学校教育や学術研究などに活用―釧路市立博物館 石炭桟橋3次元データに 測量業者提供の機器で計測(市町村 2019-08-20付)
参加者はUAVで桟橋(右奥)を計測した
【釧路発】釧路市立博物館は5日から2日間、国内で唯一現存する貯炭場の鉄道桟橋をドローンなどを使って3D計測した。桟橋は、貨物専用の釧路臨港鉄道の終着点にあるもので、釧路港にある貯炭場に石炭を降ろすための高架橋。鉄道が6月末で廃線となったため「後世に伝えるべき産業遺産」として、その形状等を計測し、デジタルアーカイブとして記録・保存した。
計測は、博物館で産業分野を専門とする石川孝織学芸専門員が発案した。対象とした施設は、太平洋石炭販売輸送㈱が管理する知人駅石炭桟橋。太平洋炭鉱で採掘した石炭を貯炭場に運ぶ貨物専用鉄道の終着駅で、列車が石炭を降ろす桟橋は、戦中期に建設されたもの。太平洋石炭販売輸送によると、こうした施設はかつて港でよく見られたが、現在、日本で現存しているのはここだけとのこと。
今のところ、桟橋を取り壊す予定はないが、産業遺産として後世に伝えようと考えた石川学芸専門員が測量企業などの協力を得て、今回の計測を実現させた。
測定機材は、㈱ズコーシャ(帯広)が提供。大型ドローンに3D計測機を取り付けた同社のエア・ライダーを2日間かけて飛ばし、上空から桟橋の形状などを計測。1秒間に50万点のデータを得られる世界最先端の機材で、桟橋の損傷部まで判別できるデータを取得した。桟橋の裏側など上空から見られない個所は、地上型計測機でデータを得た。
2日目の計測は、測量関係者の研修会を兼ねて行った。最先端の測量技術を学ぼうと約40人が参加した。
石川学芸専門員は「取得したデータは、3Dプリンターでの模型制作や、3Dアニメーションの制作などに使える。学校教育や学術研究などに役立ててほしい」と話していた。
(市町村 2019-08-20付)
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