道小・道中 教育条件整備に関する提言 主体的・対話的で深い学びを 体制構築しチーム力を向上
(関係団体 2019-05-14付)

 道小学校長会(大石幸志会長)、道中学校長会(新沼潔会長)は9日、道教委に「北海道教育の質の向上をめざす教育条件の整備に関する提言~“チーム北海道”として」を提出した。「新学習指導要領の趣旨を生かした授業改善に向けた教育条件」「“チームとしての学校”実現に向けた教育条件整備」を柱に、専科指導の加配措置による教員一人当たりの週授業時数の改善、多様な専門スタッフの配置と専門職員の導入などを提言した。

 概要はつぎのとおり。

【新学習指導要領の趣旨を生かした授業構築に向けた教育条件整備に関する提言】

 現在の子どもたちが、社会で活躍するころのわが国は、厳しい挑戦の時代を迎えていると言われている。このような社会を子どもたちが生き抜いていくためには、学習内容を人生や社会の在り方と結び付けて深く理解し、これからの時代に求められる資質・能力を身に付け、生涯にわたって能動的に学び続けることができるよう、学びの質を重視した授業改善を図っていくことが求められている。

 こうした時代の要請に応えていくためには、学校は、各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見い出して解決策を考えたり、思いや考えをもとに創造したりすることに向かう過程を重視した、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善の取組を進めていかなければならない。

 また、学びを教科等の縦割りにとどめるのではなく、教科等の枠を超えた視点で教育課程を見渡して、相互の連携を図り、教科等横断的な視点をもって、社会とのつながりを重視した社会に開かれた教育課程を編成し、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る」という学習指導要領の目標の実現を図っていかなければならない。

 特に、小学校においては、子どもたちが将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められるプログラミング的思考を育むため、児童がプログラミングを体験しながら、コンピューターに意図した処理を行わせる論理的思考を身に付けるための学習活動を計画的に実施することが求められている。

こうした授業改善の活性化を図り、教育活動の質を向上させ、学習効果の最大化を図るカリキュラム・マネジメントを進めつつ、新しい学習指導要領のもとで、道徳科における評価、小学校外国語・外国語活動および総合的な学習の時間の評価なども充実させ、指導と評価の一体化を進めなければならない。

 児童生徒の学習評価の在り方については、国において、現在、指導要録における文章記述欄について、大幅に簡素化を図るとともに、通知表が指導要録の指導に関する記録の記載事項をすべて満たす場合に、通知表を指導要録とすることも可能とするなどの大胆な見直しを行い、効果的で教師に過度な負担をかけることのない学習評価について検討されている。

 さらには、学習の質を高める授業改善を進めながら、限られた時間の中で、教師の専門性を生かしつつ、授業改善や児童生徒と接する時間を十分に確保し、教師が自らの授業を磨くとともに、その人間性や創造性を高め、児童生徒に対して効果的な教育活動を持続的に行うことも求められている。

 以上から、道小学校長会・道中学校長会は、新学習指導要領の趣旨を生かした授業改善に向けた教育条件の整備について、つぎのように提言する。

▼主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善のための体制整備

▽学習習慣の確立に向けた定数欠・代替教員欠員の解消など、教員の定数確保に向けた体制整備

▽教材研究の時間と子どもと向き合う時間の確保のための人的配置による研修体制の整備

▼現代的な諸課題に関する教科等横断的な教育内容の充実に向けた人材の確保

▽体験的な活動を充実させるための教員の確保

▽ALTの充実・英語を指導できる教員の確保や養成、専科指導の充実など、外国語の教科化における体制の整備

▼新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための条件整備

▽専科指導の加配配置による教員一人当たりの週授業時数の改善

▽教師の働き方改革の状況を踏まえた児童生徒の学習評価の工夫改善

【「チームとしての学校」の実現に向けた教育条件整備に関する提言】

 今日、学校が抱える課題は複雑化・多様化しており、いじめ・不登校などの生徒指導上の課題への対応、貧困・児童虐待などの課題を抱えた家庭への対応、特別な教育的支援を必要とする児童生徒への対応、多様な要望をする保護者への対応など、様々な課題への対応が山積している。

 この状況の中で、教員は子どもと向き合う時間や授業準備などの十分な時間を確保することができず、特に、中学校においては、部活動の指導や引率などの業務によって、教材研究・学級経営・生徒指導などの本来的な業務に専念する時間を割かれている。

 学校がこれらの諸課題に対応し、子どもたちに必要な資質・能力を育成していくためには、学校の組織としての在り方や業務の在り方などを見直し、「チームとしての学校」を創り上げていくことが求められる。

 チームとしての学校の構築のためには、現在、配置されている教員数の拡充に加えて、多様な専門性をもつ人材を学校に配置したり関係機関等との連携を強化したりすることによって、それぞれの専門性を発揮しながら様々な業務を分担・協力して、学校組織全体が一つのチームとなって職務を行う体制を整備することが必要である。それによって、学校の教育力・組織力をより一層向上させるとともに、学校における働き方改革を推進して長時間勤務の改善を図ることができると考える。

 また、チームとしての学校を実現することは、学校と地域との連携・協働体制の強化が重要となることから、地域全体で未来を担う子どもたちの成長を支えていく取組は、地域の活力を高め、地方創生へつながるとともに、新学習指導要領が掲げる「社会に開かれた教育課程」の理念の実現に結び付くものと考える。

 チームとしての学校を構築し、チームとしての力を最大限に発揮しながら、学校の教育力・組織力を向上させていくことは、私たち校長に求められる大きな責務であると考えている。  そこで、チームとしての学校の実現に向けた教育条件の整備に向けて、道教委が策定した学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」において示されている取組も含めて、つぎのように提言する。

▼チーム体制構築のための人的配置・専門職員の導入および条件整備

▽教員の人的配置

・管理職の補佐体制充実のための加配措置拡充による主幹教諭の配置の促進

・小学校における専科教員の増員および中学校における免許外担当の解消

・教員定数の見直し(35人以下学級実現)

▽多様な専門スタッフの配置と専門職員の導入

・スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーおよび特別支援教育支援員の配置拡充

・学校図書館司書配置の推進

・部活動の指導や顧問、単独で部員の引率などを行う部活動指導員配置のより一層の拡充

▽一人ひとりが担う負担を軽減するための条件整備

・校務支援システムや校内LANの構築など、ICT環境整備の地域格差の解消

・事務の共同実施の推進などによる事務機能の強化

▼チーム力向上のための家庭、地域、関係機関等との連携・協働体制の整備

▽学校と地域との連携を推進する地域連携担当職員の導入

▽コミュニティ・スクールの促進およびその仕組みを活用した、学校・家庭・地域の連携・協働体制の強化

▽学校と児童相談所などの関係機関および警察との連携・協働体制の充実

▽いじめ問題、保護者対応、学校事故などでの問題解決において、学識経験者や弁護士等から支援を受ける道いじめ問題等解決支援外部専門チームの充実

▽子どもの生活習慣確立・健全育成のための道PTA連合会などとの連携の強化

(関係団体 2019-05-14付)

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