講座「ＵＤ意識した授業づくり」―釧路市教委　幼保小連携など研修　鳥取西小で算数授業と協議　

（市町村 2018-10-03付）

　【釧路発】釧路市教委は九月二十一日、釧路市立鳥取西小学校（鈴木紳一校長）で研修講座「通常学級におけるＵＤ（ユニバーサルデザイン）を意識した授業づくり」を開いた。釧路管内の小学校・保育園・幼稚園・認定こども園の教職員七十四人が受講。授業参観や研究協議を通して、ＵＤの授業づくりと幼保小の連携の在り方について研修を深めた。

この講座は本年度の重点講座で、釧路教育研究センター特別支援教育研究専門委員会（松崎真紀委員長）が企画・運営。通常の学級（低学年）におけるＵＤを意識した授業公開や研究協議を通して、子どもが意欲的に参加できる授業の在り方や幼保小の接続について研修を深めることを目的に開いた。

　本年度は初めて、小学校低学年の授業公開に合わせて幼稚園や保育園、認定こども園との支援の継続性に関する情報交流を行った。

　はじめに、鳥取西小の中村萌子教諭が二年生算数科の単元「ひっ算のしかたを考えよう」の授業を公開。問題の提示場面で、既習の筆算と何が違い、どこで困ってしまうのかを確認し、課題意識をもたせるなど焦点化する工夫、数カードの操作に悩む子には机間指導の際に位取り表と数カードを貼り合わせたホワイトボードを見せるなど視覚化する工夫、さらに、ペアやグループで考えを伝え合うなど共有化の工夫が随所にみられた。

　研究協議では、松崎委員長が「通常学級におけるＵＤを意識した授業づくり」について説明。通常学級におけるＵＤについて「学級みんなにとって便利な手立てや共通する対応」とし、学級経営や授業づくりでの重要性を強調した。

　その上で、授業づくりの視点として、①課題理解と提示の工夫として「視覚化・焦点化」②考えの表現と課題解決として「共有化」③学びの自己管理とつぎの学びへの意欲化として「セルフモニタリングの確保」―の三点をキーワードに説明し「これらは主体的・対話的な学びの授業改善の視点と共通する」とすべての学級で実践するよう促した。

　このあと、受講者は「小学校グループ」と「幼稚園・保育園・認定こども園グループ」とに分かれ、ワークショップ形式で「ＵＤを効果的に取り入れた授業づくり」「支援や配慮の継続を踏まえた小学校との連携」について協議した。

　最後に助言に立った市教委の松本孝也指導主事は、子どもが安心して学べる環境の重要性を確認し「専門委員会が示した三つの視点をさらに具体化してほしい」「幼・保・子ども園との連携は進んでいるが、支援の具体的な内容まで伝えることが必要」と述べ、各学校での取組に期待した。

(市町村 2018-10-03付)