３０年度札教研事業春の研究集会―札幌市教委①考え整理させ気づき促す

（市町村 2018-06-15付）

主人公の心情から自分でできることは自分で行う大切さに気づかせる授業を展開した

　札幌市教委は十二日、市内の各学校などで三十年度札幌市教育研究推進事業（＝札教研事業）の春の研究集会を開いた。国語や算数・数学、社会のほか、外国語、道徳など各教科などの研究部において、会場ごとに授業公開や講演などを実施。教職員の資質向上や教育の充実・向上を図った。

◆中央区・南区の小中合同道徳　藻岩南小

　中央区・南区の小中合同道徳研究部の会場となった藻岩南小学校（田中修校長）では、四年一組「できることは自分で」（前田恭平教諭）の授業を公開。前田教諭は、読み物資料に出てくる主人公の心情から自分でできることは自分で行う大切さに気づかせる授業を展開した。

　道徳研究部では、研究主題を「考え議論し深く学ぶ道徳学習の在り方と評価」と設定。研究の視点に、①「対話的で深い学び」の実現②「学習状況や道徳性」にかかる個人内評価の在り方―を位置付け研究を進めている。

　前田教諭は、本時の目標として、主人公の涙の理由を考える活動を通して、自分でできることは自分で行うことで、より良く生活していこうという意欲を育てると設定した。

　前田教諭は、児童に「四年生になってから自分でできるようになったことは何かあるか」と発問。児童が前向きな気持ちになれるよう「できていること」に目を向け、学習への見通しをもたせた。

　つぎに、読み物資料『目覚まし時計』を朗読。四年生に進級したお祝いに目覚まし時計を買ってもらった主人公が、それをきっかけに寝る時間や勉強をする時間などを決める「わたしのきまり」をつくる。はじめは、きまりを守っていたが、次第に寝る時間や勉強の時間を守ることができなくなり、ある日それがきっかけで学校で体調を崩し、保健室のベッドの中できまりを守れなかった自分を後悔する姿が描かれている。

　前田教諭ははじめに「主人公はどんな気持ちで“わたしのきまり”をつくったのか」と質問。児童が主人公の気持ちに共感できるようワークシートを用いて、内容を整理する時間を設けた。また、再度ワークシート用いてきまりを守れなかった主人公の変容や気持ちを考えさせ、自分でできることは自分で行うことの大切さに気づかせた。

　最後に、児童自身の「わたしのきまり」を考えさせ、より良い生活への意欲を高めさせるなど、児童が自分の生活をより良くするために、自分で考え、行動に移すことができるよう工夫を凝らした。

(市町村 2018-06-15付)