授業改善など4点要請 道小総会で大石会長あいさつ 
(関係団体 2019-05-17付)

 5月13日に開かれた道小学校長会の令和元年度総会・研修会(14日付1面既報)における大石幸志会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

 道小は本年度、「北海道教育の質の向上をめざし、教育課題に正対して取り組む校長会」を目標に、諸活動の一層の充実を図る。

 校長会の使命は、各学校の教育の質の向上にあると言える。そのため、校長の明確なビジョンと鋭い時代感覚のもと、創意ある教育活動と学校組織の活性化を図り、子どもの成長の姿で教育活動全体を評価・改善していく粘り強い取組が必要である。

そのためにも、校長が「教育の質の向上」という観点を常にもち、教育改革や本道の教育課題に正対できる学校経営を実践していきたい。そして道小は、各学校が教育改革や教育課題を踏まえた創意ある教育活動が推進できるよう、学校現場の視点での実践交流や意見表明、実効性のある要望活動を行っていきたい。

 本年度、各学校においては、来年度から全面実施される新学習指導要領の理念の実現に向けて、新しい教育活動を計画・推進するとともに、学習評価を学校全体で取り組むための組織や研修が必要になってくる。また、学校における働き方改革において教員の長時間勤務の是正が求められる一方、教員採用選考検査の倍率低下や人材確保などが課題となっている。

 こうしたことを踏まえ、重点を4点に絞ってお話しする。

▼授業改善

 各地区においては、教育の質の向上を目指す上で、学習指導要領の改訂に応える授業改善を重要視し、教師主導の教えから児童主体の学びへの転換に向けて実践を重ねている。

 4月17日に柴山昌彦文部科学大臣から中央教育審議会に諮問された「新しい時代の初等中等教育の在り方について」には、知・徳・体を一体で育む日本型学校教育と教科教育等を評価する一方、子どもたちの語彙力や読解力の課題が指摘され、諮問内容の一つに、「とりわけ小学校で、基礎的読解力などの基盤的な学力の確実な定着に向けた方策」が取り上げられている。

 主体的・対話的で深い学びの具現が形式的な授業展開にならないように、そして、学力の確実な定着に結び付いていくように、校長としてリーダーシップを発揮していくことを期待する。

 また、学力の確実な定着は、地区の教育局や市町村教育委員会などの行政機関と積極的に連携し、地域の実態に正対して、独自の対応を取っていくことが必要不可欠である。各地区校長会が創意工夫しながら努力を続けていることに敬意を表するとともに、今後も粘り強く改善に向けた取組をお願いする。

▼学校における働き方改革と業務改善。

 学校における働き方改革のねらいは、自らの授業を磨くとともに日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、自らの人間性や創造性を高め、子どもたちに対して効果的な教育活動を行うことである。一人ひとりの教員がもてる力量を十分に発揮することが、教育の質を向上させることにつながる。

 切れない鋸で木を切っていても、時間がかかるだけ。鋸の歯を研ぐこと、つまり、教員が自分を磨く時間を重視することが、長時間労働の改善につながる。

 緊急かつ重要な業務や重要でない業務に時間の多くが取られていないか、校長がリーダーシップを発揮して、学校の業務をスクラップアンドビルドすることが肝要。

 緊急ではないが重要な研究と修養の時間を十分に取ることができれば、教員の授業力や指導力が高まり、やがては、業務改善に大きな効果が出てくる。

 働き方改革を進める上で課題となっているのは、北海道の地理的制約を越えて教育の質を高めるツールであるICT環境に、地域間格差があるという現状。

 また、転送電話や支援体制のための人材確保等にも地域間格差がみられる。さらに、若手教員の急増、期限付き教諭の不足、小学校教員の採用選考試験の競争率の減少など、人材育成や人材確保が学校現場に重くのしかかっている。

 校長会は、これらの課題にも正対して取り組み、業務改善を進め、魅力ある学校づくりを進めることは急務である。

 さらに、各地区校長会と連携して、地域間格差や人的配置の問題が解消されるように提案や要望を行っていきたい。

▼第62回道小学校長会教育研究胆振・苫小牧大会(9月13~14日、苫小牧市)

 道小の中核となる活動であり、校長会の目的そのものである校長の職能向上と本道教育の質の向上を目指して、研鑚を積んでいく大きな機会となる。

 特に、分科会については、参画型の充実を目指して工夫を重ねてきた。今後、さらなる改善を目指し、日常の学校経営に結び付く大会にしていきたいと考えている。

 北海道胆振東部地震の発生から約1年後の大会となる。その中で、胆振管内校長会の皆さんは、万全の準備をしている。道小の総力を結集して、実り多い大会になるよう支援したい。

▼道小の組織および運営

 道小では、平成7年に会費の値上げが行われて以来、21年間据え置かれていた会費を、29年度から値上げをすることに決定した。7年当時には1596人であった会員が、現在では1014人となっている。学校数の減少が道小の財政状況を大変厳しいものとし、27年には基金の一部を繰り入れた。

 各地区の理解を得た29年度の会費の値上げによって、10年先を見据えた財政の立て直しが図られた。同時に、メリハリのある組織運営の在り方を検討し組織改革を継続してきた。

 現在、会費の値上げと組織改革によって財政は健全化しているが、将来的には会員数のさらなる減少、消費税10%の導入や物価上昇などのマイナス要因によって、再度、財政の逼迫が想定される。

 前年度の企画研修委員会では、「道小の組織力の充実・発展を目指すための組織改革」「さらなる会費の値上げをしないための創意工夫」を柱に検討を重ねてきた。ただし、一定の結論を導くには3回の会議では難しいため、第5回理事研修会に報告としてまとめ、本年度に継続的な検討を行っていくこととしている。

 本年度は5回の企画研修委員会を開催し、検討していく予定である。会員の皆さんの理解と支援をお願いする。

 各地区校長会が道小という組織を通して、今後も大同団結していくことが大切であると考える。それが全国連合小学校長会の活動の充実にもつながっていくと確信している。

 これからも、この道小という組織を活性化させるとともに、道教委、道中学校長会、道PTA連合会、民間教育団体等の教育関係諸団体などと連携を図りながら、「未来を見据え、チーム北海道として進む道小」として北海道教育の質の向上に努め、令和元年の第一歩を踏み出していきたい。

(関係団体 2019-05-17付)

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