道議会文教委の質問・答弁概要(28年2月25日)
(道議会 2016-04-13付)

 道議会文教委員会(二月二十五日開催)における川澄宗之介委員(民主党・道民連合)の質問、および山本広海教育部長(当時)、秋山雅行総務政策局長(当時)、馬橋功教職員課長(当時)の答弁の概要はつぎのとおり。

◆特定事業主行動計画

川澄委員 女性教職員の活躍推進の取組の一つとして、女性教員を対象としたミドルリーダー研修が実施されていると聞いている。その内容と開催状況について伺う。

 併せて、この研修の目的は女性教職員の管理職登用に向けた研修との認識でよいのかどうかも伺う。

馬橋教職員課長 女性教員を対象としたミドルリーダー養成研修について。同研修は本年度から、十四管内で実施し、合わせて二百七十人の女性教員が参加している。

 同研修は、女性教員からの意見を踏まえ、ミドルリーダーに求められるマネジメントの基本、やる気を高めるコーチング、保護者への対応の在り方などを内容として、民間企業の代表者や大学の教授などによる講演や管内で活躍している女性管理職との意見交換などを行い、参加者からは、「ミドルリーダーの役割や管理職の魅力、やりがいなどを理解する機会となった」との声が寄せられている。

 また、同研修は、ミドルリーダーの必要性や役割についての共通理解を図り、組織マネジメントの在り方などの研修を通じて、ワークライフバランスに配慮しながら、学校運営に主体的にかかわり、同僚教員と協働して教育活動を改善充実できる資質や能力の向上を図ることを目的として実施しているものであり、管理職を目指す女性教員のみを対象としたものではない。

川澄委員 女性教職員の割合は半分を超えている。義務校においては、そういった状況にあるが、今回のミドルリーダー研修の対象にならない養護教諭、栄養教諭、事務職員から、私たちはどうなるのかという話を聞いている。こういった職種については、今回の女性活躍とは関係のない職種として認識されているのかどうかという点。もし、そうではないのであれば、こういう少数職種の女性教職員に対する取組はどのようにすべきと考えているのか伺う。

馬橋教職員課長 養護教諭等に対する取組について。女性が活躍する社会を実現するためには、職種にかかわらず、その専門性を高めながら、個性と能力を十分に発揮する必要があることから、初任者研修や十年経験者研修などの充実を図るなど、養護教諭や栄養教諭、事務職員を含め、すべての女性教職員の活躍に向けた取組を進めていきたいと考えている。

川澄委員 女性管理職員の方を対象にしたアンケート調査で、女性教員が管理職を目指さない理由として、管理職業務が多忙であり、家庭との両立が困難であるといった回答が一番多かったと聞いている。

 こうした点が解消されない中で、様々な研修を実施して、管理職の学校運営について説明しても、効果があるとは考えにくい。それよりも、まず、多忙化を解消していく必要があると思っていらうが、見解を伺う。

馬橋教職員課長 管理職の多忙化の解消について。二十七年五月に取りまとめた公立学校の全女性管理職を対象としたアンケート調査では、管理職を志す女性教員を増加させるため有効と思われる取組について、複数選択式で、教頭等の多忙化の解消が約九割、家庭の事情を踏まえた人事上の配慮が約七割の回答となっている。

 こうしたことから、道教委としては、学校における業務分担の見直しなど、管理職の負担軽減に向けた取組を進めるほか、子育てや親の介護等の家庭環境による事情がある場合については、異動や昇任の際に勤務地に配慮するといった人事上の取扱いについて検討していきたいと考えている。

― 指 摘 ―

川澄委員 解消については、管理職にかかわらず、取組を一層進めていただきたい。

川澄委員 定年前に退職する先生方が毎年のように数多くいると認識している。定年前退職者における女性教員の占める割合が六〇%を超えている現状がある。退職理由の中に、介護、育児で両立が難しく退職を選ばざるを得ない状況方があるとも聞いている。こういったことから、女性教職員の働き方を検証することから始めていかなければならないと思っている。

 女性教職員の働き方について、特に、一般教職員を含めて意見等を聞いたことがあるのか伺う。

馬橋教職員課長 女性教職員の働き方などについて。二十六年度中に、定年前に退職した小学校、中学校、高校および特別支援学校の管理職以外の教職員は、合計で三百三十八人、その内訳は男性の三八・二%に対して、女性は六一・八%となっている。

 また、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が成立し、地方公共団体においては、女性職員の活躍の現状を把握・分析し、その結果を踏まえ、数値目標や取組などを盛り込んだ特定事業主行動計画の策定が義務付けられることとなった。

 こうしたことから、道教委としては、昨年十一月に女性教員の活躍を推進するための取組などについて、学校を抽出し、その学校に勤務する教員を対象としたアンケート調査を行って、意見を伺った。

川澄委員 意見を聴取した中で、女性教職員が望んでいることはどのようなことであったのか伺う。

馬橋教職員課長 アンケートにおける意見などについて。アンケートにおいて、女性教員からは、女性が安心して仕事と子育てを両立させることができるような勤務地への配慮、また、育児や介護の役割は女性が担うことが多く、こうした現状を変えていく必要性、男性教諭の育児休業取得率を上げる取組を行うなど、男女の別なく働きやすい職場環境の実現、さらには、部活動の見直しなど時間外勤務の縮減などの意見をいただいている。

川澄委員 こういった部分について両立していきたいという願いをもっているが、それがうまくいかずに定年前退職を選ばざるを得ない状況があると思っている。こういった意見を行動計画にどのように反映していくのか。

 多くの一般教諭の働き方を整備していくこと。管理職登用の問題よりも、そこを先に整備していかなければならないのではないかと考えている。その点について、考えを伺う。

 そのために、教職員の声を、二十七年度策定していく活躍推進法に基づく特定事業主行動計画に反映していく仕組みをつくっていくべきと思うが、この点について、見解を伺う。

秋山総務政策局長 一般教員からの意見などについて。女性教職員の活躍を推進するためには、仕事と家庭の両立の観点から、実際に学校で勤務している教職員の意見を聞くことは大切であると考えており、ただ今お答えした女性教員からの意見なども踏まえながら、年度内に行動計画を策定していく考えである。

 また、全道および十四教育局ごとに設置している「女性教員活躍推進会議」において、計画策定後にその進捗状況の定期的な検証などを行うこととしており、その際、地域の実情を踏まえながら、女性教職員の意見も参考に協議することを検討している。

― 指 摘 ―

川澄委員 何よりも重要なのは、先生方の意見をしっかり聞いていただきたいということである。現場の先生方がどういった思いでやっているのかをしっかりと反映していただきたい。

川澄委員 管理職登用だけではなく、女性教職員の活躍について、どのように考えているのか伺う。

 併せて、時間外労働の解消、休暇制度の充実と子育てや介護などとの両立がしやすい環境づくりを行うことが先決ではないか。この点について伺う。

馬橋教職員課長 女性教職員の活躍推進などについて。女性教職員の活躍は、女性の登用拡大だけにとどまるものではなく、すべての女性教職員が、その個性と能力を十分に発揮できることを目指して推進していくことが必要と考えている。

 また、女性教職員が一層活躍するためには、教職員の多忙化の解消が必要であり、これまで、週休日の振替期間の特例および休憩時間の制度の見直しなど、勤務時間にかかる制度改正を進めるとともに、子育て中であっても生き生きと働くことができる職場環境を目指し、年次有給休暇や育児休業の取得の促進などに努めてきている。

 道教委としては、今回策定する行動計画に仕事と子育ての両立を推進する取組などを盛り込み、実効性のある時間外勤務等の縮減や男女ともに働きやすい職場の環境づくりに努めていく。

川澄委員 道教委は、女性管理職の割合について、五年後を目途に現行の二倍である一五%を目指すと聞いている。現在検討中ということであるが、一五%を目指すために何をしなければならないのかと考えたとき、まず、一般の先生方の働き方を改善していく。その中で、学校運営にかかわっていきたいと考える先生方も出てくる。こういった点で、労働環境の改善を始めることが重要だと思っている。道教委の認識を伺う。

山本教育部長 女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画に関して、職場環境の改善について。学校教育全体を通じて、男女の平等、相互理解と協力など、男女平等参画の大切さを指導していく教育現場においては、女性が男性とともに学校経営に参画していくことは、大変重要と考えており、今回策定する特定事業主行動計画において、公立学校における女性管理職比率について、五年後の三十二年には、現行比率の約二倍の一五%を目指すことを、現在、検討している。

 このため、道教委としては、女性教職員のさらなる活躍を総合的に推進するため、女性教員のキャリアアップへの意欲の醸成を図るミドルリーダー養成をはじめとした研修制度の充実、また、教職員の多忙化の解消に向けて、教育局と連携し、学校を訪問するなどして、勤務実態の把握に努めるほか、「部活動指導の見直しにかかる申し合せ」の周知徹底、また、「変形労働時間制等の制度」の活用、さらに、子育てや親の介護等の家庭環境に事情がある教職員については、勤務地に配慮するといった人事上の取扱いを検討するなどして、家庭と両立しながら働き続けられる環境の整備に取り組んでいきたいと考えている。

(道議会 2016-04-13付)

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