学校再開、徐々に見通し 北海道胆振東部地震の学校施設被害状況 一部で校舎が付けないケースも(市町村 2018-09-14付)
地震で本棚が崩れた追分高の進路相談室
【室蘭発】六日未明に発生した北海道胆振東部地震は、家屋の倒壊や土砂崩れの発生、道内全域にわたる停電など、人的・物的に甚大な被害を道民に与えた。地震後一週間が経過し、一部の地域では断水が続いているものの、徐々に電気や交通インフラが復旧。学校再開の目処が付き始めている。一方、校舎、地盤の状況から子どもの安全が確保できず、慣れ親しんだ学び舎で授業を再開できない学校もある。震源地付近で被害が特に大きかった安平町、むかわ町、厚真町の学校施設の被害状況を取材した。
安平町の早来中学校では、地震の影響で校庭内に地割れ、学校近辺の道路に起伏が発生。体育館壁に亀裂が生じ、教室内のモルタルが破損する恐れもあるなど、地盤と校舎の両面から安全性に問題が生じている。
追分小学校では、校舎に大きな損壊はなかったものの、校舎下を横断する形で地面に亀裂が発生。立ち入り禁止の避難指示区域となっている。
子どもたちの安全を確保するため、町教委は、当面、早来中の生徒を早来町民センターに、追分小の生徒を追分中学校に通わせ、授業を実施することを決めた。地盤の問題から両校舎が利用できなくなる可能性を見越し、早来中の仮設校舎を早来小付近に、追分小の仮設校舎を追分中の敷地内に建設することも検討しており、この場合、完成までの期間に三~六ヵ月を見込んでいる。
校舎を新築する場合、追分小と追分中では施設分離型の小中一貫教育を本年度から開始していることを踏まえ、施設一体型の校舎を建設することも視野に入れて検討を進めるとしている。
町内では、十三日から早来中を除く全小・中学校で授業を再開。早来中は、きょう十四日から早来町民センターで授業を再開する予定。
追分高校では、体育館屋根の骨格が断絶・湾曲しており、体育の授業を実施することが難しい状況となっている。学校の貯水槽に給水することで水を確保し、十八日からの学校再開に向けて準備を進めている。
むかわ町では、宮戸小学校の渡り廊下に亀裂が発生し、穂別小学校の体育館のガラスが破損した。
水道、電気がほぼ復旧しているため、十八日から町内の全小・中学校で学校を再開する見通し。
鵡川高校では、グラウンド防球フェンスが町道を塞ぐ形で倒壊し、普通教室の窓ガラスも破損するなどの被害が発生したものの、十二日から学校を再開している。
厚真町では、十八日から町内の全小・中学校で学校を再開できるよう準備を進めている。電気はほぼ復旧したものの、一部の地域で断水が続いており、学校への給水を含めて準備を進めている。
現地の教員からは、被災した子どもたちへの心理的ケアを懸念する声も上がっており、道教委は学校再開に合わせ、被災地の学校へのスクール・カウンセラー派遣を計画。児童生徒を支援していくとしている。
(市町村 2018-09-14付)
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