教職員の不祥事根絶目指し資料 自分事と考えた研修要請 具体例挙げ5段階で考察―道教委
(道・道教委 2016-12-14付)

 道教委は、教職員による飲酒運転などの不祥事根絶を目指した研修資料を作成した。ほかの教職員が起こした不祥事を他人事ではなく、「自分のこととして考える」とともに、「学校の情報伝達体制の充実」を図り、不祥事の兆候を管理職員に伝え、学校として対応することを防止のポイントとして提示。その上で、「交通違反(飲酒運転)」「わいせつ行為」などのテーマ別に、具体的な事例を挙げ、当事者の立場になり、五つのステップを踏んで考えていく構成となっている。道教委では、道立学校長や市町村教委教育長に対し、資料を活用した研修に取り組むよう求める通知も発出した。

 学校教育で、児童生徒の教育に直接携わる教職員には、高い倫理観が求められているのにもかかわらず、教職員による飲酒運転などの不祥事が後を絶たない。

 道教委では、教職員が不祥事によって、教育に対する信頼を失うことにつながると理解している一方、これまでの不祥事を他人事ととらえていることから、「不祥事を防止するためには、教職員一人ひとりがほかの不祥事をわがこととして自覚し、わが身を振り返ることが重要」と指摘。

 また、不祥事防止のための研修は、内容の理解や資質・能力の向上が本来の目的であるのにもかかわらず、「研修を受けること自体が目的となっているため、受け身の姿勢で参加しているという側面があったのではないか」と疑問を投げかけている。

 これらのことから、道教委では、教職員による不祥事根絶を目的に、教職員が主体的に研修に取り組めるよう配慮し、研修資料を作成した。

 研修資料は、管理職員用と一般職員用の二種類。いずれも、基本的に内容は同一で、まず、「不祥事の(再発)防止のポイント」を二点提示している。

 一つは、「自分のこととして考える」こと。

 不祥事を起こした教職員がこれまでの不祥事を他人事ととらえていたことを踏まえ、「ほかの教職員が起こした不祥事であっても自分のこととして、また、他校で起きたことであっても自分が勤務する学校で起きたこととして考えることが非常に重要」と強調している。

 二つ目は、「学校の情報伝達(連絡)体制の充実」。

 多くの不祥事には、発生以前に何らかの兆候がみられ、それを把握して適切に対処していれば、防止することができたと考えられるものが少なくないことから、「〝おかしい〟と感じた際には、すぐに管理職員に伝え、学校としてしっかり対処することが非常に重要」と指摘。

 これら二つのポイントをしっかりと理解し、実行に移す必要があるとしている。

 研修資料では、これらのポイントを挙げた上で、一般職員用は、「交通違反(飲酒運転)」「わいせつ行為」「体罰」「金銭の私的流用」「欠勤等(職務専念義務違反)」「営利企業従事等制限違反」「不適切な会計処理」など十四のテーマ、また、管理職員用は、これらに「管理監督責任」を加えた十五のテーマを取り扱っている。

 各テーマは、「導入編」「事例演習編」「過去の処分事例編」で構成。

 「導入編」は、各テーマについて理解しておくべき基本的な知識を解説。

 「事例演習編」では、過去に実際に発生した事例を取り上げ、当事者になった立場で、「心情・反省」「影響等」「取るべきだった行動」「今後の行動」「実行」の五段階のステップを踏んで考えていく。

 「過去の処分事例編」では、各テーマに関する主な処分事例とチェックリストを掲載している。

 また、資料を活用して研修を進めるのに当たって、「主体的に、自分のこととして考えることが大切」「研修を単発的に受ける意識ではなく、研修を継続して行う意識が大切」「研修を行って自分がどう考えるようになったのか、自分がどう行動するようになったのかを認識することが大切」との〝三つの約束事〟を挙げ、これらを常に念頭に置いて、研修に取り組むよう求めている。

 道教委は、九日付で各道立学校長・各市町村教委教育長宛に、総務課長・教職員課長・教職員課服務担当課長連名の通知を発出。校内研修や自己研修など、様々な機会で研修資料を活用し、教職員の不祥事根絶に、鋭意取り組むよう呼びかけた。

(道・道教委 2016-12-14付)

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