道議会文教委員会の質問・答弁概要(28年2月2日)
(道議会 2016-03-30付)

 道議会文教委員会(二月二日開催)における丸岩浩二委員(自民党・道民会議)の質問、および杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、岸小夜子義務教育課長の答弁の概要はつぎのとおり。

◆教科書発行者の点検・検証

丸岩委員 本件は、教科書会社が、規則に違反して申請本を教員等に閲覧させた上で、対価を支払ったことに、本道の多くの先生方がかかわっている可能性がある重要な問題と考えている。

 道内では、文部科学省から提供された対象者名簿に記載されている合計五百十六人もの教員等がかかわっている可能性があるとのことであった。

 教科書会社の自己点検・検証は、どの年度の検定を対象として行われたのか。

岸義務教育課長 調査対象になった年度について。文部科学省は、義務教育諸学校用の教科書発行者に対して、十八年九月以降に行われた教員等との意見交換や会議の開催のための在り方等に関する自己点検・検証結果の報告を求めており、対象となる教科書検定の年度は、小学校では、十九年度、二十一年度、二十五年度、中学校では、二十年度、二十二年度、二十六年度になっている。

丸岩委員 五百十六人の対象者は当時、市町村立学校の教員が多いと思われるが、そのほかに、どのような人が該当していたのか、その内訳を伺う。

岸義務教育課長 対象者について。現在、対象者名簿に基づいて、氏名、所属、職位の確認作業を進めており、対象者の中には、市町村立小・中学校の教員のほか、国立や私立の学校の教員、市町村教委職員、すでに退職している教員などもみられる。

丸岩委員 事実関係がまだはっきりしていないとはいえ、こうした報告を受けて、本道の対象者が多いことに大変驚いているし、また、残念にも思っている。

 道教委としては、このたびの発端となった事案を受けてから、これまで、どのような取組を行ってきたのか伺う。

梶浦学校教育局長 道教委の取組について。道教委では、事案が明らかになった直後の昨年十一月四日、また、その事案の概要が明らかになった直後の十二月十四日付で、市町村教委をはじめとする教科書採択関係機関等に対し、教科書採択における公正性・透明性の確保について、通知による指導を行った。

 また、ことし一月には、ほかの教科書発行者においても、類似の事案が発生したことを受けて、一月十三日付で、教科書採択における公正確保に関して、あらためて市町村教委等に通知を発出し、また、その中で、過去の事案も含め、教科書採択において公正な採択が阻害される事案等があった場合は、その都度、報告するよう指導を行った。

 さらに、道内に支社や出張所を置いている義務教育諸学校用教科書の発行者十一者を一月二十日から二十二日にかけて、義務教育課長などが直接訪問し、法令に則り、教科書採択の公正確保等に万全を期すよう要請も行った。

丸岩委員 その通知によって、教科書採択においての公正な採択が阻害されるような事案が報告されたのか伺う。

岸義務教育課長 道教委への報告について。一月十三日付の通知で報告を求めている公正な採択が阻害される事案等については、現在まで、市町村教委等から報告はない。

丸岩委員 一件の申し出もなかったということであった。そうした中、このたびの報告では、現実には五百十六人もの先生方がかかわっている可能性があるということであり、疑問を感じざるを得ないのが実感である。

 今後、道教委は、三月十一日の報告期限まで、調査を実施するということであるが、どのように進めていくのか伺う。

杉本学校教育監 今後の調査の進め方について。文科省から情報提供のあった五百十六人について、速やかに、氏名や現在の所属等を確定するとともに、対象者に対し確認を行う具体的な内容や方法、作業日程等を作成し、市町村教委をはじめとする教科書採択関係機関等の協力をいただきながら、調査を進めていく。

 教科書は、すべての児童生徒が、学校の授業や家庭における学習活動において必ず用いる極めて公共性の高いものであり、著作、編集から検定、採択、供給に至るまでのいずれの段階においても、疑惑の目が向けられることのないよう、高い公正性・透明性を確保し、適正に行われる必要がある。

 調査の結果、法令等に違反する行為が確認された場合は、厳正に対処するとともに、再びこうした事態が生ずることのないよう、再発防止に万全を期していく。

― 指 摘 ―

丸岩委員 教科書は、子どもたちが、学校の授業で必ず用いるものである。公正性をしっかりと意識しながら、教科書会社には教科書を作成していただきたいと考えるし、各教育委員会や学校における採択に当たっても、公正の確保に努めるべきだと考える。

 道教委では、これから事実確認を行うということであった。その数からも、大変な時間と労力を用いることになると思うが、しっかりと調査いただき、正確な調査結果を報告していただくとともに、このようなことが繰り返されないよう手当てを講じることをお願い申し上げる。

(道議会 2016-03-30付)

その他の記事( 道議会)

道議会文教委員会(28年4月5日) 投票日に留意して行事日程の設定を 18歳選挙権の対応で道教委

 道議会文教委員会(五日)では、十八歳選挙権にかかわる道教委の対応について質疑が行われた。  河原範毅高校教育課長は「学校行事等によって、生徒が投票日当日に投票することが困難となる場合も考...

(2016-04-07)  全て読む

道議会文教委員会(28年4月5日) 授業確認などを行い適正に執行 朝鮮学校への補助金交付で学事課長

 道教委文教委員会が五日開かれ、朝鮮学校への補助金交付にかかわって質疑が行われた。  道の佐藤則子学事課長は「これまでも授業内容の確認や、財務面の指導・検査を行った上で交付してきている」と...

(2016-04-07)  全て読む

道議会文教委の質問・答弁概要(28年2月2日)

 道議会文教委員会(二月二日開催)における佐野弘美委員(日本共産党)の質問、および杉本昭則学校教育監(当時)、土井寿彦総務課長(当時)、馬橋功教職員課長(当時)、赤間幸人高校教育課長(当時)...

(2016-04-06)  全て読む

道議会文教委員会の質問・答弁概要(28年2月2日)

 道議会文教委員会(二月二日開催)における川澄宗之介委員(民主党・道民連合)の質問、および山本広海教育部長(当時)、安部和彦教職員課制度担当課長(当時)の答弁の概要はつぎのとおり。 ◆栄養...

(2016-04-05)  全て読む

道議会文教委の質問・答弁概要(28年2月2日)

 道議会文教委員会(二月二日開催)における加藤貴弘委員(自民党・道民会議)の質問、および杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、岸小夜子義務教育課長の答弁の概要はつぎのとおり。 ◆各管内の...

(2016-03-31)  全て読む

道議会文教委(28年3月23日) 193園、42%が移行 私立幼稚園が子ども・子育て支援新制度で

 二十三日の道議会文教委員会では、私立幼稚園の子ども・子育て支援新制度への移行について質疑が行われた。  道総務部の佐藤則子学事課長は、昨年四月、私立幼稚園四百六十五園のうち、二二・六%に...

(2016-03-28)  全て読む

1定道議会予算特別委(28年3月18日) 教員向け指導資料作成して活用促進 美術鑑賞学習用支援ツールで質疑

 一定道議会予算特別委員会第二分科会(十八日)では、美術の鑑賞学習用支援ツールについて質疑が行われた。  長内純子文化財・博物館課長は、へき地等の学校の子どもたちが美術への興味関心を高め、...

(2016-03-28)  全て読む

1定道議会予算特別委(28年3月18日) 新たに実践交流会 アイヌ文化の学習で道教委

 一定道議会予算特別委員会第二分科会(十八日)では、アイヌ文化の学習の充実について質疑が行われた。  二十八年度の取組について、岸小夜子義務教育課長は「新たに、各管内の中核となる教員等を対...

(2016-03-28)  全て読む

道議会文教委(28年3月23日) 訓戒を基本に処分、30日の会議で決定 申請本閲覧問題で道教委

 道議会文教委員会(二十三日)では、教科書検定申請本の閲覧問題にかかわる処分などについて質疑が行われた。  質疑の中で、道教委は、申請本を閲覧し、教科書発行者から金品を受け取った教員等のほ...

(2016-03-25)  全て読む

道議会文教委(28年3月23日) 道独自に教科書発行関係者に要請 申請本閲覧問題で山本教育部長答弁

 山本広海教育部長は、道議会文教委員会(二十三日)で、教科書検定申請本の閲覧問題に対する道独自の取組として、教科書採択時期に合わせ、教科書発行関係者に対する要請を行うことを明らかにした。 ...

(2016-03-25)  全て読む