性に関する指導の手引発行―札幌市教委　生命尊重する心育てて　発達段階ごとの指導法紹介

（市町村 2016-04-27付）

札幌市教委が発行した『性に関する指導の手引』

　札幌市教委は、『性に関する指導の手引』を発行した＝写真＝。性に関する指導について発達の段階に応じた指導の在り方等をまとめたもの。生命を尊重する心や性に関する正しい知識をもって行動する倫理観等を培うため、より一層の指導の充実を求めている。

　市教委では、性に関する指導の充実を札幌市学校教育の重点の一つに位置付け、十八年三月に「性教育の手引」を発行。また、研究指定校における実践研究を通じて、各学校における性に関する指導が計画的に実施されるよう努めるなど、効果的な指導の工夫に取り組んできた。

　しかし現在では、インターネットに起因する性的トラブルや人権尊重精神の欠如によるデートＤＶ、人工妊娠中絶など性に関する問題が多様化・複雑化しており、性に関する指導は、より一層現状に応じた効果的なものとなるよう工夫改善を図ることが重要となっている。

　このため、子どもを取り巻く現代的な課題に対応し、各学校における指導方法等の工夫改善を図ることを目的として「性教育の手引」を改訂。「性に関する指導の手引」を発行した。

　手引では、学校における性に関する指導の意義と基本的な考え方を紹介。性に関する指導の基本目標や、札幌市における「命を大切にする指導」に関する位置付け・具体的な取組についても記している。

　また、今回の改訂では、性に関する指導を発達段階に応じて系統的に行うことを重視。幼稚園から高校までの各段階における指導の在り方を提示している。命を大切にする指導の充実にかかわる事例や、性同一性障害などの現代的な要素を反映した事例を掲載している。

　このほか、二十六年度札幌市研究開発事業「性に関する意識・実態調査」結果や性同一性障害に関しての相談が可能な札幌市の窓口なども記している。

　市教委では手引をすべての市立園・学校に配布。「教職員の共通理解のもと、家庭や地域、関係機関との連携を図りながら、一人ひとりの子どもに生命を尊重する心や性に関する正しい知識をもって適切に行動する倫理観等を培うことができるようにしてほしい」と話すなど、性に関する指導の一層の充実を求めている。

(市町村 2016-04-27付)