道教委28年度全国学力・学習状況調査北海道版結果報告書 学校と子どもで認識に差 授業の目標提示や振り返りで(道・道教委 2016-11-29付)
道教委は、二十八年度全国学力・学習状況調査の『北海道版結果報告書』を取りまとめ、二十八日の道議会文教委員会に報告した。学校と児童生徒の質問紙調査の詳細な分析の結果、自尊感情や地域・社会への関心、読書への興味・関心が高い児童生徒、カリキュラム・マネジメントが確立されている学校の方が平均正答率が高いなどの傾向がみられた。一方で、授業での目標提示や振り返る活動などで、学校が取り組んでいると考えていても、児童生徒はそのように受け止めていないという認識に差もみられた。道教委では、「学校の組織的な取組のさらなる充実や家庭・地域との一層の連携の強化などが求められる」としている。
本年度調査について、道教委は九月、「全国の平均正答率との差が、小学校国語Aで同じ、小学校国語B、算数A、中学校数学A、数学Bの四教科で縮まり、小学校算数B、中学校国語A、国語Bの三教科で広がった」などと本道分の調査結果を発表。その後、全道や各管内の状況を詳細に分析するとともに、同意を得られた百六十七市町村の状況と学力向上策、十九年度以降の本道の学力向上関連の取組の検証と改善に向けた取組を『報告書』に取りまとめ、二十八日の道議会文教委員会に報告した。
『報告書』では、児童生徒と学校の質問紙調査と学力の状況をクロス分析した。
児童生徒質問紙調査で、「先生は、あなたの良いところを認めてくれていると思う」との設問に「当てはまる」と回答するなど、自尊感情や地域・社会への関心、読書への興味・関心が高く、授業において、主体的・対話的で深い学びや国語における資料活用をよく行い、算数・数学で分からなくてもあきらめずに取り組む態度・意欲のある児童生徒の方が、平均正答率が高い傾向がみられるという結果を得た。
一方、学校質問紙調査では、「児童生徒の姿や地域の現状等に関する調査や結果データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立している」を「よくしている」と回答するなど、カリキュラム・マネジメントの確立、指導方法や学習評価の改善、積極的な教員研修、教職員の取組の共有に取り組む学校の方が、平均正答率が高い傾向がみられた。
学校質問紙調査と児童生徒質問紙調査の結果を比較し、学校と児童生徒の認識の違いについても分析した。
「授業の中で目標を示す活動」を計画的に取り入れたと回答した小学校は六八・七%あったが、目標が示されたと受け止めた児童は四九・六%。その差は一九・一ポイントある。中学校でも、学校五六・五%に対し、生徒四一・二%にとどまり、一五・三ポイントの差があった。
このほか、「授業の最後に学習したことを振り返る活動」「主体的・対話的で深い学び」についても、学校と児童生徒の認識に一〇~二五ポイント程度の差がみられた。
また、学校質問紙調査の項目のうち、本道の課題となっている項目について、継続的に成果を上げている秋田県、福井県、石川県と比較。中学校の授業で学習の目標を示す活動や振り返る活動を計画的に「よく行った」、同じく国語や数学の宿題を「よく与えた」との回答が、本道よりも五〇ポイント以上高かった。
道教委では、「調査の結果等を活用しながら教育活動の改善を進めている学校が増えてきている」が、「学校が指導を行ったと考えていても、児童生徒がそのように受け止めていない状況」などがみられると分析。「学校の組織的な取組のさらなる充実や家庭・地域との一層の連携の強化などが求められる」としている。
(道・道教委 2016-11-29付)
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