1定道議会一般質問の質問・答弁概要(28年3月9日)(道議会 2016-05-06付)
一定道議会一般質問(三月九日開催)における内田尊之議員(自民党・道民会議)、丸岩浩二議員(自民党・道民会議)の質問、および柴田達夫教育長の答弁の概要はつぎのとおり。
◆政治への関心高める指導
内田議員 昨年、公職選挙法の一部を改正する法案が成立し公布され、ことし六月に施行される。
現在、高校の教育課程においては、現代社会や政治・経済といった科目の中で政治を教えているが、今まで実際に政治にかかわる機会がなかった世代なので、若年層の政治離れや低投票率が懸念される中、いかに権利の行使が意義あるかを指導していくことが重要と考える。
今後、教育現場において、政治への中立性を考えながら政治参画に関心をもたせることが課題であると思うが、今般の法律改正に伴い、道教委として教育現場における啓発教育をどのように取り組んでいこうと考えているのか伺う。
柴田教育長 政治に対する関心を高める指導について。選挙権年齢を十八歳以上に引き下げることとしたこのたびの法改正は、将来、わが国を担っていく世代である若い人々の意見を、国の在り方を決める政治に反映させていくことが望ましいという考え方に基づくものであり、学校においては、政治的中立性を確保しつつ、生徒が有権者として自らの判断で権利を行使することができるよう、具体的かつ実践的な指導を行うことが大切であると考えている。
道教委としては、国が、昨年九月に作成・配布した副教材『私たちが拓く日本の未来』を活用した指導が適切に行われるよう、道内の高校向けの指導資料を昨年十二月に作成・配布したところであり、その中で、現実社会の諸課題を調べ、それぞれの意見や考え方を話し合いや討論を通じて深めていくことや、選挙管理委員会と連携した模擬選挙、地方議会と連携した模擬議会などの実践的な学習を、教科「公民科」や総合的な学習の時間等の三年間の指導計画に位置付けて実施するよう示したところであり、各学校において、こうした資料を参考としながら政治的教養を育むための指導の一層の充実が図られるよう、指導助言していく考えである。
◆日本遺産認定に向けた取組
内田議員 日本遺産の認定に向けた市町村の取組への支援については、昨年の第二回定例会の質問において、積極的に助言や協力を行っていきたいとの答弁をいただいた。現在、江差町では、日本遺産認定の申請条件である歴史文化を生かした地域づくりのための「歴史文化基本構想」の策定が進められており、早ければ二十八年度中にも本構想の策定も含め、申請条件が整う予定であると承知しているが、早期実現に向けて、江差町の取組に対する支援状況について伺う。
柴田教育長 道教委では、江差町の歴史文化基本構想策定委員会に職員を派遣するなどして、国の「基本構想策定技術指針」によって定めることとされている「地域の歴史文化の特徴」「文化財把握の方針」などの事項等について、専門的な見地から指導・助言などを行うとともに、江差町の構想策定事業が国庫補助の対象となるよう働きかけを行い、二十八年度においても継続して採択されることとなった。
道教委としては、引き続き、人的支援を行っていくとともに、江差町と十分に連携をしながら国との調整を進め、江差町が目指す基本構想の年内の策定と二十九年度当初の日本遺産の認定実現に向けて積極的に支援をしていく考えである。
内田議員 現時点で江差町のほかに、小樽市においても「歴史文化基本構想」の策定など認定申請に向けた具体的な検討を進めていると承知しているが、小樽市の取組に今後どのような支援を行う考えなのか伺う。
柴田教育長 小樽市の取組への支援について。小樽市においては、国指定の文化財など魅力ある有形・無形の文化財群をパッケージ化し、「北海道の近代化の拠点」をストーリーとして、日本遺産の認定を目指し、二十八年度から三年間で歴史文化基本構想の策定を進めることとしており、策定事業が二十八年度の国の補助事業として採択されることとなった。
道教委としては今後、小樽市の意向を十分踏まえながら、構想策定の議論の場に職員を派遣するとともに、基本構想の策定期間中、補助事業として、引き続き採択されるよう国に強く働きかけるなど積極的に助言や協力を行っていく考えである。
内田議員 日本遺産は、地域のブランド化やアイデンティティの再確認に寄与する重要な取組であり、文化振興のみならず、観光振興、さらには地域振興に大いに資する取組の一つであると考える。道教委としても、早期認定の実現に向けた積極的な対応が求められていると考えるが、今後の取組について伺う。
柴田教育長 今後の取組方向について。日本遺産の取組は、地域が主体となって様々な魅力的な文化財群をパッケージ化し、国内外に戦略的に発信することによって地域の活性化を図るものであり、地方創生にも大いに資するものと認識している。
道教委では、先ごろ、文化財の保護・活用や地域振興・観光振興に携わる市町村職員などを対象に文化庁の担当職員を講師とした説明会を開催し、個別相談の場を設けるなど市町村の取組に対するフォローアップや新たな候補案件の掘り起こしに努めてきた。
今後も、歴史文化基本構想の策定を進める江差町や小樽市などの取組を引き続きしっかりと支援するとともに、ことし二月に設置した観光や地域振興など関係部局で構成する「日本遺産連絡調整会議」において知事部局との連携を十分図りながら、日本遺産の早期認定の実現や認定後の魅力発信推進事業の円滑かつ効果的な実施に向け、積極的な指導・助言や必要な調整を行っていく考えである。
◆いじめ問題について
丸岩議員 いじめは、いかなる理由があっても許されるものではない。いじめの芽は、どの児童生徒にも生じ得るものである。いじめの問題は学校を含めた社会全体の問題であることから、学校の内外を問わず、いじめが行われないための、いじめの防止等のための対策については、学校だけではなく、社会全体で取り組む必要があると考えている。
本道の子どもたちがいじめで苦しむことなく、安心して学校生活を送ることができるようにすることが、保護者はもとより、すべてての道民の願いと考える。
道教委として、これまでの取組を踏まえ、いじめの未然防止、早期発見・早期対応にどのように取り組んでいくのか伺う。
柴田教育長 いじめの問題にかかる取組について。道教委では、これまで、市町村教委や学校に対し、生命を大切にする心や他者を思いやる心を育む道徳教育や心の教育の充実について、また、いじめに関する児童生徒へのアンケート調査や教育相談の実施などについて指導助言を行ってきたほか、いじめ事案への対応策の検討や児童生徒の心のケアなどについて、専門的な見地から、支援や助言を行う「専門家チーム」の派遣などに取り組んできた。
さらには、いじめの未然防止の取組の充実を図るため、二十六年度から実施している、研究指定校での実践をもとに、児童会や生徒会が中心となったいじめの根絶に向けた活動や、異年齢交流やボランティア活動など自己有用感を高める活動などの具体的な事例を掲載した『いじめ未然防止モデルプログラム』を作成し、各学校に配布してきた。
道教委としては、今後、この『モデルプログラム』をさらに改訂し、活用の促進を図るとともに、二十七年度から新たに実施をしている、ICTを活用した「教育カウンセリング」や、二十四時間体制で電話相談を受け付ける「子ども相談支援センター」など、相談体制の一層の充実を図るなどして、市町村教委や学校におけるいじめの未然防止、早期発見・早期対応の支援に努めていく考えである。
丸岩議員 いじめは学校の内外を問わず、教員の目の届かない所で起き得る。学校は、日ごろから協力をいただいているスクールゾーンの見守りや各行事におけるボランティアに、いじめ根絶のため、積極的に地域の方々の支援や協力を受け入れることも必要であり、学校、家庭、地域、そして行政が相互に連携した取組を進めることがなにより大切であると考える。
こうした社会全体でのいじめの問題の克服に対しての取組に、道教委はどのように支援していくのか伺う。
柴田教育長 地域などと連携した取組について。いじめの根絶に向けては、いじめの実態や傾向、いじめが児童生徒の心身に及ぼす影響などについて学校、家庭、地域、行政が情報を共有し、相互に連携して取り組むことが重要である。
このため、道教委では、これまで、学校などが地域との連携の中で、いじめの発生状況などについて、効果的に公表している事例などを取りまとめた資料を作成し、保護者や地域住民などへの積極的な情報提供を市町村教委や学校に働きかけるとともに、いじめ問題対策連絡協議会を通じて、各地域における関係機関や団体との連携強化を図ってきた。
道教委としては、引き続き、市町村教委や学校に対し、各地域における関係機関などとの情報共有の促進や連携の強化について働きかけるとともに、新学期に向けて、知事部局と連携し、いじめ根絶に向けたメッセージを広く発信するなどして、学校が家庭や地域と連携しながら、住民の支援や協力のもとで、いじめの克服に向けた取組の一層の強化が図られるよう努めていく。
(道議会 2016-05-06付)
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