函館市の教育行政執行方針 LINE相談を試行 校務支援システム導入推進(市町村 2019-06-26付)
函館市教委・辻俊行教育長
【函館発】函館市教委の辻俊行教育長は、20日の第2回定例市議会で本年度の教育行政執行方針を説明した。本年度は、市内全ての幼・小・中・高校でコミュニティ・スクールの設置が完了したことから「保護者や地域と連携しながら、それぞれの学校で創意ある取組を推進していく」と宣言。教員の働き方改革については、ICカードを活用した勤務時間の把握に努めるとともに、小・中学校で校務支援システムの導入を進めていくとした。このほか、いじめ問題への対応として、LINEによる相談の試行やスクールソーシャルワーカーの配置に取り組んでいく方針も示した。執行方針の概要はつぎのとおり。
▼変化する社会を生きる力の育成
子ども一人ひとりが、変化する社会の中で主体的に生き抜くことができるよう、確かな学力、豊かな心、健やかな体を育むことが重要。
小学校においては、引き続き、算数科の指導の充実を図るため、非常勤講師を配置するとともに、新設された第3、4学年の外国語活動や、第5、6学年の外国語科の指導の充実に向けて、外国語指導助手や小学校外国語活動サポーターの効果的な活用を推進するほか、プログラミング教育の充実に努める。
また、子どもの学習習慣の定着のため、アフタースクールを継続して実施。中学校においては、免許外指導の改善を図るため、非常勤講師を配置する。
さらに、学校司書の配置を拡充し、学校図書館の読書環境の整備や児童生徒の読書活動の充実を図る。
いじめの問題については、市いじめ防止対策審議会における審議を踏まえながら、学校、家庭、地域、関係機関などと緊密に連携し、未然防止や早期発見の取り組み、重大事案への対応を進めるほか、LINEによる相談を試行し、多様化するニーズへの対応を図っていく。
薬物乱用の根絶に向けては、家庭や地域、関係機関などと連携し、薬物の危険性・有害性などの理解の促進や規範意識を高める取り組みの充実に努める。
むし歯予防を効果的に進めるため、すべての小学校において、希望者を対象としたフッ化物洗口に取り組んでいく。
学校給食については、市学校給食基本方針に基づき、より安全で安心な給食を提供するため衛生管理を徹底するとともに、郷土の食材や食文化への関心を高めるため函館産の農水産物の使用拡大に努める。
学校における防災・安全については、地域や学校の実態に応じた危機管理マニュアルの点検や見直しを行うなど、地震や津波等が発生した場合に適切な対応を行うことができるよう備えていく。また、函館市通学路安全対策会議と連携し、通学路の安全確保に努めるほか、防犯教室や災害を想定した訓練など、地域や家庭と連携した効果的な取組を推進していく。
特別支援教育については、子どもや保護者の多様化するニーズに対応するため、専門機関との連携を図りながら、巡回指導員や支援員、サポートチームを引き続き活用し、計画的・継続的に学校全体で支援する体制の充実に努める。
さらに、言語に障がいのある中学生を対象とした通級指導教室の開設に向けた調査・研究を進める。
不登校対応については、適応指導教室および相談指導学級において支援に努めるほか、フリースクールや児童相談所などと連携した取組を進める。
また、学校と関係機関や保護者の連携を図るスクールソーシャルワーカーを配置し、児童生徒が抱える諸問題を解決するための取り組みを進めていく。
本年度はCS100%元年
▼地域とともにある学校づくり
家庭や地域と一体となって子どもを育むとともに、教職員一人ひとりが個性・能力を十分に発揮できる学校づくりを推進することが重要。
このため、すべての市立幼稚園、小・中学校および高等学校においてコミュニティ・スクールを導入し、本年度は「コミュニティ・スクール100%元年」として、保護者や地域と連携しながら、それぞれの学校で創意ある取り組みを推進していく。
さらに、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働し、様々な取組を行う地域学校協働活動の体制整備を進める。
学校における働き方改革については、ICカードを活用して教職員一人ひとりの勤務時間を把握するための取組を進めるほか、すべての市立小・中学校に校務支援システムを導入する。また、外部人材の活用や学校閉庁日の設定、市立学校に係る部活動の方針に基づいた取組などを進めていく。
教職員の資質・能力の向上については、南北海道教育センターでの集合研修や、指導主事等が学校からの要望に応じて行う訪問研修の充実を図る。
学校再編は、統合方針が決定された各学校において、準備を進めていく。
市立函館高校については、進学重視型の普通科単位制高校として、創意ある教育課程を編成し「地域に学び、地域で学ぶ」函館学を推進するなど、魅力ある高校づくりを進めていく。
▼函館への愛着や誇りと未来へ飛躍する力の育成
子ども一人ひとりが、函館の魅力を感じ、関わりを深め、愛着や誇りをもつとともに、未来に向かって新たな価値を生み出す資質・能力を育むことが重要。
このため、新たに作成された映像や、その内容を関連させるなどして改訂した社会科副読本などを活用し、函館の歴史や文化、自然など、函館の良さを感じることのできる教育活動を推進する。
また、豊かな国際感覚を育むために、外国語指導助手を活用しコミュニケーション能力を育む教育活動の充実を図るほか、市立函館高校の生徒を対象とした海外留学事業を実施するとともに、望ましい職業観・勤労観などを身に付けることを目指すキャリア教育の充実を図っていく。
▼心の豊かさを育む文化芸術の振興
青少年の優れた作品などの発表の機会として「函館市青少年芸術教育奨励事業」を実施するとともに、小・中学校に芸術家を派遣する「文化芸術アウトリーチ事業」を実施する。
また、はこだてカルチャーナイト、はこだて国際民俗芸術祭などの市民の自主的な文化活動を支援するほか、函館市文化団体協議会や各種団体との連携を深め市民文化祭を開催するなど、地域に根ざした文化芸術の振興を図る。
このほか、引き続き、函館市民会館の耐震等改修工事に取り組むとともに、函館市亀田交流プラザの整備を進めていく。
文化遺産の保存・活用については、旧函館区公会堂の保存修理をはじめ、垣ノ島遺跡の整備や五稜郭跡の堀の石垣改修に引き続き取り組むほか、遺愛学院本館および大谷派本願寺函館別院の保存修理事業の費用を助成していく。
また、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向けて、地元関係機関や団体と連携しながら、縄文遺跡群の価値や魅力を積極的に発信するとともに、構成資産である垣ノ島遺跡と大船遺跡について、保存と活用にかかる取組を一層進めていく。
博物館においては、箱館戦争終結150年にあわせた企画展を開催する。
▼健やかな心身を育むスポーツの振興
子どものスポーツ機会の充実やライフステージに応じたスポーツ活動の推進を図るとともに、函館市スポーツ協会や各種スポーツ団体等と連携し、各種競技大会の開催や、スポーツ合宿および大会の誘致に努めるほか、大相撲やバスケットボールなどのプロスポーツイベントの開催など、市民のスポーツへの関心を高めていく。
関係団体と連携を深め、4回目となる函館マラソンのさらなる充実を目指す。
さらに、本市で開催されるハンドボール男子日本代表の東京オリンピック事前合宿への支援も行う。
このほか、千代台公園野球場のスコアボードやメインスタンドの改修、内野グラウンドの土の入れ替えも行う。
(市町村 2019-06-26付)
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