札幌市教委のアイヌ民族教育　１１年ぶり指導資料改訂　実践進め来年３月発行へ

（市町村 2019-06-26付）

　札幌市教委は、研究開発事業「アイヌ民族に関する教育の充実」について本年度、１１年ぶりにアイヌ民族の歴史・文化等に関する指導資料を改訂する。資料作成のため、委員が各学校で授業実践を行うほか、９月上旬に札幌市立前田北中学校で授業公開を予定。実践研究の成果や２年４月に白老町に開業する民族共生象徴空間（＝ウポポイ）の紹介を盛り込み、来年３月中の発行を目指す。

　事業は、互いに尊重し、支え合いながら、共により良く生きようとする態度を育てるもの。アイヌ民族に関する教育推進上の課題を踏まえた教材の開発および課題探究的な学習における指導方法の工夫、小・中学校の接続の在り方などについて実践研究を行い、その成果の普及・啓発を図る。

　５月２４日に、アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律の施行期日を定める政令およびアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律施行令が施行された。

　施行令を受け、市教委は平成２０年３月に発行した『アイヌ民族の歴史・文化等に関する指導資料～第５集』を改訂する。

　６月１２日には第１回研究推進会議を開催。研究テーマなどのほか、『アイヌ民族の歴史・文化等に関する指導資料～第６集』発行に当たって今後のスケジュールを確認した。

　来年４月に白老町で開業するウポポイの紹介を資料第６集に盛り込む予定。授業などで同施設の利活用を呼びかける方針だ。

　資料第６集発行に当たっては、札幌市アイヌ教育相談員や札幌市アイヌ協会の職員、大学教授など有識者をアドバイザーとして設置し、専門的見地からの意見を反映する。

　来年１月中に校了し、３月中には発行する。

　なお、９月上旬には、前田北中で浜坂幸江教諭の授業を公開する。アイヌ民族の伝統的な音楽に関する授業を展開する予定だ。

(市町村 2019-06-26付)