札教研事業春の研究集会―札幌市教委①探究意欲培う授業展開

（関係団体 2019-06-14付）

真壁教諭は、生徒たちに植松氏の気持ちを考えさせた

　札幌市教委は１１日、元年度札幌市教育研究推進事業（＝札教研事業）春の研究集会を開いた。各研究部が市内の各学校等を会場に、国語や算数・数学、社会、外国語活動、道徳などの公開授業などを実施。授業改善のヒントや、授業づくりの手立てなどを示し、教職員の資質・能力の向上に努めた。

◆中学校道徳研究部　前田中

　中学校道徳研究部の会場となった前田中学校（石山保彦校長）では、１年３組「“どうせ無理”という言葉に負けない」（真壁佑輔教諭）を公開。赤平市でロケット開発に取り組む㈱植松電機代表取締役の植松努氏が一人でロケット開発を続けてきた理由を考えさせ、生徒の意欲的に探究する姿勢を培う授業を展開した。

　道徳研究部は、研究テーマを「生き抜く力を培い人間としての自己の生き方と向き合う道徳科の授業の在り方」と設定。研究の視点に「広い視野から共に考える教材の活用法」「生徒が考えたくなる発問の工夫」の２点を据えて研究を進めている。

　本時の目標は「植松努氏の“どうせ無理”ではなく、“だったら、こうしてみたら”と考え続けることが大切であるという信念から、新しいものを生み出すときには、好奇心をもって疑問や問いを探求し続けることが新たな見方や考え方の発見といった創造につながるのだと気付くことを通して、自分の可能性を追求し、真理を探究し続けようとする道徳的実践意欲と態度を養う」と設定している。

　真壁教諭は、ロケット開発に成功した植松氏の言葉が書かれた「“どうせ無理”という言葉に負けない」を朗読。生徒に「どうせ無理だから」「やっても無駄」などと、植松氏の会社の社員がロケットづくりに手を出さなかった理由を答えさせた上で、植松氏がなぜ一人でもロケット開発を続けることができたのか問いかけ、グループでの話し合いを促した。

　このあと、生徒たちは「わずかな希望を信じる心があったから」「限界をつくらないで挑戦することで可能性が生まれる」などと意見。真壁教諭は、生徒の意見に傾聴しながら、植松氏が真理を探究し続ける気持ちに気付かせた。

　植松氏のように「だったらこうしてみたら」を続けると自身がどんな風に変わるのかを問いかけた。生徒たちは「何でもやってみようという人になれるのでは」「可能性をつぶさない人になる」などと発表。好奇心をもって意欲的に探究する姿勢を培っていた。

(関係団体 2019-06-14付)