生きる力育む性教育考察　道性教育研究大会釧路大会開く

（関係団体 2017-11-17付）

糠谷教諭は道徳の授業を通して、子どもたちに「命の尊さ」を教えた

　【釧路発】道性教育研究会（蛯名嘉津夫会長）は十日、釧路市立美原小学校と美原中学校を会場に第四十六回道性教育研究大会釧路大会を開いた。全道各地の小・中学校の教職員百七十五人が参加。公開授業や分科会、講演などを通して、生きる力を育む性教育の在り方について考察した。

　研究主題は「“生きる力”をはぐくむ性教育を目指して～自己肯定感を高め、人間関係力をはぐくむ性教育を目指して」。道性教育研究会主催、大会実行委員会・釧路市学校保健協議会主管。釧路市での開催は、平成五年以来二十四年ぶり二回目。

◆美原小４年道徳「命の尊さ」公開

　大会では、美原小四年と六年の道徳、美原中二年道徳の授業を公開した。このうち、美原小四年二組道徳「命の尊さ」は糠谷友希教諭が指導。資料「あなたがもつ生きる力」を使い、子どもたちに生命の尊さを学ばせ、生きていることの素晴らしさを感じ取らせる授業を展開した。

　資料は、受精から出産までの胎児の成長の様子についての説明文。資料から、子どもたちは母親の胎内で二千倍に成長したことや、産声に特別な意味があることなどを知り、生きる力について話し合った。また、産まれてきたときの様子などがつづられた親からの手紙を読み、子どもたちは涙を流しながら命の大切さについて考えた。

　授業分科会のあとの開会式では、蛯名会長（札幌市立柏中学校長）が「本大会の成果をもち帰り、性教育の確かな取組が全道各地に広がることを期待する」とあいさつ。主管する釧路大会実行委員会の濟藤和彦委員長は「昨今、インターネットやスマートフォンの普及拡大によって、露骨な性描写や誤った性に関する情報に接する機会の増大、ＳＮＳの不適切な利用による性犯罪の多発など、子どもたちを取り巻く社会環境は大きく変ぼうしている」とした上で「学校教育のみならず、医療、福祉などとの幅広い連携が必要」と訴えた。

　続いて、釧路教育局の鈴木淳局長、釧路市教委の岡部義孝教育長がそれぞれ祝辞。大会の成果に期待を寄せた。

　このあと、道教育大学釧路校セクマイサークルＣo―ＲＥが「ＬＧＢＴと性教育～セクシュアルマイノリティーの子どもたち」、助産院釧路マタニティアイの成瀬恵院長が「生まれてきてくれてありがとう～助産師からのメッセージ」と題して講演。参加者は性や命について理解を深めた。

(関係団体 2017-11-17付)