道議会文教委の質問・答弁概要(28年2月25日)
(道議会 2016-04-12付)

 道議会文教委員会(二月二十五日開催)における佐々木恵美子委員(民主党・道民連合)の質問、および杉本昭則学校教育監(当時)、佐藤和彦学校教育局特別支援教育担当局長(当時)、小原直哉特別支援教育課長(当時)の答弁の概要はつぎのとおり。

◆病院施設併設校の特例通学

佐々木委員 現在、病院施設の併設の特別支援学校では、旭川養護学校と手稲養護学校において、指定した通学区域以外からも児童生徒の通学を認める特例通学を実施している。

 道立旭川肢体不自由児総合療育センターに併設する旭川養護では、センターに通院する児童生徒に限って、三年度から小・中学部の特例通学を実施し、また、九年度からは高等部が設置されて、入所していない生徒についても入学要件を緩和して入学を認めてきた。

 道立子ども総合医療・療育センター「コドモックル」に併設する手稲養護では、二十一年三月に保護者から道教委に請願があって、この年の六月に文教委員会で質問し、二十二年度から小学部での受入を開始した。しかしながら、特例通学を希望する児童生徒の受入について、旭川養護では、年度始めであれば学年を問わずに通学が可能になっているのに対し、手稲養護は、小学部一年への入学時のみの受入に限るとなっており、二つの学校には大きな違いがあると聞いている。

 手稲養護の特例通学が始まって、小学部入学者が六年経って、この四月から中学校に行く時期を迎えると思うが、手稲養護における現在の特例通学の制度は、旭川養護と状況が違うことから、特例通学の制度を見直す時期にきているのではないかと考えている。

 これらを踏まえて、病院施設併設の特別支援学校における特例通学について質問していきたい。

 特例通学は、併設する病院や障がい児の入所施設に通う保護者が退院または退所後も子どもの継続した教育の充実を求め要望したことに対応して実施したものと理解している。

 実施に当たっては最大限、保護者の要望がかなえられるように配慮していくことが必要と思っている。そこで、現在、旭川養護と手稲養護の特例通学はどのようなルールのもとで実施し、その違いはどこにあるのか伺う。

小原特別支援教育課長 特例通学について。旭川養護と手稲養護では、それぞれ併設する障害児入所施設または病院に入所・入院している児童生徒が就学する学校であるが、両校とも、入所・入院している児童生徒以外の就学を特例通学として認めており、その対象は、併設施設に通院する肢体不自由の児童生徒とし、通学は保護者の送迎によるものとしている。

 ただし、手稲養護については、札幌市内に肢体不自由の児童生徒を対象とする道立学校が二校あることから、札幌市手稲区を特例通学の区域としている。

 入学の時期については、旭川養護では、小・中学部のすべての学年で、年度始めに受け入れているが、手稲養護では、小学部第一学年からの入学のみとしている。

 また、医療的ケアについては、旭川養護では、看護師を配置して実施しているが、手稲養護では、保護者による対応をお願いしている。

佐々木委員 旭川養護と手稲養護の特例通学の実施上の違いについて答弁いただいたが、ずいぶん違いがあると感じる。このような状況の中で、手稲養護への就学を希望しても、ほかの特別支援学校に就学している児童生徒もたくさんいるのではないかと推察している。

 手稲養護への就学を希望しても、そういう受入要件になっていることから、結局は車で三十分から四十分かかる北区まで行くという状況だったと思う。

 手稲養護に入れないで、ほかの特別支援学校に就学した児童が今までどのくらいいて、その要因がどういうことだったのか、あらためて伺う。

小原特別支援教育課長 就学状況について。手稲養護において、特例通学を始めた二十二年度以降、特例通学の区域である手稲区に居住する保護者からは、就学を希望する相談は十二件であった。

 そのうち、就学ができなかった件数は五件であり、その主な理由としては、「小学部の途中から特例通学を希望していたため対象とならない」「看護師の配置がなく、医療的ケアを要する児童の保護者の付き添いが必要となる」などがあり、これらの児童については、肢体不自由特別支援学校、または、地域の小学校に就学している。

佐々木委員 手稲養護の受入体制を整備することによって、手稲養護に就学した児童もいたのではないか。身近にある手稲養護に通えず、離れた北区の特別支援学校に通うことは、非常に保護者や児童生徒の負担になるのではないか。学校に看護師がいないのは、大きな問題ではないかと思っている。

 これまで特例通学によって就学した児童は七人と答弁があった。せっかくつくった制度であるのにもかかわらず、保護者に有効に活用されていないのではないか。

 手稲区に居住し、小学校に通っている肢体不自由等のある重複のある子どもをもつ保護者も含め、これまで保護者から、制度の拡充について、どのような要望があったのか、また、どう対応してきたのか伺う。

小原特別支援教育課長 保護者からの要望について。これまで道教委に対して、手稲養護小学部に特例通学している児童の保護者からは、引き続き、中学部へ進学できるようにすること、また、手稲区内の小学校に通う肢体不自由のある児童の保護者からは、小・中学部の各学年への入学を認めることなどの要望をいただいた。

 道教委では、これらの要望を受け、小学部に在籍する児童が、引き続き、中学部での教育を受けることができるよう、昨年十月に特例通学にかかる取扱いの一部を変更した。

佐々木委員 手稲養護の特例の受入をみると、受入は原則一学年三人。旭川養護の特例通学の状況をみると、小学部、中学部、高等部合わせて、現在、七十九人の受入をしている。一年生で通学が一人のところもあるし、二年生で三人、六年生で六人であったり、高等部は九人も受入をしている。こういう状況で旭川の療育センターは四十八人、入院している子ども三十一人と合わせて七十九人の受入をしている。

 ところが、コドモックルの方は、七人という在籍状況である。

 単純な比較であるが、学級数では、旭川養護の四分の三である手稲養護の特例通学の子どもの受入れの人数が旭川養護の四十八人に対し、七人に過ぎない。この点からみても、手稲養護での特例通学の取扱いの見直しは可能ではないかと考えるが、道教委の認識を伺う。

佐藤特別支援教育担当局長 受入体制について。手稲養護は、併設施設に入所する児童生徒の就学に対応した学校規模で設置したが、当時の入所状況や、近隣の特別支援学校等における給食設備の状況などを勘案して、特例通学による受入については、小学部各学年で原則三人までとし、上限二十人とした。

 道教委としては、当該校における、現在の特例通学による在籍児童数が七人にとどまっていることや、学校施設の使用状況等を踏まえ、柔軟な受入体制とすることが可能であると考えている。

佐々木委員 これまでの答弁から、手稲養護の現在の受入体制については、将来を見通した適切な改善が必要であると考えている。同時に、手稲養護での学びが望ましい児童生徒が、わざわざ遠い学校に通学している状況をみたとき、早急に改善しなければならないと思っている。

 手稲養護での学びが望ましい児童生徒が就学の場として適切に選択できるように、現在、旭川養護で行っている制度と看護師の配置や受入の関係、通学区域の見直しを含めて同じような程度に改善して、小学部から高等部まで継続して専門的な教育を受けられるようにすることで、より身近な特別支援学校への就学につながると考える。

 これらを踏まえて、今後、道教委としてどのように取組を進めていく考えなのか伺う。

杉本学校教育監 特例通学に関して、今後の対応について。道教委では、これまで「特別支援教育に関する基本方針」の基本的な考え方に基づき、できる限り身近な地域において、一人ひとりの教育的ニーズに応じた教育や支援を受けられる体制の整備に努めてきた。

 今後は、本人・保護者の要望を踏まえ、手稲養護の特例通学に関し、「児童生徒の入学の時期や区域の在り方」「看護師の配置による保護者負担の軽減」などについて検討して、ことし十月を目途に、特例通学の取扱いの見直しを行っていく考えである。

―指摘―

佐々木委員 旭川養護の特例通学制度では、保健福祉部との連携をしっかりととっている。

 道教委がしっかりリードして、保健福祉部に連携をとっていくことが望ましい。その連携のなさから、このような状況になったのではないか。早急に、しっかりと改善してほしい。今回のことだけではなく、同じようなことが何度かある。やるべきことはしっかりと逃げないで、先送りしないでやっていただく。

 今回は、そういう意味で、あえて担当の特別支援教育課と意見交換させていただいたが、逃げないでここまできたことは評価した。しかし、これまでの経過に関しては、もっと早く手を打つことができたのではないか。見て見ぬふりしてきたことは反省を求めたい。

(道議会 2016-04-12付)

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