第4回道総合教育会議開く 尊厳の保持が最終目標 いじめ防止で森田特任教授(道・道教委 2018-02-02付)
高橋知事、柴田教育長などが出席
道は一月三十一日、札幌市内のセンチュリーロイヤルホテルで二十九年度第四回北海道総合教育会議を開いた。鳴門教育大学の森田洋司特任教授が「いじめ対策のポイントといじめ防止基本方針の改定」について講話。いじめ対策は「徹底した組織的対応、チームとしての学校を推進しなければならない」と述べた。また、国のいじめ防止対策推進法の最終目標は「児童等の尊厳を保持すること」と指摘し、その一環として「いじめを切り口にしながら、様々な教育や指導を展開していくことが大事」と強調した。
第四回会議には、道から高橋はるみ知事、辻泰弘副知事、道教委から柴田達夫教育長、教育委員四人などが出席した。
議題は「いじめ防止等について~北海道いじめ防止基本方針の改定について」。
はじめに、道教委が本道のいじめの現状と防止の取組、道いじめ防止基本方針改定案のポイントなど、道がネットトラブル防止の取組など、道警本部が子ども健全育成サポート、校内放送を活用した非行防止教室などについて説明。そのあと、鳴門教育大の森田特任教授が講話に立った。
いじめの現状について、国立教育政策研究所の調査で、いじめを「された経験がある」「した経験がある」との回答がともに九割あったこと。また、東京都の調査で、いじめられた子どもの七割がいじめた経験があり、いじめた子どもの八割がいじめられた経験があったことを報告。
「特定の子どもがいじめにかかわっているのではなく、一般化している」「被害と加害の立場は固定していない」との現状認識に立つ必要があることを指摘した。
それらの状況を踏まえ「特定の子どもに焦点を当てた対応策だけでは無理がある。すべての子どもに対して、人格形成の一環に位置付けた対策に取り組まなければ」と訴えた。
これまでの学校は、教師個人の専門性や自由裁量を尊重し、自己完結的に教育を行う〝個業世界〟の組織文化が育ってきたが、個人に任せることには限界があると指摘。「徹底した組織的対応、チームとしての学校を推進しなければならない段階に来ている」と述べた。
国のいじめ防止対策推進法制定の目的は、①いじめを受けた児童等の教育を受ける権利の著しい侵害、心身の健全な成長や人格形成への重大な影響、生命・身体への重大な危険を生じさせるおそれにかんがみ②児童等の尊厳を保持するため③いじめの防止等の対策を総合的、効果的に推進する―という三段の論理構造になっており、法の最終目標は、②にあることを解説。
教育委員会や学校の基本方針では、①と③が直結し、②が浸透していない場合が多いと指摘し「児童等の尊厳を保持する取組の一環として、いじめを切り口にしながら、様々な教育や指導を展開していくことが大事」と強調した。
講話後、知事部局と道教委との連携の現状と今後の方向性についての報告があった。
(道・道教委 2018-02-02付)
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