2定道議会予算特別委の質問・答弁概要(7月3日)(道・道教委 2018-09-10付)
二定道議会予算特別委員会第二分科会(七月三日開催)における中野秀敏委員(自民党・道民会議)の質問、および道教委の佐藤嘉大教育長、坂本明彦教育部長、村上明寛学校教育監、赤間幸人学校教育局指導担当局長、相川芳久施設課長、山上和弘健康・体育課長、齊藤順二学校教育局参事(生徒指導・学校安全)の答弁の概要はつぎのとおり。
◆児童生徒の健康について
中野委員 近年の子どもたちを取り巻く生活環境の急激な変化に伴い、生活習慣の乱れやアレルギー疾患など様々な健康上の問題が起きており、学校における対応も多様化している。こうした中、本道の子どもたちの健康状況について、道教委は三年ごとに調査しており、その調査結果が『公立学校児童等の健康状態に関する調査報告書』として五月に公表されている。報告書では、むし歯のある児童等の割合や、中学一年生の永久歯のむし歯について、それぞれ減少傾向にはあるものの、依然として全国平均よりも高い状況にあること、さらに、アレルギー疾患が年々増加していることなどの傾向が特徴としてうかがえる。
どさん子は肥満傾向にあると言われているが、毎年実施されている全国体力・運動能力、運動習慣等調査では、調査対象となっている小学五年生・中学二年生の肥満傾向の出現率が全国平均を大きく上回る結果が報告されている。
これらの調査結果から、道教委は、本道の児童生徒の健康状態をどのように認識しているのか伺いたい。
山上健康・体育課長 本道の児童生徒の健康状態について。このたび取りまとめた二十九年度の公立学校児童等の健康状態に関する調査の結果では、国が抽出で毎年実施している学校保健統計調査の全国平均と比較して、脊柱・胸郭・四肢の異常や心臓疾患、腎臓疾患を有する児童生徒等の割合は低いものの、一人当たりのむし歯本数が多い状況や、ぜん息やアトピー性皮膚炎を有する者の割合が高い状況がみられた。
道教委では、こうした健康課題に適切に対応していくためには、学校や家庭、地域の関係機関が一層の連携を図り、児童生徒が自らの健康を保持増進する力などを育成するための取組を推進する必要があると考えている。
中野委員 中学一年生の永久歯のむし歯の数は、三年前の前回調査よりも減少しているが、むし歯が一人当たり平均で一・二六本と、全国平均の〇・八二本の一・五倍以上という状況になっている。
道教委は、子どものむし歯が多い原因をどのようにとらえているのか。また、むし歯の予防に向けてこれまでどのように取り組んできたのか伺いたい。
山上健康・体育課長 むし歯への対応について。本道において、むし歯の本数が多い要因について分析したデータはないが、一般的に、むし歯は、糖分の摂取回数や量、歯みがきの実施状況など、生活習慣が要因となっていると言われている。
このため、道教委では、むし歯の予防に向け、飲食する時間帯や量を決めたり、歯ブラシで歯垢を丁寧に取り除いたりするなど、歯・口の健康づくりに必要な生活習慣を確立する取組を学校と家庭とが連携して推進するよう、学校や市町村教委に対し指導してきたほか、歯の質を強くするフッ化物洗口の実施を推進している。
また、養護教諭をはじめとする教員や保護者などを対象とした研修会において、専門家による講義を実施するなど、児童生徒の歯・口の健康づくりに向けて取り組んでいる。
中野委員 本道では、食物アレルギー、ぜん息、アトピー性皮膚炎などの割合が増加傾向にあるが、食物アレルギーへの対応については、道教委が食物アレルギーの対応指針を作成し、市町村教委に対して、具体的な指針の策定に向け支援などを行っていると聞いている。本道に多いと言われているぜん息などの要因をどのように捉えているのか。また、これまでどのように取り組んできたのか伺いたい。
山上健康・体育課長 アレルギー疾患への対応などについて。本道において、ぜん息などのアレルギー疾患が多い要因については、様々な指摘がされており、一概には言えないが、例えば、断熱のため住宅の気密性が高いことや、シラカバが多く生息し、その花粉によるアレルギーがあることなど、本道の地域性を指摘する専門家もいる。
また、アレルギー疾患に対する道教委の取組については、各学校において、アレルギー疾患の特徴や個々の児童生徒の症状に応じた対応を適切に行うことができるよう、養護教諭をはじめとする教員を対象とした研修会において、アレルギー疾患について理解を深める講義・演習を実施するとともに、必要に応じ学校に専門家を派遣するほか、学校や市町村教委に対し、保護者との連携のもと、症状などを適切に把握し、校内委員会を設けて情報共有するなど、学校におけるアレルギー対応の充実が図られるよう指導している。
中野委員 二十九年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の北海道版結果報告書では、肥満傾向児の出現率をみると、小学五年男子で一四・三%、女子で一〇・三%、中学二年男子で九・八%、女子で七・二%と、男子では小学生が全国平均を四・三ポイント、中学生が二・二ポイント、女子では小学生が二・六ポイント、中学生が〇・七ポイントそれぞれ上回っている状況にある。道教委では、肥満傾向の解消などに向け、これまでどのように取り組んできたのか。さらには、取組の結果がこのような数字となっていることをどのように受け止めているのか伺いたい。
山上健康・体育課長 肥満傾向への対応などについて。肥満については、運動不足、食事の量や質の偏り、睡眠不足などの不適切な生活行動を続けることによって引き起こされると考えていることから、道教委では、児童生徒の望ましい生活習慣の定着に向け、学校において適切な指導が行われるよう、養護教諭や栄養教諭等を対象とした肥満指導などに関する講義・演習や、専門家による生活習慣病をテーマとした講話などの取組を進めている。
しかしながら、二十九年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果においても、依然として肥満傾向児の出現率が全国と比較して小・中学校、男女ともに高い傾向にあることから、道教委としては、児童生徒の望ましい生活習慣の定着に向けた取組について、さらなる工夫改善が必要と考えており、家庭でも手軽にできる運動動画の配信や、生活習慣に関する学校および家庭向け資料の作成、配布などを通して、学校と家庭が連携した取組の充実を図っていく。
中野委員 むし歯やアレルギー疾患、肥満傾向など、子どもたちは様々な健康上の課題を抱えているが、生涯にわたって健康的な生活を送ることができるように、健康に関する知識や行動選択などの資質・能力を確実に身に付けさせる必要がある。
そのためには、これまでの取組で明らかになった課題などを踏まえ、学校・家庭・地域が緊密に連携して取組を進める必要があると考えるが、児童生徒の健康について、道教委は、今後、どのように取り組んでいくのか伺う。
村上学校教育監 今後の取組について。児童生徒が抱える健康課題に適切に対応していくためには、学校において、病気の予防や望ましい生活習慣の定着に関する指導を一層充実させるとともに、家庭や地域の医療機関などの関係者が連携した取組が求められている。
こうしたことから、学校、家庭、地域の関係者などで組織する学校保健委員会の活動を充実させるなどの取組が必要であり、道教委としては、今後、学校や市町村教委に対し、学校保健委員会において学校医等の専門家による指導助言などによって、健康課題の解決に向けた取組の充実を図るよう働きかけるとともに、学校保健委員会の計画的・組織的な取組の実践例の普及や、学校、家庭、地域の関係機関等の効果的な連携の在り方について協議する研修会の開催などによって、各学校において、児童生徒が自主的に健康な生活を実践できる資質・能力を育成する健康教育の取組が充実するよう取り組んでいく考えである。
―指摘―
中野委員 むし歯や肥満傾向などは、学校、家庭、地域が連携した取組も必要であるが、小学生、中学生については、とりわけ家庭での教育、親の教育が大きく影響するだろうと思う。しっかりとした親への教育に重きをおいて、取組を進めていただきたい。
◆通学路の安全対策について
中野委員 本年五月、新潟市において、下校中の小学二年生の女子児童が殺害され、自宅近くの線路上に遺棄されるという痛ましい事件が発生しているが、道内においても、登下校時における不審者による事件が懸念される。さらに、六月には、大阪府北部地震でブロック塀が倒壊し、小学四年生の女の子が亡くなっている。
国では、女子児童の殺害事件を受け、登下校時における総合的な防犯対策として、六月に登下校防犯プランを決定し公表しているが、このプランの概要について伺いたい。
齊藤学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 登下校防犯プランの概要について。本プランは、新潟市の事件を受け、警察庁・文部科学省を中心とした関係省庁によって対策が協議され、去る六月二十二日、登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議において総合的な防犯対策として取りまとめたものである。
具体的には五つの柱として、「地域における連携の強化」「通学路の合同点検の徹底および環境の整備・改善」「不審者情報等の共有および迅速な対応」「多様な担い手による見守りの活性化」「子どもの危険回避に関する対策の促進」が示され、社会全体で子どもの安全を守るため、こうした対策に迅速に取り組むこととされている。
中野委員 道内においても、児童生徒への声かけや、つきまといなどの事案があとを絶たないと聞いているが、登下校時の事故の未然防止について、これまで、どのような取組が行われているのか伺いたい。
齊藤学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 未然防止の取組について。道教委では、これまでも、児童生徒が犯罪被害の危険から自ら身を守る力を身に付けさせるため、警察や地域の防犯団体と連携した防犯教室の開催を市町村教委や学校に促してきたほか、地域の実情に応じた安全管理体制の整備を図り、児童生徒の安全を確保することができるよう、『学校危機管理の手引』を作成・配布し、各学校の校内研修における活用を促すなどして、教職員の意識を高め、危機管理体制が確立されるよう指導助言してきた。
また、市町村においても、地域の見守り活動に加え、防犯ブザーの配布、緊急メールの配信、危険に遭遇した子どもの一時的な保護、警察への通報等を行う子ども110番の家などの取組を行っている。
中野委員 各学校では、学校や地域の実態に応じて警察などの関係機関と連携し、防犯教室や防犯訓練を実施しているとのことであるが、実施状況についてはどのようになっているのか。さらには、道教委として、今後、どのように取り組んでいく考えなのか伺いたい。
齊藤学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 防犯教室等の実施状況について。二十九年度、道内の公立学校において防犯教室と防犯訓練の両方を実施している学校の割合は、小学校で九八・〇%、中学校で九五・六%、高校全日制で九九・一%、高校定時制で九七・六%となっている。
道教委では、道教育推進計画において、今後五年間で、防犯教室と防犯訓練の両方を実施している学校の割合を小・中・高校で一〇〇%とすることとしており、防犯教室などの生活安全にかかる効果的な取組事例をまとめた『安全教育実践事例集』の活用を促すなどして、引き続き、すべての学校において、防犯教室と防犯訓練が効果的に実施されるよう指導していく。
中野委員 この防犯プランでは、登下校時における子どもの安全確保のために、「関係者が連携して、通学路の防犯の観点から、安全点検を緊急かつ確実に行う」とされているが、この合同点検はどのように実施するのか伺いたい。
齊藤学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 通学路の合同点検について。このたびの登下校防犯プランで示された通学路の防犯の観点による緊急合同点検については、近く、国において実施要領が定められ、本年九月末までに緊急合同点検を実施することとされており、道教委では、市町村教委や学校に対し、この要領を踏まえ、警察や地域の方々などの関係者と連携して、全市町村において完全に実施するよう指導していく。
また、この合同点検は、例えば、地域安全マップの作成などを通じ、危険個所を「見える化」して情報共有し、環境の整備・改善につなげ、関係者間の連携を深めていく取組や、点検によって把握された危険個所への警察官による警戒・パトロールの重点実施や、地域の方々による見守りの危険個所への重点的な配置など、効率的・効果的な防犯につながる点検を実施することとしている。
中野委員 安全確保対策については、教育委員会、学校、警察、自治体の関係部局といった関係機関はもとより、地域住民や保護者などの関係者の連携が非常に重要と考える。防犯プランでは、関係者が集まり、登下校時の防犯対策について意見交換などを行う地域の連携の場の構築が求められている。道教委では、どのように地域における連携を強化し、安全確保対策に取り組んでいくのか伺いたい。
赤間学校教育局指導担当局長 安全確保対策に向けた地域における連携について。登下校時における子どもの安全確保は、地域における多岐にわたる取組が必要であり、そのためには、平素から教育委員会・学校、警察、自治体の関係部局などの関係機関に加え、保護者、地域の方々との緊密な連携体制の構築が重要であると考えている。
道教委では、これまでも、市町村教委や学校に対し、児童生徒等の安全確保に向けた推進体制を構築するよう指導してきており、今後、本プランに基づき、地域の実情や課題、通学路の実態を踏まえ、あらためて推進体制を見直し、連携を一層強化するよう教育局による学校訪問等の機会を通して働きかけるなど、社会全体で子どもの安全を守る体制の充実に努めていく考えである。
中野委員 学校ブロック塀の安全点検について、今回の事故を受け、国は、ブロック塀の点検のチェックポイントを公表し、安全点検や注意喚起を促している。道立学校施設におけるブロック塀の設置状況や、建築基準法への適合状況はどのようになっているのか伺いたい。
相川施設課長 道立学校のブロック塀の安全点検について。道教委では、このたびの大阪府北部を震源とする地震において、学校のブロック塀の倒壊によって、小学生が死亡した事故を踏まえ、六月二十日付で、道立学校および市町村教委に対し、ブロック塀の設置数およびその高さについて緊急調査を行った。
調査の結果、道立学校二百六十四校のうち、十四校二十三ヵ所にブロック塀が設置されており、現行の建築基準法の基準を満たしていない高さ二・二㍍を超えるものは設置されていない。
中野委員 市町村立学校施設のブロック塀の状況についても伺いたい。
相川施設課長 市町村立学校について。当該調査において、市町村立学校一千七百十九校のうち、九十七校二百四十六ヵ所にブロック塀が設置されており、このうち高さ二・二㍍を超えるものが二校において三ヵ所設置されていることが判明した。
なお、この塀は児童生徒の通学路に設置されているものではなく、児童生徒が普段立ち入らない場所ではあるが、道教委としては、当該市町村教委に対し、ブロック塀付近を立入禁止にするなど、適切な安全対策を行うよう指導し、現在、そうした措置が取られているとの報告を市町村教委から受けている。
中野委員 道教委では、文科省からの通知を受けて、道立学校や市町村教委あてに「学校におけるブロック塀の安全点検について」通知しているが、現状を踏まえて、今後どのように対応していく考えなのか伺う。
坂本教育部長 今後の対応について。道教委では、ブロック塀の詳細な状況を把握するため、六月二十七日付で道立学校および市町村教委に対し、国土交通省作成のブロック塀の点検のチェックポイントに基づき、塀の厚さ、控え壁や基礎の状況、傾きやひび割れの有無などについての調査を行い、ブロック塀の高さにかかわらず、問題があることが判明した場合には、速やかに注意表示するなどの指導を行っている。
道教委としては、道立学校については、早急に技術職員による詳細な点検を行い、必要に応じ改修などを行うとともに、市町村教委に対しても同様の取組を行うよう働きかけるなど、今回の地震で発生したような痛ましい事故が二度と繰り返されることのないよう、建築基準法を所管する関係部局などと連携し、ブロック塀の適切な安全対策の推進に取り組んでいく。
◆児童虐待への対応について
中野委員 三月に東京都目黒区で、父親の虐待が原因で、五歳の女の子が死亡するという大変痛ましい事件があった。このような児童虐待の問題については、虐待の疑いがある場合には児童相談所への通告や警察へ通報しなければならないが、子どもたちが通う幼稚園や学校などにおける取組も重要になると考える。
学校は、子どもたちが学ぶ場であると同時に、安心して過ごせる心の居場所であることが非常に重要と考える。教員は、子ども一人ひとりの様子に目を向けながら指導に当たっているが、そのような中で、子どものちょっとした変化に気が付くことも多いのではないか。
児童虐待については、その疑いがある場合、児童虐待防止法に基づく適切な対応が求められる。教員は常に子どもたちと接しており、さらには、家庭訪問などにおいても保護者と接する機会もある。
児童虐待を発見し通告の必要な場合もあると考える。
道教委では、児童虐待が疑われる場合の対応や児童相談所への通告の方法などについて、どのように学校に指導しているのか伺いたい。
齊藤学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 学校における児童虐待への取組について。児童虐待は、児童生徒の生命にかかわる問題であり、心身の成長や行動面、人格の形成などに大きな影響を与えるものであることから、学校において、児童生徒が虐待を受けていると思われる場合には、直ちに対応することが大切であると考えている。
道教委では、各市町村教委や学校に配布している『学校における危機管理の手引』において、児童虐待が疑われる場合の児童相談所への通告などの方法について具体的に示しているほか、スクールソーシャルワーカーを活用し、関係機関と連携しながら、虐待を行ったり、必要な養育を行っていなかったりする家庭への適切な対応を行った事例を取りまとめた『スクールソーシャルワーカー活用事業実践事例集』を作成し、学校に周知している。
また、学校の管理職や生徒指導担当教諭などが参加する研究協議会などにおいて、虐待を受けていると思われる児童生徒に対し、児童相談所などの関係機関と連携した支援の在り方や、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの役割の重要性などについて指導してきている。
中野委員 子どもは、学校の内外において、様々なことを感じ、体験しながら成長していく。
その子どもたちが通う学校では、教員が子どもたちの様子から悩みを察知したり、直接相談を受けたりすることがある。そのような際に、児童虐待が疑われることを発見することもあると思う。
道内の学校においては、スクールカウンセラーなどが配置されている学校もあるが、学校における相談体制はどのようになっているのか伺いたい。
齊藤学校教育局参事(生徒指導・学校安全) 学校における相談体制について。各学校においては、児童生徒に対し、学級担任による個人面談のほか、教員や養護教諭、スクールカウンセラーなどによる教育相談を行っており、日ごろから、子どもたちの言動や表情、不自然な外傷や衣服の状況などの小さなサインを敏感に受け止め、児童生徒の悩みに共感しながら相談に応ずることができる校内の教育相談体制づくりに努めるとともに、職員会議などにおいて、必要な情報の共有などに取り組んでいる。
また、児童生徒に虐待の疑いがあると思われる場合には、教育相談を担当する教員やスクールカウンセラーなどによる当該児童生徒への面談や家庭訪問などによる状況の把握、併せて、児童相談所や市町村の福祉事務所等への相談などの対応をとるほか、関係機関と連携したケース会議を行うなど、児童生徒への心のケアなどに努めている。
中野委員 学校では、児童の虐待の早期発見や防止に努めることが非常に重要である。新聞などで報道されているような大変痛ましい事故が起こらないように、子どもたちが通う学校が虐待に早期に気付き、適切に対応するためには、校内体制の整備や教員の研修などが必要であると考える。これについては、どのように取り組んでいるのか伺いたい。
赤間学校教育局指導担当局長 教員の資質・能力の向上に向けた取組について。児童虐待防止法では、学校の教職員に対し、児童虐待の早期発見に関する努力義務と児童相談所などへの通告義務を課しており、教職員は常日ごろから児童生徒の行動の変化などを受け止め、虐待の疑いがある場合には、迅速に対応しなければならないとされている。
このことから道教委では、児童虐待に関し、初任段階研修はもとより、生徒指導研究協議会や、養護教諭を対象とした研修などにおいて、道が作成した『子ども虐待対応マニュアル』を活用しながら、子どものサインを早期に発見するためのポイントや虐待を受けた児童生徒の心のケア、関係機関との日常的な連携の必要性について各学校に対し指導しており、引き続き、児童虐待の早期発見・早期対応に向けて、教員の資質・能力の向上を図り、教育相談体制の充実などに積極的に取り組んでいく。
中野委員 目黒区で発生した事件だけではなく、児童虐待は家庭内に加害者がいる場合が多い。学校はもとより、保護者に対しての児童虐待の防止や虐待の疑いがある場合の適切な対応について啓発するなどの取組が必要と考えるが、今後、道教委において、どのように取り組んでいくのか伺う。
佐藤教育長 今後の取組について。児童虐待は、家庭という密室の中で行われることが多いため、発見が難しく、外見からは被害の状況が分かりにくいといったケースや、自ら相談しづらい場合など、通告されない虐待も潜在している可能性があると考えている。大人は、周囲の子どもたちを注意深く見守っていくことが大切であろうと思う。
これまで道教委では、子どもの言動や状況などから、小さなサインを見逃さず、虐待を受けていると思われる子どもの早期発見、早期対応が図られるよう、リーフレットを配布するなどして、市町村教委や学校への指導助言に努めてきた。
今後、道保健福祉部など関係機関と連携し、各教育局が実施する会議や各管内で開催されるPTA研修会等において啓発を行うなど、児童虐待防止に向けた取組の一層の充実に努めていく。
(道・道教委 2018-09-10付)
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