道町村教委連文教施策要望に対する道教委回答〈下〉
(道・道教委 2018-09-10付)

 道町村教育委員会連合会の三十一年度文教施策要望に対する道教委の回答はつぎのとおり。

▼生涯学習の振興

▽生涯学習を推進するため、各種施策の充実を図っていただきたい。

〈回答〉

 道教委としては、道民の生涯学習の意識や状況などを把握し、本道における今後の生涯学習の推進の指針として、二十七年二月に策定した第三次道生涯学習推進基本構想で示している三つの重要な視点「道民の学びを行動へつなげる」「子どもたちの学びを広げ、支える」「地域のよさや課題を学ぶ」を踏まえながら、第十四期生涯学習審議会によって今後の北海道における生涯学習推進について審議するとともに、道生涯学習推進本部を中心に、第十三期生涯学習審議会の「審議のまとめ」でいただいた意見をもとに、市町村、民間・NPOなどとの連携をより深めながら、道民カレッジや指導者養成の充実など、さらなる生涯学習推進に向けた環境整備に取り組んでいきたいと考えている。

▽学校図書の整備充実に加え、新聞を十分に配備できるよう、また、学校図書館司書の配置についても、交付税措置の継続および増額について、国に要望していただきたい。

〈回答〉

 三十年三月に学習指導要領が改訂され、より主体的・対話的で深い学びの実現に向け学校図書館に期待される役割が増す中で、学校図書館図書整備等五ヵ年計画において、小・中学校の学校図書館における図書整備、新聞配備および学校司書の配置にかかる地方財政措置が二十九年度から拡充された。道教委では、これまでも、学校司書の定数措置の新設および配置にかかる地方財政措置の拡充などについて国に要望してきた。

 今後とも、学校司書の配置をはじめ、学校図書館の環境整備については、各市町村の実情を踏まえながら、国に要望していきたい。

▼地域文化の振興

▽文化財保護のため国庫補助事業計画の完全採択および国庫補助の増額を図るよう国に要望していただきたい。

〈回答〉

 国民共有の財産である文化財は、つぎの世代へ適切な形で保存・伝承していくべきものであるため、その保存と活用にかかる国庫補助事業計画の完全採択などについて、要望の趣旨を踏まえ、国に働きかけていきたい。

▽埋蔵文化財発掘調査費用の国庫補助制度の改善および専門職員の配置についての財政的支援を国に要望していただきたい。

〈回答〉

 これまでも、道の「国の施策および予算に関する提案・要望」において、専門職員の法的位置付けを明確化する必要があることなどについて、国に要望してきており、引き続き、国に要望していきたい。

▼社会教育指導体制の強化

▽社会教育主事の専任配置については町村においても努力しているが、生涯学習推進のため、また、今後のコミュニティ・スクール制度を考慮し、学校教職員の社会教育主事資格取得についてお願いするとともに、当面は派遣社会教育主事(スポーツ担当を含む)制度の継続をぜひお願いしたい。

〈回答〉

 二十七年十二月の中教審答申では、コミュニティ・スクールを核として地域とともにある学校づくりを一層推進するために、コミュニティ・スクール制度において、学校と地域の人々が子どもたちの教育について目標を共有し組織的な体制を構築する必要があり、学校と地域をつなぐ役割を担うコーディネート機能の充実が重要であると示されている。

 また、学校内において地域との連携の推進を担当する教職員を法令上明確化することで、校内体制の整備を図るとともに、社会教育主事有資格者の活用を図ることを検討することも示されている。

 このため、道教委では、文科省の委嘱を受けて社会教育主事講習を実施している道教育大学に対して、教職員が受講しやすい環境の整備について要請するとともに、各市町村教委と連携して教職員に対し社会教育主事講習の積極的な受講について働きかけを行っていく。

 つぎに、派遣社会教育主事(スポーツ担当を含む)については、道教委としても、市町村の社会教育推進体制の整備への支援のほか、青少年の体験活動の充実、家庭教育への支援など、今日的な課題などに対応するため、当面、継続していきたい。

 なお、道教委に在籍する社会教育主事は、年々減少傾向にあるとともに、市町村の人材や施設などの地域資源を近隣市町村と共有するなどの取組が必要となってきていることから、今後とも、広域的な社会教育を推進する意向のある市町村を優先して派遣を行っていきたい。

▽スクールカウンセラーの配置について、スクールカウンセラー活用事業のより一層の拡充を図っていただきたい。

〈回答〉

 スクールカウンセラーの配置については、国のスクールカウンセラー等活用事業(国庫補助事業)を活用し、心理に関する専門的な知識や経験を有する人材をスクールカウンセラーとして、札幌市立を除く小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校、高校および特別支援学校を対象に配置している。

 二十九年度からは、小・中学校における配置校の拡充を図るため、新たに市町村巡回方式を導入している。

 また、未配置校において緊急に児童生徒の心のケアなどを必要とする案件が発生した場合には、配置校以外にもスクールカウンセラーを緊急派遣できるようにしている。

 道教委としては、スクールカウンセラー活用事業は、学校の教育相談体制の充実を図る上で重要な事業と考えており、引き続き国に対して制度の充実を働きかけていきたい。

▽学校での放送教育の利用は多く、その教育効果も極めて高いものがあるので、教室などの放送受信料免除措置について継続されるよう、日本放送協会に対して働きかけていただきたい。

〈回答〉

 日本放送協会(NHK)の放送受信料の免除措置については、義務教育諸学校における教育内容の一層の充実・向上と放送教育の普及・拡大の観点から、これまで国に要望している。今後とも、日本放送協会の動向を注視しながら、引き続き国に、日本放送協会への働きかけについて要望していきたい。

(道・道教委 2018-09-10付)

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