胆振管内29年度教育推進の重点 チームとしての学校を 新たに〝基本姿勢〟示す資料作成―胆振局が公立小中校長会議
(道・道教委 2017-04-13付)

胆振管内推進イメージ
オール胆振で地域を支える人材の育成を担う教育の推進(クリックすると拡大表示されます)

 【室蘭発】胆振教育局は十一日、むろらん広域センタービルで二十九年度管内公立小・中学校長会議を開催した。本年度の胆振管内の教育推進テーマを「オール胆振で教育効果の高い〝チームとしての学校〟づくりを目指して」に設定。阿部清明局長がこのテーマのもと、教育局として示す改善の方向性と改善内容を説明した。

 阿部局長による説明概要はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 二十九年度胆振管内教育推進の重点について、「オール胆振で地域を支える人材の育成を担う教育の推進」に基づき、説明申し上げる。

 本年度の重点については、管内の教育課題を解決するために、「オール胆振」で取り組んでいく必要があることから、イメージやテーマ、目的意識などを共有するため、新たに胆振管内教育推進にかかる「基本姿勢」についての資料を作成し、「オール胆振で地域を支える人材の育成を担う教育の推進」を基本姿勢として掲げた。

 特に、本年度については、「胆振管内教育推進のテーマ」を「オール胆振で 教育効果の高い〝チームとしての学校〟づくりを目指して」とした。

 当管内においては、各市町で、地域の実態に応じて、特色ある教育施策が推進されており、心強く感じている。

 一方で、管内の子どもたちの学力は、全国学力・学習状況調査の結果から、全国との差が、着実に縮まっているものの、小・中学校ともに、全道、全国の平均正答率には達していない状況にある。

 また、全国下位約二五%と同じ正答数の範囲に含まれる児童生徒の割合も、小・中学校ともに、すべての教科において、約五ポイント程度高い割合となっている。

 こうした現状の中、すべての子どもたちの可能性を最大限に伸ばし、一人の児童生徒も見捨てることなく、変化の激しい社会を生き抜く力を育むために、各市町および各学校が、今一度、想いを共有し、「オール胆振」で取組を進めていきたいという思いをテーマに込めた。

 胆振管内教育推進のテーマのもと、取組を進めるのに当たり、教育局として、六つの「改善の方向性」を示すとともに、地方創生の実現等を目指し、教育局の主な取組について、「教育局としての改善内容」として、七点にわたり、具体的に示した。

 「教育局としての改善内容」の一つ目は、「地域社会と学校の協働した取組」である。

 学校だけの取組では、対応や解決のできない複雑な課題も多くなってきており、学校はもとより、学校を取り巻く地域や関係者が、一つのチームとなって課題解決に向かわなければならない時代を迎えているのは、皆さんも承知のとおりのことと思う。

 教育局としては、本年二月に実施した管内教育委員会委員研修会を経て、これまでは、各市町や学校単位で取り組んでいただいてきたネット利用に関するルールづくり等に加え、スマホなどの情報機器活用等にかかわるルールづくりについて、PTA等との関係機関とも連携して、管内レベルでの取組に発展させていきたいと考えている。

 「教育局としての改善内容」の二つ目は、全教職員が協働しながら、具体的な取組を「浸透・徹底・検証」し、日常的な改善に努めていただきたいというものである。

 具体的な取組については、地域や学校の実態に応じて、様々考えられるが、特に、学力向上については、児童生徒の社会的、経済的背景から推測される学力よりも、実際に達成された学力が高い学校、つまり、児童生徒がもっている力を十分に発揮させることに成果を上げている学校が、管内においてもみられる。

 それらの学校においては、「学校力向上に関する総合実践事業」や「授業改善推進チーム」等の先進事例に学び、授業改善に向けた取組を「チームとしての学校」として、全教職員に「浸透」させ、「徹底」して取り組むとともに、定期的に「検証」を進め、改善を積み重ねている取組が実を結んでいる結果と考えている。

 教育局としては、「教育局としての改善内容」の②と③にある、各学校の検証改善サイクルに基づき、「指導主事の集中的な学校訪問期間を設定」するとともに、市町に配置されている指導主事との「連携強化」に努め、機動力を高めながら各学校を支援していく。

 「教育局としての改善の方向性」の三つ目は、昨年度より推進している『人材育成プラン』の具体的な展開についてである。

 学校における多様化・複雑化した課題解決あるいは、活力ある学校づくりを推進するためには、全教職員の資質・能力の向上に努めるとともに、教職員を束ねる管理職員やミドルリーダーの果たす役割は大きいことから、それらを担う人材の発掘・育成が急務となっている。

 教育局としては、「教育局としての改善内容」の④「人材育成プランの具体的展開」の「女性管理職の登用」については、女性ミドルリーダー養成研修や、特に、男性管理職の意識改革、職場環境の改善などを両輪として推し進めていくので、皆さんの協力をお願いする。

 また、「教頭受験者の減少への対応」については、教頭の業務改善に向けた具体的な取組を校長会はもとより、教育長協議会や教頭会とも連携し、具体的な取組を進めていくので、皆さんも、管内統一した取組について協力をお願いする。

 「教育局としての改善の方向性」の四つ目の「服務規律の徹底」については、これまでも機会あるごとに注意喚起してきたが、残念ながら、依然として、体罰や交通事故・違反など、不祥事が絶えない状況となっている。

 教育局としては、「教育局としての改善内容」⑤の「コンプライアンス確立会議や出前講座の充実」などの取組を通じ、「服務規律の徹底」に努めていく。

 各学校においても、意図的・計画的に繰り返し研修等を実施いただき、教職員一人ひとりにまで浸透させ、徹底いただくようお願いする。

 「教育局としての改善の方向性」の五点目の「効率的な業務推進における予算執行」および六点目の「地域に根ざした道立学校施設開放の推進」については、主に道立学校に関する内容ではあるが、教育局としては、「教育局としての改善内容」⑥「道立学校との連携による局の定時見積もりの徹底」など、さらに、効率的な予算執行に努めるとともに、「施設開放事業の浸透」については、道立学校の施設を地域に開放し、多様な学習機会、文化芸術活動や体力つくりの場を提供するため、あらためて道立学校に対し、施設開放事業実施要項を周知し、小・中学校や地域との連携・協働を意識しながら、 道立学校においても、地域とともに歩む学校づくりの一翼を担うよう「施設開放事業の浸透」に努めていく。

 最後に、「教育局としての改善内容」⑦についてであるが、これまで、教育局では、年度当初の校長会議において、年度の重点等を示してきたが、この時期における重点の提示について、局内で議論したところ、四月に全国学力・学習状況調査が実施されるため、時間に余裕がなく、検証による日常的な改善が必要であることから、調査等の結果も踏まえ、十月から十一月にかけて、年度途中での改善方策等を示していくことを予定している。

 このことについても、皆さんと共有しながら進めていくので、よろしくお願いする。

 以上、二十九年度管内教育推進の重点にかかる「基本姿勢」について、説明申し上げたが、今後、次期学習指導要領の理念である「社会に開かれた教育課程」が求められる中、解決しなければならない教育課題には、一校のみ、また、学校だけの努力では対応できない課題やテーマが多くあり、教育局・教育委員会は、首長部局と連携するとともに、学校は、地域とともに協働して取り組んでいかなければならない時代を迎えている。

 そのため、各学校においては、各学校の教育目標を家庭・地域住民と共有するとともに、結果を検証し、地域に開かれ、子どもや保護者の信頼に応える「協働」を重視した学校経営に努めていただくようお願いする。

 特に、各地でコミュニティ・スクールの導入が進んでいる中、管内では、全道に先駆けて取組が進んでおり、他管内からの注目を集めている。高校等での導入や地域学校協働活動の充実など、胆振ならではの実践も展開されると伺っていることから、教育局としても、これまで以上にCSの積極的活用を支援していく。

 教育局としては、今後とも、各市町・学校との「連携・協働」を一層強化するとともに、「浸透・徹底・検証・改善」のサイクルによって、取組が効果的となるよう努め、管内教育を推進していくので、校長の皆さんには、理解と協力をお願いする。

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胆振管内教育推進の重点
胆振管内教育推進の重点(クリックすると拡大表示されます)
胆振管内教育推進重点説明
本年度の重点を説明する阿部局長

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