道小全道会長研修会で角野会長があいさつ(関係団体 2017-06-22付)
道小学校長会が十六日に開催した全道会長研修会における角野誠会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
全道会長研修会の開催に当たり、一言あいさつ申し上げる。
道小においては本年度も「チーム北海道として進む道小」を掲げ、道中学校長会、道教委、道PTA連合会などの教育関係諸団体等と連携を図りながら、二十九年度の活動をスタートしたところである。
本日の全道会長研修会は、共通課題を中心に全道の情勢や取組の状況を情報交換し、道小全体としての取組を明らかにし、道教委等への要望活動につなげる場であると考えている。道小および地区校長会の活動の活性化のために、活発な意見交換が行われることを期待している。よろしくお願いしたい。
開会に先立ち、私の方から教育情勢について、三点話をする。
一点目は、五月二十四日に行われた全国連合小学校長会総会における文部科学省からの行政説明についてである。
説明資料は、六百ページにも及ぶ膨大なものであるが、その中で重点的に説明を受けた施策を七十ページ程度にまとめたので、それを紹介する。全連小総会に参加された皆さんにおいては、焼き直しということになるが、容赦いただきたい。
最初は、新学習指導要領についてである。白馬竜一郎文科省審議官から、話を伺った。全体的には、三月三十一日に告示された内容をまとめた形となっている。
今回の改訂の基本的な考え方では、二十八年十二月の中教審答申に基づいていること、教育基本法・学校教育法を踏まえた提示であることを示している。また、知識の理解の質を高め、資質・能力を育む「主体的・対話的で深い学び」がポイントであることも強調していた。
すべての教科等において「生きて働く知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性等の涵養」の三つの柱で推進することも再整理したと述べていた。そして、これまでの教育実践の蓄積に基づく授業改善が大切であり、授業実践の蓄積を若手教員にもしっかり引き継ぎつつ、授業を工夫改善する必要があると述べ、新しい指導法の導入などと浮足立つ必要性はないとしている。
「各学校におけるカリキュラム・マネジメントの確立」では「教科等横断的な学習の充実」「教育課程に基づく教育活動の質を向上させ、学習効果の最大化を図るカリキュラム・マネジメントの確立」が大切だとしている。
また「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善について、つぎの三点にわたり解説している。
一点目は、地域や他者に対して具体的に働きかけ、対話して身近な問題を解決することを指すものと理解されることも見受けられるが、そうした学びだけを指すものではないこと。
二点目は、今までの授業時間とは別に新たな時間を確保しなければできないものではなく、現在行われている活動を「主体的・対話的で深い学び」の視点で授業を見直すことが大切であること。
三点目は、教科等の本質を問うことが、深い学びにつながると考えていること。深い学びの視点は極めて重要であり、「深まり」の鍵となるものは、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」であることとしている。
続いて、二点目は、道徳教育についてである。特に強調していたのは、道徳の評価の在り方である。基本的な方向性として「数値による評価ではなく記述式とすること」「個々の内容項目ごとではなく、大くくりなまとまりを踏まえた評価とすること」「認め励ます個人内評価として行うこと」「道徳的価値の理解を自分自身とのかかわりの中で深めていること」などを示している。
いじめとの関連としては「いじめに正面から向き合う〝考え、議論する道徳〟への転換に向けて」という文部科学大臣のメッセージを掲載している。また、文科省ホームページに「アーカイブセンター」を設け、資料等の情報提供を行っていることを紹介していた。
また、小中一貫教育について、文科省では、小中一貫教育にかかわる手引を作成して都道府県に通知したこと、地域の実情に応じた小中一貫教育の推進を目指していることなどの方針を示している。
続いて、小学校外国語教育の早期化・教科化支援実施スケジュールについて。ここでは、小学校の体制整備として、年間三十五時間の時間確保にふれ「地域や学校の実情に応じた弾力的な時間割の設定を行うことや、二十九年二月の有識者検討会議の内容を踏まえることを望む」としている。今後の方針としては、教員養成課程における英語力の育成、英語教育推進リーダーの育成、各学校における中核になる教員への講習、プログラムの開発、中学校英語教育との連携などを掲げている。
「次世代の学校指導体制強化のための教職員定数の充実」については、十年間で段階的に実施するとしている。
▽障がいに応じた特別の指導の充実
▽外国人児童生徒等の教育の充実
▽初任者研修体制の充実
▽指導方法工夫改善加配の一部基礎定数化
―の四点を掲げている。
わが国の教員の勤務時間状況調査集計については、教員の長時間勤務に支えられている現状は限界に達していることを踏まえ、勤務時間短縮に向けて全連小にヒアリングしており、それを整理した上で、中央教育審議会に諮問していくという考えを示していた。
いじめ問題については、文科省初等中等教育局児童生徒課長からは、つぎの四点の話があった。
▽いじめの定義を今一度、確認いただきたい。これまで、喧嘩は除くとあったが、今後は喧嘩やふざけ合いであっても、しっかり見るようにしていただきたい
▽いじめ対策委員会が形骸化していないか。チームに入っていない先生も知っておいた方がいい場合もある
▽いじめの解消を安易に考えている場合がないか。形式的に謝り、クラス替えをして急場をしのいでも解消とは言えない。三ヵ月程度いじめがなくなって、はじめて解消したと言える。
▽「原子力発電所事故等により福島県から避難している児童生徒に対するいじめ」については、通知を発出したところである。十分留意いただきたい
―このほか、情報が満載となっているが、それぞれ読んでいただき、各学校の研究推進等において、活用いただければ幸いである。
二点目は「学習指導要領の改訂に伴う移行措置案に対する意見募集の実施」についてである。
文科省から全連小を通して、次期学習指導要領改訂に伴う意見募集を行う旨の情報提供があり、道小として各地区に発出した。移行措置の内容においては、総則、総合的な学習の時間、特別活動、道徳科について、三十年度から新学習指導要領によることとしている。また、指導内容や指導する学年の変更などによって特例を定める教科として、国語・社会・算数・理科としている。新学習指導要領によることができることとするものとして、生活科・音楽・図画工作・家庭科・体育を掲げている。
小学校における外国語については、授業時数のとおり外国語活動を実施することとしている。ここでのポイントは、三・四年生において新学習指導要領の外国語活動を十五時間実施するとともに、五・六年生においても外国語科の内容の一部を加えて必ず実施するということである。
今後、移行期における教育課程の編成を行うとともに、外国語活動や外国語科の指導内容を踏まえた上で、研修の充実に努めていかなければならない。
三点目は、全国学力・学習状況調査における新たな規定についてである。二十八年十二月十六日付で文科省事務次官から発出された通知では、二十九年度の全国学力・学習状況調査において、新たな規定を設け変更すると記述されている。ここでのポイントは「小学校調査の結果を中学校に送付することができること」という部分である。この目的は、六年生時における学力テストの成績と中学三年時における成績との相関関係を分析することにある。各教育委員会においては、三十二年以降、この取組を実施できることとしている。
このことについては、各学校の設置管理者においては、文科省から小学校調査と中学校調査の関係についての分析結果の提供を受けることを希望する場合には「二十九年度の小学校調査の個人票コードが、三十二年度の中学校実施時までに児童の進学先の中学校等に送付されていること」「三十二年度の中学校調査の実施の際に、送付された小学校個人票コードを生徒に伝達するなどの方法によって、生徒の解答用紙に小学校調査の個人票コードが記載されていること」が必要となると記述されている。
仮に情報提供を行う場合、どの時点で、どのような周知方法によって個人票コードを中学校に送付するのかが、まだ具体化されていない。個人情報保護関連法令に基づく保護者の同意が必要か否かの判断も明確になっていない。
いずれにしても、小学校が中学校に対して学力テストの結果について情報提供を行う場合には、入試には全く反映するものではないことなど、保護者に対して丁寧な説明が必要となる。今後の動向に注目していかなければならない。
私の方からは、全連小総会における文科省からの行政説明を中心として「学習指導要領の改訂に伴う移行措置案に対する意見募集の実施」「全国学力・学習状況調査における新たな規定」の三点について、話をさせていただいた。
最後になるが、本日の会長研修会においては、各地区の実情はそれぞれ異なるが、皆さんからきたんのない意見をいただきたいと考えている。意見の交流は、各地区校長会の指針や活性化に役立つことと思う。
また、会長研修会の開催に当たっては、対策部を中心に準備いただいた。お礼を申し上げ、あいさつとさせていただく。
(関係団体 2017-06-22付)
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