、子どもに手帳を持たせ、一週間の予定や月の目標などを個々に設定し、保護者と共有することで、様々な習慣を身に付けさせることができると言っていた。保護者が、子どもの一日の予定をはっきりと把握することで、いじめの問題や事件・事故の防止にもつながると思う。
子どもたちの習慣を身に付ける上で、道教委にも、工夫する取組を強くお願いする。
(道議会 2016-03-31付)
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