1定道議会本会議の質問・答弁概要(28年3月3日)(道議会 2016-04-14付)
一定道議会本会議(三月三日開催)における柿木克弘議員(自民党・道民会議)、高橋亨議員(民主党・道民連合)の代表質問、および高橋はるみ知事、柴田達夫教育長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆高校配置計画について
柿木議員 地域キャンパス校の教育環境の充実について。わが会派ではこれまでも、高校配置に当たっては地方創生などの観点からの配慮が必要であり、特に、広域性から、他の学校への通学が困難な地域にある高校については、地域の教育環境を維持する観点からの検討が必要であることを強く申し上げてきた。
道教委では、地域キャンパス校の取扱いは喫緊の課題であるとして方向性を検討し、文教委員会に報告しており、具体的な再編基準については、「今後、さらに検討する」としたに過ぎない。
地元の高校を維持するために多くの市町村が、奨学金や通学費の給付など、様々な形で生徒に対する支援を行っていることからもうかがえるように、高校存続を願う地域の思いは切実なものがある。
道教委として、どのような方向での検討を進める考えか、また、検討期間中の再編整備についてはどのように取り扱うのか、併せて見解を伺う。
柴田教育長 地域キャンパス校の在り方について。道教委としては、広域分散型の本道において、人口減少社会への対応や地方創生の観点から、地域の教育機能を確保することが重要であると考えており、このたび、他の高校への通学が困難であり、かつ、地元からの進学率が高い小規模校に導入している地域キャンパス校について、再編基準の緩和や遠隔システムの積極的な活用など、教育環境の充実に向けた考え方を取りまとめた。
地域キャンパス校における教育環境の充実策については、可能なものは新年度から取組を進めるとともに、再編基準の緩和に向けた新たな人数要件については、今後、他の学校の再編基準等も勘案しながら、「高校教育に関する指針」に基づく施策の成果と課題の検証と併せて、引き続き検討することとしており、この検討期間中における地域キャンパス校の新たな再編整備については行わないこととする考えである。
柿木議員 十八年度に策定された「高校教育に関する指針」についての検証は、来年度も引き続き行うこととされている。
いつまでに、どのように進めようとするのか伺う。
柴田教育長 高校教育に関する指針について。現在、庁内に設置している高校教育検討委員会において、「高校教育に関する指針」に基づく、教育内容の改善・充実の状況や、新しいタイプの高校づくり、高校配置などの各種取組の進捗状況を把握・分析するなどして、成果や課題についての検討を進めている。
今後、市町村や関係団体、有識者などから意見を伺いながら、さらに検討を進め、ことし九月を目途に、指針に基づく施策の検証結果を取りまとめていく考えである。
◆いじめ問題について
柿木議員 私は、二十五年第一回定例会の代表質問において、いじめ問題は学校だけではなく、社会全体で取り組む必要があることから、道条例を制定すべきであると申し上げ、知事および教育長の見解を伺った。
その結果、二十六年四月一日、都道府県で第一号となる条例の施行をみることができた。
昨年、岩手県、愛知県、沖縄県でいじめを苦にした中学生が自殺する事件が相次いだことは、誠に残念なことである。
道教委の調査によれば、二十七年度は十一月末時点で比較すると、前年度を上回るいじめの件数が報告されていると承知している。私は、学年末、新学期という、多感な子どもたちにとって不安定な心理状態の中で、不幸な事件の連鎖をおそれるものである。
そこで、この時期に合わせ、知事および教育長から子どもたちに対して、心のメッセージを発信するべきと考えますが、見解を伺う。
高橋知事 いじめ問題について。道では、全国に先駆けて二十六年三月にいじめの防止等に関する条例を制定するなど、オール北海道で未然防止や早期の発見・解消に向けて取り組んできているが、依然として多くのいじめが認知されている状況にある。
すべての子どもたちが安心して元気な学校生活を送り、夢や希望にあふれ健やかに成長することができるよう、いじめのない社会を願い、新学期を迎える子どもたちや保護者の方々などに対し、自分のこととして考えていただくためにも、私自身、いじめの根絶に向けたメッセージを発し、道教委と連携のもと、新学期の始まる四月に子どもたちに届けていきたいと考える。
今後、学校や家庭、地域の関係者の相互協力のもと、道教委と一層の連携強化を図りながら、いじめのない北海道の実現に向けて、全力で取り組んでいく。
柴田教育長 いじめの問題について。全国的に、いじめを苦にした重大な事案が発生している中で、本道においても、十七年に、滝川市において、女子児童がいじめを苦に自らの命を絶つという極めて痛ましい事案が発生し、それを機に、こうした事案が二度と繰り返されることのないよう、各学校においては、いじめの未然防止、早期発見・早期対応に取り組んできたが、いじめの認知件数は減少しておらず、憂慮すべき状況にあると認識している。
まもなく迎える新学期は、進学や進級によるクラス替え等によって人間関係が変化する時期であることから、道教委では、知事部局と連携し、教職員はもとより、児童生徒や保護者に対して、あらためて、いじめは人間として絶対に許されないことであり、生命にかかわる問題であること、いじめを傍観しないで積極的に声をかけることなどについて訴えかけるメッセージを作成・配布するとともに、市町村や道町内会連合会などの協力を得て、こうしたメッセージを幅広く周知し、いじめ根絶に向けた取組を要請するなど、学校、家庭、地域、行政が一体となって、いじめの克服に向けた取組を一層強化していく考えである。
― 指 摘 ―
柿木議員 いじめが見過ごされ、被害に遭った子どもが自ら命を絶つ事件があとを絶たない。子どもたちに自分以外の人の痛みを思いやる気持ちをもってもらうように繰り返し話しかけ、学校や家庭、地域で、子どもたちが出すサインをしっかりと受け止めなければならないと考えている。
知事、教育長から、教職員、児童生徒、保護者、そして、地域も巻き込みメッセージを出し、訴えていくとの答弁があった。
この世に生を受け、将来に大きな希望をもって育っていく子どもたちを社会全体で支えていかなければならないとの思いをもって、メッセージを発信していただき、この課題に取り組んでいただくよう申し上げておく。
◆特別支援教育について
柿木議員 私の地元の美唄養護学校では、知的障がいのある子どもたちが学んでいるが、子どもたちが生き生きと活動している様子を見ていると、障がいのある子どもたちに対する教育の大切さを実感させられる。
昭和五十四年度の養護学校が義務化される以前は、障がいの状態が重い子どもについて、学校教育法第一八条によって、義務教育への就学が猶予、あるいは、免除されていた。そのため、これまで教育を受ける機会を与えられなかった方々が、現在もいると聞いている。
教育長は、教育行政執行方針において、家庭の事情で小・中学校に行けなかった方々を対象に、夜間中学の在り方について検討するとした。
私は、障がいがあるために義務教育の就学を猶予、免除された方々に対しても、同じように教育を受ける機会が提供されるべきであると考える。
道教委として、該当する方々の状況を把握するとともに、そのような方々に対して就学の機会を提供するよう取り組むべきと考えるが、見解を伺う。
柴田教育長 障がいのある方々への就学機会の提供について。昭和五十四年度の養護学校義務制の実施以降は、施設や病院等に教員を派遣して教育を行う訪問教育が制度化され、通学が困難な重症心身障がいのある児童生徒に対する義務教育が行われているが、義務化以前においては、重症心身障がい者の多くは、就学を猶予あるいは免除されており、義務教育を受けていない。
昨年九月、道内の重症心身障がい者が入所・入院している施設や病院に対して、就学猶予・免除者の実態調査を実施したところ、義務教育を受けていない方々が四百八十二人、そのうち、訪問教育を希望した方は二百二人であった。
道教委としては、今後、希望する方々に対し、速やかに就学の機会が確保されるよう、関係団体や施設と連携を図りながら、計画的に訪問教育を実施していく考えである。
◆奨学金について
高橋議員 国においては、所得連動型の返済方式が検討されていると承知しているが、本来、高等教育においても、学費は無償であるべき。貸与型の手直しにとどまらず、給付型奨学金の創設に向け、国に対し強く働きかけていくとともに、道独自での給付型の奨学金制度も検討すべきと考えるが、見解を伺う。
高橋知事 給付型の奨学金について。現在、国では、一定の収入を得るまでの間、返還期限を猶予することのできる所得連動返還型の制度について検討を行っていると承知しているが、これまで全国知事会としても、給付型奨学金の創設について要望してきており、道としても、知事会と連携して、給付型など一層の制度の充実について、国へ要望していく考えである。
また、子どもたちが、将来に向かって個性と多様な能力を最大限伸ばすことができるよう、挑戦の機会を増やしていくことが重要と考えており、大学進学や海外での学び、文化・芸術・スポーツ分野での活躍を志しながらも、経済的な理由が制約となっている方々への支援を目的として、広く道内外からの協力を得ながら、「仮称・北海道未来人財応援基金」を二十八年度中に創設することを目指し、早期に設立準備会議を立ち上げていきたいと考えている。
柴田教育長 給付型の奨学金について。道教委では、すべての高校生等が安心して教育を受けられるよう、国の事業を活用し、昨年度から、所得が一定の水準を下回る世帯を対象に、授業料以外の教育費負担を軽減するため、「北海道公立高校生等奨学給付金」制度を創設し、返還の必要のない奨学のための給付金を支給している。
また、高校卒業後、大学等に進学した生徒についても、これまで、日本学生支援機構の奨学金の貸付要件の緩和や枠の拡大などについて、国に対し要望してきており、今後、給付型の奨学金の導入など制度のさらなる充実について要望するとともに、知事部局と連携し、意欲ある若者の学ぶ環境の一層の充実に努めていく考えである。
◆高校生の政治参加について
高橋議員 ことしの参議院議員選挙から選挙権が十八歳以上となる。ということは、個々の政治判断を明らかにする権利を十八歳の高校三年生に与えたことになると考えるが、教育長はそのように認識しているか伺う。
また、十八歳の高校生が政治集会などへの参加について、学校への届出を必要とする動きがあるが、これは、個人の人権を規制することに該当することにならないか、教育長の所見を併せて伺う。
柴田教育長 高校等における政治的教養を育む教育などについて。選挙権年齢を十八歳以上に引き下げることとした、このたびの法改正は、将来、わが国を担っていく世代である若い人々の意見を、国の在り方を決める政治に反映させていくことが望ましいという考え方に基づくものであると認識をしており、高校等においては、政治的教養を育む教育を一層推進することが重要であると考えている。
また、休日等に構外で行われる高校生による政治的活動等については、国の通知において、家庭の理解のもと、生徒が判断し、行うものであるが、こうした活動も、各学校において、学業や生活などに支障のないよう指導することを求めており、道教委としては、こうした考え方を十分踏まえ、生徒の政治的教養が育まれ、有権者として自らの判断で権利を行使することができるよう、各学校において、適切に指導を行うことが必要であると考えている。
(道議会 2016-04-14付)
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