道議会文教委員会の質問・答弁概要(28年2月2日)
(道議会 2016-04-05付)

 道議会文教委員会(二月二日開催)における川澄宗之介委員(民主党・道民連合)の質問、および山本広海教育部長(当時)、安部和彦教職員課制度担当課長(当時)の答弁の概要はつぎのとおり。

◆栄養教諭の免許更新

川澄委員 栄養教諭制度が始まってすでに十年近く経ち、有効期限を迎える方が出てくると思う。栄養教諭の免許状の更新対象者について、この期限までに免許状の更新を受ける人数および地域の状況について伺う。

安部教職員課制度担当課長 栄養教諭免許状の更新の状況について。教員免許状を所有する者は、教育職員免許法の規定によって、免許状の有効期限前に更新講習を受講して、免許状を更新することとされており、栄養教諭免許状については、十六年に新しく設けられたことから、最初の有効期限は、ことしの三月三十一日となる。

 この時期に更新の対象となる道内の公立小中学校・特別支援学校に勤務する栄養教諭は、昨年の九月一日現在の調査では六十八人で、管内別では、石狩が四十三人、上川が六人、胆振と渡島がそれぞれ五人、空知が三人、根室が二人、後志・桧山・オホーツク・釧路がそれぞれ一人となっており、日高・留萌・宗谷・十勝は該当者はいない。

川澄委員 二十八年度の免許状更新の予定者数は、どの程度になっているか伺う。

安部教職員課制度担当課長 二十八年度の栄養教諭免許状の更新の予定者数について。二十九年の三月三十一日に有効期限を迎える栄養教諭免許状を所有する者は、先ほどの調査では百三十三人で、管内別では、石狩が三十五人、上川が十九人、空知と渡島がそれぞれ十七人、オホーツクが十四人、釧路が十一人、後志が五人、胆振と留萌がそれぞれ四人、根室が三人、十勝が二人、桧山と宗谷がそれぞれ一人となっており、日高は該当者はいない。

川澄委員 更新にかかわって講座が多数開設されている。ついては、二十七年度に開設されている講習は、どの程度あったか伺う。

安部教職員課制度担当課長 二十七年度に開設された更新講習について。教員免許状の更新に必要な講習は、すべての教員が共通で受講する必修領域と職に応じた選択領域があり、二十七年度に道内で栄養教諭のほか教諭、養護教諭を対象として開設した必修領域の講習は十大学等で二十九、選択領域の講習は二十七大学等で三百八十二、そのうち、栄養教諭を対象とした講習は六大学で三十三ある。

川澄委員 先ほどの免許更新予定者についても、道内各地域にわたっていると思う。こういった中で、一般教諭を含めて、講習の開催地に偏りがあるのではないか、特に、職種が限定されていくと、その開催状況、開催地域について、さらに偏りが出てきていると思っているが、道教委の認識を伺う。

安部教職員課制度担当課長 栄養教諭を対象とする更新講習の開催地について。二十七年度に道内の大学が開設した栄養教諭を対象とする選択領域の講習は三十三あり、その開催地と内訳は、札幌市で十、函館市で九、旭川市で五、江別市で二、石狩市、岩見沢市、芦別市、小樽市、北見市、帯広市、釧路市でそれぞれ一となっているが、大学の所在地の関係もあり、講習の開設数は、道央圏が多くなっている。

川澄委員 たしかに大学が集中しているのは道央圏なので、あとは教育大学を含めて主要地域という形になるかと思う。こういった中で、遠隔地に勤務している栄養教諭にとっては、更新にかかわる様々な制約または負担等が出てきていると認識している。

 講座が多数開催されている中で、二十七年度に開催された講習の内容および受講可能者数について、課題があると考えているが、この点についての認識を伺う。

安部教職員課制度担当課長 更新講習の内容などにかかわって、道内の大学等では、国が定める免許状更新講習規則等に基づき、自ら実施する講習の内容等に関する受講者の意向をアンケートによって把握し、次年度の内容に反映させるとともに、文部科学大臣に対する開設申請の中で、講習内容や受講対象者等を示して認定を受け、講習を開設している。

 このうち、栄養教諭を対象として認定を受けた選択領域の三十三の講習の内容は、食育や食品に関するもののほか、健康や福祉、コミュニケーション等となっている。

 また、受講定員は、講習の内容や会場の規模による違いから、一講習十二人から八十人で、道内全体では九百四十人となっているが、栄養教諭のほか、教諭、養護教諭といった複数の職を対象とする講習が多いことから、栄養教諭の更新予定者に対して、定員が妥当であるかは一概に申し上げられない。

川澄委員 免許更新の受講について、栄養教諭の職務に関連した内容であったとしても、受講者数の問題等も含めて、抽選から漏れるような状況もあったと聞いている。この点についての認識を伺う。

安部教職員課制度担当課長 栄養教諭の更新講習について。二十七年度において、道内の大学で開設している栄養教諭を対象とする選択領域の講習の受講定員は、道内全体で九百四十人であり、二十八年三月三十一日で有効期限を迎える六十八人の数を上回っているほか、講習を開設している大学の中には、定員を満たしていない大学もあったが、講習を開設している大学の多くは、栄養教諭のほか教諭、養護教諭といった複数の職を対象として、先着順で受講者を決定していることから、申込が遅くなった場合は、当該大学では受講できないこともある。

― 指 摘 ―

川澄委員 申込は制度上の問題もあり、先着順になっていて、いろいろと検討して遅くなって、受講に漏れてしまうこともある。本来であれば、受講者の立場での制度でなければならないと思っているが、残念ながらそういう状況ではないと思っている。

 受講者が必要としている講座であるから、先着順ではなく、しっかり受付方法を含めて受講者の立場に立ったものとなるよう、道教委としても文科省等に強く申し入れていただきたい。

川澄委員 開設数が増えているという事実は、この間、道教委が教育大学を含めて道内の大学に働きかけていただいた成果だと思っている。こういった中、教育大学は栄養教諭の養成課程がないので、私立大学に開設を求めていくと思う。

 開設講座を増やすことや、その内容について、大学にどのように働きかけてきたのか伺う。

安部教職員課制度担当課長 開設大学への要請について。更新講習を開設している道内の大学等は、国の規則に基づき、講習の内容や会場などに関する受講者の意向をアンケートによって把握し、講習に反映させているが、講習の拡大については、実施時期が夏季休業期間内など一時に集中することから講師の確保などに難しい面があると伺っている。

 道教委としては、これまでも更新講習を開設している道内の国立大学法人で構成されている更新講習実施連絡委員会への参加や、教員養成課程のある大学等を対象に開催している免許事務担当者会議などの機会を活用して、講習の開催地や受講人数の拡充および内容の充実を働きかけてきている。

― 指 摘 ―

川澄委員 この間、働きかけているということであるが、大学も、それぞれ人的、予算の課題もあるかと思う。

 希望者が一人だけで開設するのは非常に難しいと理解しているが、道内は、栄養教諭の配置数が多い地域である。拡充および充実に向けての取組を、このあとも進めていただきたい。

川澄委員 私はそもそも免許更新制度については反対の立場である。ただ、現状で制度がある以上は、先生方が受けやすい状況をつくっていかなければならないと思っている。

 こういった中で、受講する立場に立った働きかけを今後も行っていくべきだと思っているが、現時点ではどのような取組を行っていこうとしているのか伺う。

山本教育部長 栄養教諭の更新講習にかかわって、今後の取組について。道教委としては、広域な本道の実情などを踏まえて、栄養教諭として必要な資質能力が保持されるよう、講習拡充などの働きかけに加えて、今後、栄養教諭や学校栄養職員が会員となっている道学校栄養士協議会、また、学校給食を実施する市町村の教育長や校長、共同調理場の場長などで組織する道学校給食研究協議会に更新講習の開設情報を提供していく。

 また、栄養教諭を養成する道内の大学・短期大学で現在は更新講習を実施していない大学等があるので、講習の開設を要望するなど、各般の取組を通じて、教員免許状の更新講習が受講しやすくなるよう対応していく。

― 指 摘 ―

川澄委員 このあとも受けやすい状況をつくっていくという答えがあった。ぜひ、そのとおりやっていただきたいと思うと同時に、このあと、任用替ではなく、栄養教諭として採用された方々の更新講習が続いていくことになると思う。

 教育大学には、栄養教諭の養成課程はない。私立大学や短大が中心となっている状況である。こういった大学は、本道の教育のためにということで栄養教諭を輩出しているが、現場に出て、働きながら様々な課題やさらに学びたい点が出てくるかもしれない。

 専門性の高い職種であるから、そういった要望、ニーズに応えられるような働きかけを今後ともお願いする。

(道議会 2016-04-05付)

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