未来見据えて組織改善へ 松井会長あいさつ概要―道小学校長会第1回理事研
(関係団体 2016-05-19付)

道小理事研会長あいさつ
あいさつする松井会長

 十日に開かれた道小学校長会第一回理事研修会における松井光一会長=写真=のあいさつ概要はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 現在、道小に対する本道の校長の思いはいろいろである。道小へ大きな期待を寄せる方が多くいる一方で、必ずしも好意的ではなかったり、その存在をあまり知らなかったり、今後の道小の組織を不安視したりする声もある。

 今こそ、道小の存在感を全道の校長先生が感じられるよう、アンテナを高くし、全道各地区の悩みや困りを把握し、力になるよう積極的に行動していくことが求められている。

 この一年間、道小学校長の職能向上と本道教育の振興を図るため、各地区において理事の皆さんが遺憾なく力を発揮できるよう、充実した研修・情報交流の場となることに努めたい。

それでは、第一回の理事研修会に当たり、本年度の道小学校長会として大切にしていきたい点について四点お話しする。

 一点目は、「アンテナを高くして、最新で有効な情報を把握し、全道の校長に正確にお伝えすること」について。

 中教審教育課程部会小学校部会の「小学校英語についてのとりまとめ案」に関して、高学年の授業時数確保の方法としての例示については、どれか一つということではなく、学校の実態に合わせて考えてほしいとしていることから、ここに、校長のカリキュラムマネジメントの力量が問われているということが分かる。

 続いて、教職員定数について、四月二十二日の馳浩文部科学大臣の会見に関して、義家弘介文部科学副大臣が座長となっている「次世代の学校指導体制強化のためのタスクフォース」の中間まとめについてふれている。

 中では、児童生徒数に連動して基礎定数化をするといった一見、世間的には受け入れやすいと思われる表現があるが、よくみると、加配を含めて、児童生徒数の自然減に合わせて減少を求めるものとなっている。

 文部科学省ではそのことを、政策目的・目標に応じた「基礎定数」と「加配定数」のベストミックスを追究していくとし、財務省ともコミュニケーションを取りながら、効果的な教職員の配置、また、このことについて必要な数字を最終的に割り出した上で、義務標準法の見直しも視野に入れて、取り組んでいきたいとしている。

 馳大臣の会見と同じ日、全連小他関係教育団体が、文科省の財務課長からもう少し詳しい裏側の説明を受けている。

 一つ目は、一見すると、小二に定数とか、発達障害や外国人のための教員を定数化するなど、文科・全連小が言ってきたことを取り入れて、良い方向にとみえるが、従来の文科省の主張を受けて財務省は出してきたわけで、いわば文科省が反対できない状況をつくったとも言える。

 二つ目は、この考え方だと、現在、教員の定数については、小二を加配定数で賄って三十五人学級を行っているところが多いことから、基礎定数で賄おうとすると、今現在、小三等で加配を使って三十五人学級をやっている学校はできなくなる可能性が出てくる。

 三つ目は、人口が増えているときは加配定数をつけたのだから、人口減少の時は、加配定数を基礎定数化し、加配定数を減らしていくことがねらいであるが、文科省のスタンスとしては、基礎定数と加配定数のベストミックスを考え、教員を減らさないように主張していくという考えである。

 このように、背景となる情報も含めて、今後もお伝えしていきたい。

 二点目は、「北海道教育のために道小としての意見表明や要望活動を行うこと」について。

 ことしも道小・道中とのコラボレーションによるチーム北海道としての提言書を作成した。今回は、本道教育の質の向上を目指す上では、「授業改善」と「チームとしての学校」が重要課題であるととらえ、そのための条件整備を提言している。

 「北海道文教施策・予算策定に関する要望書」については、毎年、各地区からいただいた要望をまとめ、次年度に向け、道中・道公教とともに作成し、道教委に要望するものである。

 八月の道教委とのコラボレーションとなる、文教施策懇談会・各課懇談会にも活用される。

 今後も、道教委、市町村教委だけではなく、文科省・関係行政機関・国会議員や地方議員等への意見表明や要望活動に結び付けていきたいと考えている。あらためて各地区の皆さんの協力をお願いする。

 三点目は「チーム北海道として他の教育関係団体と協働すること」について。

 本日は道教委から、私たちの喫緊の課題である「人事評価」について、昨年度のモデル校での成果と課題を中心にした情報提供がある。最新の情報を理事の皆さんと共有し、質疑をしていければと思っている。

 このように機会をとらえて、道中学校長会、道公立学校教頭会はもちろん、道教委や各市町村教委等の教育行政機関とコラボレーションしながら進んでいくことが、困難と思える目の前にある教育課題の打開に必ずつながるのではないかと考えている。

 また、道PTA連合会との協働による保護者や地域への啓発や、各大学や北海道立教育研究所など研究・研修センター機関、民間教育団体等とのコラボレーションによるさらなる研修活動の充実については、少しずつでも実現させていきたいと考えている。

 四点目は「校長の力量を高めるための研修の充実と組織の改善を図ること」についてである。

 これからの時代の要請に応えていくためにも、教員の資質・能力の向上とともにそれに支えられた「授業改善」が不可欠である。

 これから求められるアクティブ・ラーニング等の授業の在り方の普及・啓発や授業力向上に向けた研修の充実の条件整備を提言書において提言している。

 また、道小の全道大会や全連小の全国大会を効果的に活用し研修することも大切である。

 特に、本年度、小樽市校長会の皆さんに主管していただき、「北の大地から世界を見つめ、新しい社会の形成に向けて挑戦する子どもを育む学校経営の推進」を大会副主題として、第五十九回の教育研究小樽大会を九月九日・十日に小樽市で開催する。すでに全体会・分科会会場が決定され、着実に準備が進んでいる。この大会において、校長のための良い研修となるよう、道小としても研修部を中心に小樽市校長会と連携し、分科会の運営などについて検討している。

 組織の改善については、昨年度の「組織の在り方検討委員会」の報告を受け止め、本年度も「同委員会」を早期に立ち上げて、会費値上げの可否、値上げを実施する場合の次期や値上げ幅等を明確にする検討を開始したいと考える。二十九年度の政令指定都市の税源移譲を控えている札幌市小学校長会は、道小との連携協力を維持すると明言しているが、新たな市小との関係も模索していかなければならない。

 さらに、道小・道中の調べによると、今の小学校六年、中学校一年が社会に出ていく三十七年には、道内の小学校の数が九百五十三校(現在より百五校減少)、中学校の数が、五百五十一校(同五十三校減少)になると予想されている。道内の多くの地区で、小学校と中学校とが同じ組織で活動されていることも参考にしながら、組織の明日を見通していくことが求められる。

 本年度も、校長会としての活動を後退させることなく、未来を見据えて組織の改善への検討を重ねていきたいと考えている。

 以上、四点にわたって、道小として大切にしていきたい点について話したが、今後は、さらに活動を具現化し、つぎのような活動を予定している。

 一つ目は、教職員定数改善(三十五人学級実現)や専科教員の増加等のため、行政機関への要望要請活動を行うこと。

 二つ目は、毎年行われている地区研における道小の話を、最新資料を準備したり話す内容を視覚化したりするなど、分かりやすい情報提供に努めること。

 三点目は、三十年度の全連小全国大会北海道大会の大会副主題・キャッチフレーズを検討し、決定すること。

 四点目は、「チームとしての学校」への取組を加速するための、北海道各地区の実情把握と北海道型「チーム学校」を検討すること。

 五点目は、学力学習状況調査の質問紙項目をレーダーチャートを用いて分析することを継続すること。

 終わりになるが、ことしのキャッチフレーズは、昨年度と同様に「未来を見据え、〝チーム北海道〟として進む道小」とした。

 昨日の総会で申し上げた、三太郎のたとえ話のように、金太郎の自己研鑚、パワー、立ち向かう勇気と桃太郎のチームワーク、浦島太郎の弱きを助け、強きをくじく姿勢と未来予想のできる頭脳をもった校長像を目指した活動となるよう、理事の皆さんのお力添えをお願いする。

(関係団体 2016-05-19付)

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