網走市30年度教育行政執行方針 校務支援システムを導入 CSで地域に開かれた学校へ(市町村 2018-03-12付)
網走市教委・三島正昭教育長
【網走発】網走市教委の三島正昭教育長は二日、市議会第一回定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。コミュニティ・スクールの導入を促進し、地域に開かれた信頼される学校づくりに努めていく方針を示した。また、教育の質の向上と教員の事務負担軽減を図るため、校務支援システムを導入。「すべての教員が子どもたち一人ひとりと向き合う時間を確保することができるよう取り組む」との考えを示した。
執行方針の概要はつぎのとおり。
▼幼保小等連携
幼児が小学校へ入学する際の大きな環境の変化から、「集団行動が取れない」「学習に集中できない」などのいわゆる小一プロブレムの未然防止を図るために、就学前施設から小学校への円滑な接続と連携が必要となる。
このため、就学前幼児と小学校児童との交流や、教職員が教育内容や指導方法についての工夫改善や相互理解が深められるよう、幼稚園・保育園・認定こども園・小学校の連携を進めていく。
▼義務教育
確かな学力については、全国学力・学習状況調査の結果では、全国の平均正答率との差は年々縮まりつつあるが、課題がみられる教科・領域があることから、基礎学力の定着に向けた学習指導の充実を図っていくことが課題となっている。
そのため、学力の課題やこれまでの取組の成果を教委、学校、家庭、地域が共有するとともに、児童生徒一人ひとりが確かな学力を身に付けるために、ICT機器を活用した教育環境の整備、学習支援員の配置、市読書感想文コンクールや土曜学習サポート(あばしり寺子屋)などの取組を推進する。
教員の指導力向上を図るため、引き続き、市内全校での公開研究会の実施、各研究会や研修会への参加などによる学習指導方法の工夫改善の取組を進めるとともに、ICT機器を活用した授業の取組など、各種研修会を通して、質の高い研修を促進しながら、教員の指導力向上に努める。
分かる授業や少人数指導については、学習支援員を配置し、基礎・基本をいかに定着させるかが重要課題となっている算数・数学で少人数指導を実施するとともに、実物投影機、大型テレビ、タブレット型パソコンなどのICT機器を活用した学習指導の充実を図る。
また、校務支援システムを導入し、校務の情報化によって、教育の質の向上とともに教員の事務負担の軽減を図り、すべての教員が子どもたち一人ひとりと向き合う時間を確保することができるよう取り組む。
引き続き、長期休業中や放課後の学習サポートなどを進めるとともに、東京農業大学との連携のもと、学生ボランティアなどによる小学校低学年を対象とした土曜学習サポート(あばしり寺子屋)を継続し、学習支援の取組を推進する。
また、家庭・地域と連携した学力向上の方策として、家庭での学習習慣を確立するための生活リズムチェックシートの積極的な活用を図るとともに、基本的な生活習慣の定着や学習習慣の確立に努める。
豊かな心を育む教育については、多様化・複雑化する現代社会において、規範意識や思いやりの心を醸成するために、道徳教育の果たす役割がますます重要となることから、学校の教育活動全体で道徳教育に取り組むとともに、豊かな心を育てる読書活動の推進や、自然体験、ボランティア活動など、あらゆる教育活動を通して、命の大切さや思いやりの心を培い、子どもたちの豊かな人間性や社会性を育む教育の一層の充実を図る。
健やかな体の育成については、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果から、当市の児童生徒は、全国平均を上回る種目があるものの、体格や運動習慣、生活習慣において改善を必要とする課題もみられることから、体力向上を目指す一校一実践の取組をはじめ、タグラグビーの推進、オホーツク網走マラソンへの参加促進などに努めるほか、引き続き、日本体育大学との連携のもと、大学指導者による体力づくりサポート授業を通して、体力向上に向けた取組を支援する。
生徒指導については、SNSの利用上のトラブルや、いじめ、不登校など様々な課題に適切に対応できるよう、各学校における情報モラルに関する指導や相談体制を充実させるとともに、関係機関との連携を図りながら、これらの未然防止、早期発見に努める。
特に、いじめ問題は事実関係の早期把握に基づく適切な対応による解決が必要となることから、学校における教職員間の情報の共有や指導体制の充実を図るとともに、児童生徒理解に努めるほか、各学校の児童会・生徒会などが行ういじめ防止に関する活動を交流したり、子どもたちがいじめの問題について主体的に考える機会として開催する市子ども会議などの取組を継続する。
また、問題の芽を早期に解消し、きめ細やかな指導につなげるため、スクールカウンセラーを複数名配置するとともに、家庭児童・教育相談室の活用促進、適応指導教室(クリオネ学級)での不登校児童生徒への学習支援の取組を進める。
特別支援教育については、特別支援学級や通常学級に支援員を増員して配置するほか、学校職員間での情報の共有、教職員や支援員を対象とした研修会の開催、各小学校の特別支援学級に配置したタブレットパソコンの活用などを図りながら、特別支援教育の充実に努める。
登下校時の児童生徒の安全確保については、市通学路交通安全プログラムに基づき、通学路危険個所の安全確保に向けた取組を進めるとともに、各地域における見守り活動を側面的に支援し、スクールガードリーダーを継続して配置するほか、パトロール活動用の資材の整備、関係行政機関等で組織する子どもの安全確保連携会議との連携などによって、子どもたちを不審者などから守る取組を継続して行う。
学校図書館については、引き続き図書館のよりよい環境づくりや蔵書の充実を図るとともに、学校図書館司書の配置によって本に親しむ習慣を子どもたちに根付かせるための方策を推進しながら、読書環境の一層の充実に努める。
学校施設の整備については、計画的な整備に取り組み、老朽化などに伴う学校施設の効果的かつ効率的な整備を進めるとともに、児童生徒の安全確保および教員が行う休日における施設管理の負担軽減を図るため、学校施設の設備改修や環境改善の取組を推進する。
学校給食については、給食用備品の整備や設備の改善を進めるなど、子どもたちに安全で安心な学校給食の提供に努め、給食食材の産地公表および放射性物質検査を引き続き実施するとともに、地産地消の取組および子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう食育について推進する。
このほか、学校と地域が連携・協働によって学校の運営に取り組むコミュニティ・スクールの導入を促進する。また、学校施設については、引き続き地域に開放するとともに、学校評議員や学校支援地域本部事業の活用などによって、地域に開かれた信頼される学校づくりに努める。
▼高校・高等教育
網走南ヶ丘高校定時制課程振興のための助成を引き続き実施していくとともに、東京農業大学生物産業学部や学校支援地域本部事業との連携による市内小・中学校での農大生や一般市民の教育ボランティアの拡充に努める。
向学心があり、学業成績が優秀であるが、経済的に厳しい家庭の子どもの大学就学に対する給付型奨学金については、引き続き実施する。
また、奨学資金貸付制度についても、従来同様の運用を図る。
▼社会教育
高等教育機関などと連携した多様な学習機会を提供するとともに、地域ぐるみで学校教育を支援する学校支援地域本部事業や放課後子ども教室推進事業、子どもたちの学習活動に市民指導者が活躍するロセトクラブや宇宙の学校など、市民や関係団体と連携し、子どもたちへ質の高い学習機会を提供する。
また、子どもたちが夢をもって生きることの大切さを実感し、感性豊かな心を育てたくましく生きる力を育むため、夢や人生などをテーマにした学習の機会を創出する。
▼家庭教育
家庭教育の充実や子育ての不安解消のため、引き続き、保護者のニーズや子どもたちの発達段階に対応した各種事業を、学校をはじめ関係団体などと連携を図りながら実施する。
▼国際化対応
幼児や小学生などが早い時期から外国語や外国の文化・風習などに慣れ親しむ環境づくりとして、国際理解のための体験学習や英会話指導員の配置を引き続き実施する。
また、子どもたちが網走と関係の深い諸外国の生活や文化等を学ぶことができる機会の創出にも努める。
(市町村 2018-03-12付)
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