札幌市立幼稚園　今後の在り方　１区１園体制見直し　幼保小連携など基本施策に

（市町村 2020-02-07付）

　札幌市教委は６日、教育委員会会議で市立幼稚園の今後の在り方に関する方針案を示した。幼児教育の将来像の実現に向けた基本施策として、①時代に即した幼児教育の展開②札幌市の幼児教育の質の向上③特別支援教育の充実④幼保小連携の推進⑤家庭教育支援の充実―を提示。今後の市立幼稚園の体制については、幼児人口の減少などを踏まえ、現在の１区１園体制を見直し、令和７年度に市立幼稚園９園を５園へと再編するとした。

　市立幼稚園・認定こども園では、研究実践園としてこれまで幼児教育における研究・研修などを実施している。

　認定こども園など多様な施設での幼児教育が増えていることから、市は昨年５月、今後の市立幼稚園の在り方について検討する会を設置。４回にわたって会議を開き、方針案をまとめた。

　計画期間は２年度から概ね１０年間。市立幼稚園の今後の役割と体制について、幼児人口の減少傾向に加え、保護者の保育ニーズの高まり、幼児教育の無償化によって幼児教育施設の利用者の選択の幅が広がるなど、今後市立幼稚園の充足率の低下が予想されることを踏まえ、７年度に市立幼稚園を９園から５園に再編する。

　市立幼稚園の配置については、幼児教育施設への訪問支援や地域教育相談の利便性などの地域バランスを考慮し、現在の１区１園の体制から、隣接した２区を１園でカバーする新体制に移行。

　東区のひがしなえぼ幼を北区に、厚別区のあつべつきた幼を白石区に、南区のもいわ幼を中央区に、手稲区の手稲中央幼を西区にそれぞれ再編する。

　再編に当たっては、保護者や在園中の幼児に影響を与えないよう２年度に閉園の説明会を実施。５年度から園児の募集を停止し、６年度末に閉園する。

　また、市における幼児教育の将来像を「つながる　ひろがる　札幌市の幼児教育」としたほか、幼児教育の課題として、幼児教育の今日的な課題、幼児教育に携わる教職員の資質向上、特別支援教育、幼保小連携、家庭教育支援の５点を挙げた。

　課題を踏まえ、幼児教育の将来像の実現に向けた基本施策として、①時代に即した幼児教育の展開②札幌市の幼児教育の質の向上③特別支援教育の充実④幼保小連携の推進⑤家庭教育支援の充実―を提示。

　うち、特別支援教育の充実では、医療的ケア児が市立幼稚園で安心して園生活を送ることができるよう、合理的配慮や受け入れ体制の整備に向けた検討を進める。

　幼保小連携の推進では、白楊小学校に隣接する白楊幼稚園を、幼保小連携モデル園として、幼保小が連携しやすいよう支援するためのカリキュラムを開発するほか、どのような連携が必要かをまとめた幼保小連携のための手引きを作成し、市内の幼児教育施設や小学校へ発信する。

　今後は文教委員会に案を提出するほか、パブリックコメントを実施。再度、教育委員会で策定した方針を説明する。

(市町村 2020-02-07付)