全道代表高校長研究協議会 道教委所管事項 〈下〉 有朋から遠隔授業配信 教育支援計画58・2%作成(道・道教委 2020-04-30付)
道教委主催の令和2年度第1回全道代表高校長研究協議会における各課の説明概要はつぎのとおり。
◆特別支援教育課
【特別な教育的支援を必要とする生徒の状況】(令和元年度「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に関する調査」から)
▼高校における要支援者の状況(元年9月1日現在)
▽要支援者数=809人(平成30年度745人)
▽在籍者数に占める割合=0・9%(同0・8%)
▽個別の指導計画の作成率=98・6%(同99・9%)
▽個別の教育支援計画の作成率=58・2%(同44・3%)
【2年度の特別支援教育課における取組】
▼文部科学省委託「経験の浅い教員に対する支援体制構築事業」(新規)
▽道教育大学との連携による特別支援教育ファーストステッププログラムの開発
▽特別支援教育充実セミナーにおける成果の普及
▼発達障がい支援成果普及事業
▽全管内に推進校(各管内高校1校以上)および推進地域を指定
▽発達障がい者支援センターと連携し市町村における支援体制の充実等を支援
▽取組内容や成果等を特別支援教育充実セミナーにおいて発表し教育局内で共有
▼「支援体制づくり取組事例」データベースの掲載(2年3月)
▽推進校および推進地域における取組を道立特別支援教育センターホームページに掲載
▽高校における事例は25事例を掲載
▼特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業
要請に応じて特別支援学校の教員を派遣(元年度114校)。
▼高校の教員等を対象とした研修
▽本庁主催
・特別支援教育充実セミナー(9~10月、全管内)
▽道立特別支援教育センター(ホームページに掲載)
・研修講座4講座(旅費を措置)
・自主的コース3講座(旅費非措置)
・特別支援教育基本セミナー(5月、全管内)は中止
◆教育環境支援課
【遠隔授業の配信機能の集中化】
道教委では、地域の小規模な高校が遠隔授業を活用し、多様で質の高い教育を展開して、子どもたちが地元で育ち、地域に愛着と誇りをもってふるさとの発展(地域創生)に貢献していく意欲を育むことができるよう、3年度を目途に、遠隔授業を配信する拠点として、仮称・道高校遠隔授業配信センターを有朋高校に設置することとし、2年3月23日付教環第404号「“通知(仮称)道高校遠隔授業配信センター”からの遠隔授業の配信について」で周知した。
本年度は、教育庁内に遠隔授業準備室を設置し、配信方法や体制、機器整備等の検討を進めるとともに、有朋高内に準備を担当する教職員を配置し、遠隔授業にかかる研究開発学校や一部の地域連携特例校に協力をいただきながら試行的に遠隔授業を実施して、配信科目の拡大や複数校への同時配信等、遠隔授業の内容の充実を図る。
▽試行的に実施する学校
・配信校=有朋
・受信校=夕張(研究開発学校)、寿都(研究開発学校)、蘭越、厚真、平取(研究開発学校)、南茅部(研究開発学校)、長万部、松前、下川商業(研究開発学校)、豊富(研究開発学校)、礼文(研究開発学校)、常呂(研究開発学校)、佐呂間、清里、興部、雄武、阿寒(研究開発学校)
センターからの遠隔授業の配信は、3年度の入学生から、地域連携特例校や離島の道立高校のうち希望する高校に対し、学年進行を基本として、国語、数学、地歴・公民、理科、芸術の科目を中心に実施する計画。
一方、現在実施している地域連携協力校からの出張授業は、3年度の入学生から行われなくなることから、保健体育や家庭などセンターから配信予定のない教科・科目については、道立学校間連携によって実施するなど、実施方法の工夫が求められる。各学校においては、道立学校間連携等の依頼があった場合には、協力いただけるよう、特段の配慮をお願いする。
また、3年度の本格実施に向けて、遠隔授業を担当する教員を一定数確保する必要があると考えており、こうした教員の指導力の向上を図るため、全道の高校の教員を対象に遠隔授業指導力向上研修会(8月、札幌市)を開催する予定。詳細が決まり次第、あらためて連絡するので、教員の派遣に配慮いただきたい。
【ICT機器の整備】
道教委では、国のGIGAスクール構想を踏まえ、つぎのとおり、各道立高校のICT機器整備を進める計画。
①校内無線LAN
本年度中にすべての道立高校の校内LAN回線を強化し、すべての普通教室にWi―Fiのアクセスポイントを設置。
②大型提示装置
3年度末までに、第1学年の各教室に大型提示装置(プロジェクターおよびスクリーン)を設置。その後、順に、第2学年、第3学年の各教室に設置。
③学習者用PC端末
3年末度までに、1校に付き10台、学習者用PC端末を配備。その後、間口数に応じて追加配備。
また、各学校において、クラウドサービスを適切に活用できるよう、道教委情報セキュリティ対策基準の見直しを図っており、こうしたICT機器を有効に活用した授業改善を推進。
一方、安価な生徒用PC端末のBYODによる導入などを含め、生徒1人1台PC端末環境の実現に向けて、有識者や関係機関・団体と連携しながら具体的な検討を進め、本年度中に、一定の方向性を示す考え。 各学校においては、こうした状況を踏まえ、ICTを活用した授業の一層の工夫改善に取り組んでいただきたい。
【2年度道教職員研修計画の策定】
道教委では、教育公務員特例法に基づき、ことし3月に2年度道教職員研修計画を策定し、2年3月30日付教環第813号「“令和2年度道教職員研修計画”の策定について」によって、各学校に知らせた。
本研修計画は、平成31年度道教職員研修計画に基づいて実施した教職員研修の効果にかかわる評価・検証を行い、現状・課題等を明らかにし、重点的な取組等の見直しを行うなどして策定した。
各学校においては、本研修計画を活用し、教職員一人ひとりの資質・能力の向上に向け、キャリアステージなどに応じた基本研修や教育課題研修、専門研修への計画的な参加、OJTなどを通じて日常的に学び合う校内研修(メンター研修)の推進などに取り組んでいただきたい。
◆健康・体育課
【学校体育活動中の事故防止】
学校体育活動においては、事故の未然防止の観点から、活動場所や設備、用具などの安全点検を適切に実施し、生徒の体力や技能等を踏まえた活動計画を作成する必要がある。
前年度の熱中症による救急搬送される事故は、平成30年度と比較して激減した。各学校で適切に指導いただいた結果と受け止めているが、本年度も、各学校においては、令和元年5月23日付事務連絡「熱中症事故の防止について」に添付している教職員向け参考資料や『学校体育活動中における事故防止の手引』を活用するなど、事故の防止に万全を期していただきたい。
AEDを含めた心肺蘇生法など応急手当の教員研修の実施や、事故発生時の対応マニュアルの確認など、事故が発生した場合には適切な対応が行われるよう危機管理に万全を期していただきたい。
【運動部活動の充実】
新入生の入部に当たっては、その体力や技能に応じた適切な指導計画を作成することや、本人や保護者の入部意思等を十分確認するなどの手続きを確実に行った上で、活動させていただきたい。
【オリンピック・パラリンピック教育】
オリンピック・パラリンピック教育は、スポーツの価値への理解を深めるとともに、規範意識のかん養、異文化や共生社会についての理解など、多面的な教育的価値をもつものであることから、前年度は15校(うち高校4校)を指定し取り組んでいただいた。
各学校においては、2年3月に各学校に送付した教員向け参考資料『オリンピック・パラリンピック教育の推進に向けて』を参考に、既存の教育活動に位置付け・価値付けするなどして取組の充実を図っていただきたい。
【感染症の予防】
感染症、中でも新型コロナウイルス感染症への対応について、各校長には、時間のない中での様々なお願いに対し、速やかに対応いただいていることに感謝申し上げるとともに、一部混乱を招いた件について、おわび申し上げる。
学校の再開に当たっての臨時休業や分散登校の準備について、4月6日付教義第25号「学校の再開後の分散登校の実施について」で通知のとおり、衛生部局において「感染の兆しがみられる」と判断した場合、短期間で臨時休業や分散登校などに移行することが必要となるので、日ごろからの準備について、よろしくお願いする。
部活動の実施の取扱いについて、4月7日付教健体第27号「学校の再開後の部活動の実施について」で通知のとおり、運動部活動について、各競技団体からの助言をもとに、運動ごとの特性を踏まえた留意事項を取りまとめたので、各部活動の実施に当たっては、記載の事項に留意いただきたいほか、日々、感染の状況が変化していることから、当面の間、対外試合を自粛するようお願いする。
学校再開後、約1週間が経過したが、生徒の家族が濃厚接触者の疑いであったり、道外からの生徒が風邪症状を訴えたりなど、学校が対応に苦慮する事案の報告があった。新型コロナウイルス感染症は、まだ解明されていないことも多い感染症であることから、不明な点があれば、遠慮なく教育局を通じて照会願う。
生徒や教職員が感染した場合の取扱いについて、休日の場合であっても、直ちに教育局を通じて、当課の担当あて連絡いただくよう、お願いする。
道教委では、当該校への支援策として、教育局の管理職員を派遣し、保健所と連携して、消毒の実施、保護者への説明、休業の規模、期間の検討など、対応していく。
【学校保健委員会】
新型コロナウイルス感染症や自然災害発生時の環境衛生の維持、心のケアなど、健康課題への対応については、学校三師や地域の保健所からの助言等を必要とするケースが増加しており、日常から校内外における連携・協働体制を整備しておく必要があることから、道教育推進計画においても、学校保健委員会を年間に複数回開催している小・中学校、高校の割合を4年度までに100%とすることを指標として、施策を展開している。
各学校においては、健康診断時の学校医との打ち合わせや生徒の健康情報を共有する職員会議等の機会を活用しながら、学校保健委員会の複数回開催によって生徒の健康・安全の確保や健康の保持増進に向けた取組の充実が図られるようお願いする。
【配慮が必要な生徒への適切な対応】
起立性調節障害や慢性疲労症候群など、疾病等の特徴によって学校生活に支障が生じているにもかかわらず、周りから理解を得られないことによって、不登校に至るとの指摘がある。
各学校においては、2年3月に各学校に配布した教員向け参考資料『理解や配慮が必要な疾病』を全教職員に配布して理解を深めるとともに、相談があった場合には、本人および保護者の訴えを丁寧に聴き、ホームルーム担任・養護教諭・関係職員等で情報を共有し、必要に応じて学校医や医療機関と連携を図るなど、個々の生徒の心身の状態に応じて適切に対応いただきたい。
◆生徒指導・学校安全課
【生徒指導】
▼生徒指導の意義(生徒指導と学習指導)
生徒指導を学習活動と密接に関連付けながら充実を図ることが重要。
▼いじめの実態把握およびその対応状況等調査
①いじめの把握のためのアンケート調査(年2回―5月ころ、10月ころ)
②いじめの問題への対応状況の調査(年3回―6月ころ、9月ころ、11月ころ)
③いじめの問題への取組状況の調査(年2回―5月ころ、11月ころ)
各学校においては、調査結果を活用し、いじめの積極的な認知に向けて教員同士が自校の実情について協議し合う機会を設定するなど計画的に研修を行うなどして、いじめ防止等に向けた取組の一層の充実を図っていただきたい。
いじめの認知がゼロであった学校については、その事実を生徒や保護者向けに公表し、検証を仰ぐような取組を実施し、認知漏れがないかを確認していただきたい。
いじめに対応したあと、いじめの行為がやんでいない事案や、被害生徒が通常の学校生活が送れていない事案、保護者等への対応に苦慮している事案などについては、その状況を逐一、教育局を通じて報告するとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、道いじめ問題等解決支援外部専門家チームなど、外部の専門家を積極的に活用しながら、教育局や関係機関と連携して適切な対応を行うこと。
▼不登校生徒への支援の在り方
各学校の取組によって、相談を受けていない生徒をゼロにするため、相談窓口の周知や、養護教諭、スクールカウンセラーなどによる相談、「児童生徒理解・支援シート」等の活用が促進されるなど、着実な改善が図られてきている。
前年通知した「不登校児童生徒への支援の在り方について」(元年11月6日付教生学第668号通知)を参考に、各学校において、不登校生徒の社会的自立に向けた支援に取り組んでいただきたい。
▼自殺予防教育
本道においては、前年度も、自殺と疑われる事案や自殺未遂が発生しており、悩みを抱えた生徒の早期発見など、自殺予防に向けた取組を行うことが重要。
各学校においては、2年3月6日付教生学第1043号通知「児童生徒の自殺予防について」を確認し、学年始めの取組を確実に行っていただきたい。
各学校においては、つぎの内容を参考に、生徒の心身の状況の変化の有無について注意し、自殺を企図する兆候がみられた場合には、保護者や関係機関と連携しながら組織的に対応するなど、日ごろの自殺予防に向けた取組の一層の充実に努めていただきたい。
①全校集会や学年集会等において、生命に対する畏敬の念について講話を実施
②学校だより等において、相談窓口の周知徹底
③保健の時間等においてストレスへの対処や心の健康に関する学習を行うほか、ホームルーム活動や総合的な学習の時間などにおいて援助希求的態度の育成やSOSの出し方に関する指導を実施
④寄宿舎など、自宅を離れて生活する生徒に対する見守りの徹底および保護者等と連携を密にした相談体制の構築など
なお、自殺予防に向けた取組の実施に当たっては、冊子『児童生徒の自殺を予防するためのプログラム』を積極的に活用するなどして、すべての学校で組織的・体系的に進めていただきたい。
また、万が一生徒の自殺または自殺が疑われる死亡事故が起きた場合に、速やかに背景調査を実施できるよう、30年3月に道教委が作成した『児童生徒の自殺が発生した際の学校等の対応マニュアル』などの関係資料を確認し、万全の備えをお願いする。
▼『スクールカウンセラー(SC)ガイドライン』および『スクールソーシャルワーカー(SSW)ガイドライン』
児童生徒が抱える課題への対応については、学校だけで対応することが困難な場合も多く、心理の専門家であるSCや福祉の専門家であるSSWを活用し、教職員がチームで支援を行うことが重要であることから、平成30年4月18日付教生学第61号通知によって各学校に配布した本ガイドラインを積極的に活用いただきたい。
▼SNSを活用した相談体制の検討事業
前年度、7月22日から8月31日にLINEを活用した相談を実施した。
今後、実施結果を報告書としてまとめ、各学校に配布する予定。
本年度においても、文部科学省の事業を活用し、事業を実施する予定であり、詳細については今後知らせる。
【学校安全】
▼危機管理マニュアルの点検等
東日本大震災の津波被害にかかる大川小学校事故訴訟の判決を受け、令和元年11月12日付教生学第685号通知「学校の危機管理マニュアルの改善・充実について」によって、各学校が作成している危機管理マニュアル等について、地域の実情に応じた見直しをお願いし、前年度中にすべての道立高校において取り組んでいただいた。
各学校においては、新体制において、すべての教職員が改善した危機管理マニュアル等を十分に理解し、迅速かつ適切に対応できるようお願いしたい。
▼防災教育の充実
元年12月12日付教生学第779号通知「自然災害に対する学校防災体制の強化および実践的な防災教育の推進について」によって、文科省の通知を周知し、学校安全計画の策定・見直しや実践的な防災教育の実施などについてお願いした。
前年度は、道内で「世界津波の日」高校生サミットが開催されたことや、近年の自然災害等の増加によって、各学校においては生徒の安全確保に向けた取組の充実が求められていることから、ことし3月に送付した『安全教育実践事例集』などを参考に、防災教育の充実を図るようお願いしたい。
また、学校安全表彰(文部科学大臣表彰)を、平成28年度に根室高校、29年度に浦河高校が受賞しており、両校の取組も参考にしていただきたい。
▼交通安全指導の徹底
昨年は、自転車登校中の高校生が自動車と衝突する事故が多数発生した。また、6月には、自転車で登校中の高校1年生が歩行者と接触し、高齢者が転倒して負傷する事故が発生した。
全国の自転車事故の死傷者数が最も多いのは高校生であり、特に16歳の死傷者数が最も多くなっている。
令和元年中の本道における高校生の自転車事故は、6月が最も多く、負傷者の35%に違反があり、交差点安全進行義務違反が12・1%、次いで自転車の一時不停止が3・9%となっている。
各学校においては、あらためて、自転車の安全利用について、生徒に対して指導を徹底し、交通事故の防止に万全を期していただきたい。
なお、自転車安全利用五則や道自転車条例の内容を踏まえた自転車交通安全教育の取組も併せてお願いする。
▽自転車安全利用五則
①自転車は車道が原則、歩道は例外
②車道は左側を通行
③歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
④安全ルールを守る
⑤子どもはヘルメット着用
【校外への周知】
学校から保護者、地域へ発信するプリント、手紙、ホームページ、メールなどの記述内容が「生徒指導上不適切な表現だ」、「教育的ではない」などの指摘を受けることが多くなっている。内容を教師の目線だけで作成するのではなく、一般的な受け取りの状況を想定して記述すること。また、校内で組織的にチェックするようお願いする。
【道内公立高校(札幌市立を除く)における非行事故(速報)の状況】
元年度における非行事故(3月31日現在)は、前年度比11件増の72件。
児童虐待や家出、わいせつ被害、いじめの重大事態など、生徒の生命にかかわる事案や緊急の対応が必要な事案については、事実が判明した時点で、関係生徒の状況や学校の対応も含めて、速やかに報告いただきたい。
◆総務課
【道行政職員採用試験(教育行政B)の受験の促進】
▼教育行政Bの実施状況等
元年度における受験者数は前年度比3人減の86人。1次合格者は15人減の73人で最終合格者数は12人減の41人。最終倍率は0・4ポイント増の2・1倍となった。
2年度における採用予定者数は20人。
【文書事務の適切な処理】
前年8月に通知した「管理職員による文書管理状況の職場一斉点検について」によって、職場一斉点検を実施した結果、ほとんどの学校において適正に文書管理が行われていることが確認されたが、一部の学校において、個人情報を含む文書の送付時に作成されるべきチェックリストの記載を行っていないなどの不適切な状況も散見された。各学校においては、引き続き適正な文書管理に努めていただきたい。
なお、文書管理状況の点検については、本年度も実施予定である。
2年3月に、道立学校文書管理規程および同規程の運用方針を改正しており、つぎの事項等の取扱いを改めた。改正点については、テレビ会議などで説明する予定である。
①文書の収受を省略できる範囲を拡大した
②文書を作成すべき会議の範囲を拡大した
③永年保存区分を廃止し、30年保存区分を創設した
④個人情報が記録されている文書等を取扱注意文書とし、その取扱いを規定した
【教職員の服務規律の保持】
教職員の服務規律の保持については、従来から機会あるごとに注意を喚起してきた。
元年度においては、懲戒処分件数が78件と前年度と比べ減少しており、特に、金銭事故にかかる懲戒処分はなかった。各学校の日ごろの取組の成果があったものと認識しており、感謝申し上げる。しかしながら、わいせつ行為やセクシュアル・ハラスメントにかかる懲戒処分が14件と増加しており、生徒を預かる立場である道教委として極めて遺憾である。
ことし3月の処分としては、女子生徒と性行為を行ったことから懲戒免職とした事案、当時18歳だった女子生徒の唇にキスをしたことが著しい信用失墜行為に当たるとして停職2ヵ月とした事案、勤務時間中、正規の休暇処理を行うことなく自校を離れる行為を繰り返し、減給2ヵ月とした事案があった。また、飲酒後、酔って民家の車庫に侵入したことで戒告となった事案もあり、公務員としてもつべき自覚が欠如した事案が連続したことについて憂慮すべき状況にある。
学校教育は、児童生徒や保護者、地域住民との信頼関係の上に成り立つものであり、児童生徒の教育に直接従事する教職員には、一般の公務員に比べてより高い倫理観が求められており、全体の奉仕者として公共の利益のために職務を遂行すべき責務を負っていることから、教職員を指導監督する立場にある管理職による不祥事は絶対に起こさないよう、自らを厳しく律するとともに、年度当初に実施する人事評価にかかる個人面談の場を活用するなどして、教職員一人ひとりに強い自覚を促す指導を徹底し、不祥事の未然防止と服務規律の保持に万全を期していただきたい。
◆教育政策課
【道立学校ふるさと応援事業】
事業は、ふるさと納税などの寄附によって、道立学校の教育活動の充実を図ろうとするもので、寄附額の2分の1を寄附者が指定した道立学校の教育活動に、残り2分の1を留学機会の拡大による国際交流の充実にかかる事業に充てるもの。
学校を指定しない場合は寄附額が全額、高校生の国際交流に充てられる。
元年9月から寄附受付を開始し、3月末現在で、66校83事業の事業計画を公表し、寄附を募集している。
多くの学校にはPR動画を作成いただき、アピールに尽力いただいている。事業計画書を作成していない学校については、引き続き、事業計画書の提出を検討していただきたい。
また、寄附の確保は、元年第4回定例道議会でも議論となっており、道教委でもSNSや道内外のイベントなど、様々な機会を活用し情報発信を行ってきた。
先行実施県によると、高校における寄附の多くは、同窓会を通じた卒業生からのものということであり、学校でも、同窓会等と連携して進めていただきたい。
今後、PR方法等の改善点の検討に当たり、各道立学校からアンケートを取りたいと考えているので、協力をお願いする。
◆教職員課
【道立学校職員の人事評価に関する要綱等の一部改正】
臨時、非常勤職員の適正な任用・勤務条件を確保するため、2年4月1日施行の地方公務員法の一部改正によって、会計年度任用職員に関する規定が設けられ、常勤職員と同様、任期の長短にかかわらず人事評価の対象職員となることから、人事評価の規定の整備を行うため、要綱等の一部を改正した。
会計年度任用職員の評価期間については、当該職員を採用した日からその任期が終了する日までとし、評価方法については、常勤職員と区別するため、評価者による評語選択方式としている。
また、評価者は所属する学校の副校長、教頭または事務長であり、再度の任用の可否等に使用することから、人事評価シートは、任用事務を担当している教育局に提出することとしている。
【出退勤管理システム】
給特条例の一部を改正する条例および教育職員の業務量の適切な管理等に関する教育委員会規則を2年4月1日付で施行した。当規則は、在校等時間から所定の勤務時間を除いた時間の上限を原則1ヵ月45時間、1年360時間とするため業務量の適切な管理を行うことなどを規定している。
「道立学校出退勤管理システムについて」(2年3月31日付教職第2924号通知)で通知しているが、所属職員に対し、在校等時間の把握の趣旨などについて周知し適切に対応していただきたい。
各学校で把握した在校等時間は、教職員課で取りまとめ、その状況を定期的に公表することを予定している。その取扱いなどについては決定次第知らせるので、承知おき願いたい。
【新型コロナウイルス感染症対策のための職員の服務の取扱いなど】
「〝新型コロナウイルス感染症拡大防止において出勤することが著しく困難であると認められる場合の休暇の取扱いについて”の一部改正について」(2年4月1日付教総第13号通知)で知らせた。休暇等の取扱いについて適切に対応していただきたい。
公共交通機関を利用して通勤している職員などについては、感染リスクの分散を図るため、学校運営に支障のない範囲内で、勤務時間のスライドを活用した時差出勤を有効活用していただきたい。
在宅勤務については、2年3月31日付で「新型コロナウイルス感染症対策のための一斉臨時休業期間等における道立学校職員の在宅勤務実施要領」の一部改正を行い、今後も学校等が臨時休業になった場合には本要領を適用できることとしたほか、海外から帰国した職員で帰国後14日間を経過していない職員についても対象としたので、適切に取り扱っていただきたい。
【学校職員の勤務時間にかかる制度改正】
時間外勤務の縮減を図る観点などから、「修学旅行の引率業務等に従事する道立学校職員の勤務時間の割振り等に関する要領」の一部を改正し、ことし4月から対外運動競技等の当番校業務を新たに対象の業務に加えた。当該要領改正に併せて質疑応答集も改正し、また、本制度の周知を図るためのリーフレットも送付しているので、有効活用に努めていただきたい。
【ハラスメントの防止等】
職員がその能力を十分に発揮できる良好な執務環境の実現のためには、各種のハラスメントの防止に取り組むことが極めて重要。ハラスメント防止に関する指針を踏まえ、自らの言動や所属職員の言動が、セクハラ、パワハラ、マタハラに該当しないかどうか十分に注意を払い、未然防止に努めていただきたい。
特に、パワハラについては、過去には、道立学校の管理職における懲戒処分事例があるほか、パワハラに該当するのでないかとされる事例や、職員の自尊心を傷つけるような不適切な指導に関する事例もあることから、パワハラや行き過ぎた指導とならないよう注意していただきたい。
【学校における働き方改革】
2年度の新規事業である働き方改革推進事業は、学校実態に応じた効果的な働き方改革を進めるため、全道で5校を推進校として指定し、働き方改革手引やアクション・プランに掲げる取組を積極的に進めるとともに、その取組の成果を全道に展開しようとする事業である。各学校においても手引を積極的に活用し、これまで以上に業務改善を進めていただきたい。
【部活動】
▼『「北海道の部活動の在り方に関する方針」および「道立学校にかかる部活動の方針」に関する質疑応答集』
2年3月26日付教環第835号通知において、改訂版(2年3月版)を送付した。各学校においては、方針の意義や内容の理解を深め、方針の実効性の確保に向けた取組を推進するため、教員研修などの機会において質疑応答集を活用するようお願いする。
▼「道立学校にかかる部活動の方針」に定める休養日等の弾力的な設定
2年3月30日付で、部活動休養日の弾力的な設定の申請にかかる事務連絡を発送した。本措置はあくまでも例外的な取扱いであるため、まずは原則にのっとった活動を検討していただき、その上で、やむなく弾力的な設定をしなければならない場合に申出書を提出するようお願いする。
なお、弾力的な設定にかかる要件として、「対象部活動の顧問である教員の部活動にかかわらない日を週2日以上設けること」としている点に留意願う。
▼部活動指導員の配置
部活動指導員の配置については、過日、配置決定を行い通知した。部活動指導員が指導に当たる場合には、可能な限り単独で指導する、複数の顧問を配置している場合には、そのいずれかの顧問に代わって部活動指導員が指導するなどし、顧問の部活動指導に携わる時間の軽減に努めていただきたい。
部活動指導員に対しては、任用時に当課から送付した資料を用いて研修を実施するとともに、教育局が開催する部活動指導力等向上研修への参加を促していただきたい。なお、効果を検証するため、在校等時間に関する調査を実施する予定であることに留意願う。
◆道立教育研究所
【研修事業】
▼2年度道研研修講座の日程
本年度新規開設の研修講座として、協働体制をはじめとした組織的な業務力を高めることをねらいとして、同一校の副校長・教頭とミドルリーダーの2人を受講対象とする副校長・教頭とミドルリーダーで行う業務力向上研修を実施。また、前年度新規に開設した副校長・教頭を対象とした「総合的な探究の時間」充実研修を引き続き実施する。
道高校教育課程研究協議会と連動した出前型の研修「カリキュラム・マネジメント実践研修」は、本年度、胆振、日高、上川、釧路、根室の5管内を対象に3会場(胆振、日高および釧路、根室については合同で1会場)で実施予定。教務主任の参加について特段の配慮をお願いする。
▼管内高校教育研究会連携研修講座
実施希望の研究会当番校と日程や内容について一緒に検討を進めるなど、各研究会のニーズに応じて実施するので、活用をお願いする。
【研究相談事業・教育相談事業】
道研では、校内研究や研修の推進等にかかわる研究相談および生徒や保護者の悩み等の解決を支援する教育相談を実施。
教育相談については、来所、メールの相談窓口がある。配布資料を校内に掲示するなど、生徒や保護者に周知願う。
【調査研究事業】
道研では、本道における学校教育の喫緊の課題の解決を図る実践的な研究を推進しており、研究成果等を道研ホームページに掲載している。参考として、現在研究のものを含め、過去5年間分の研究テーマを紹介するので、各学校における教育活動の改善・充実に積極的に活用いただきたい。
本年度からは、3ヵ年計画で「未来の教育」の在り方に関する研究に取り組み、ICTやクラウド等の先端技術や地域資源を活用した新たな学びのスタイルや、それらの学びを実現する環境について、全所的に研究を進めていく。情報処理教育棟には、クラウドサービスを体験できる遠隔システムなどのICT機器を備えた未来の教室を開設し、研究に活用するとともに、学校や市町村教委の相談に対応しており、活用をお願いする。
【附属理科教育センター】
前年度、小・中学校教員を対象にした観察・実験の実践基礎講座を全道4管内の高校で開催。会場を引き受けていただいた高校に感謝する。本年度は、全道2管内の高校(小樽潮陵、釧路湖陵)を会場に実施する予定。
小学校理科校内研修支援事業では、高校の理科教員を小学校の校内研修の講師として派遣する予定。詳細については、決定次第連絡するので、教員の派遣に特段の配慮をお願いする。
(道・道教委 2020-04-30付)
その他の記事( 道・道教委)
新規事業 モデル授業構築プロジェクト 若手の授業改善推進 8月に指導資料 渡島局独自
【函館発】渡島教育局は本年度、新規事業「モデル授業構築プロジェクト」に取り組む。小学校の若手教員を対象とする独自事業。渡島教育研究所等に協力を求め、授業づくりついてグループで意見を交わす。...(2020-05-07) 全て読む
檜山管内2年度教育推進の重点 未来を拓く子ども育成 公立校長合同会議で相内局長
【函館発】檜山教育局は4月上旬、檜山合同庁舎で管内公立学校長合同会議を開いた。小・中学校、高校、特別支援学校の校長合わせて35人が出席。相内修司局長が本年度の管内教育推進の重点を説明した。...(2020-05-07) 全て読む
道教委 3年度教員採用特別選考 29日まで願書受付 採用予定数の5~10%程度
道教委は、令和3年度道公立学校教員採用候補者特別選考検査の願書を、きょう7日から29日まで受け付ける。一定期間の勤務実績がある期限付教員、臨時的任用教員(産休代替教員・育児休業代替教員)が...(2020-05-07) 全て読む
道教委 小玉教育長就任あいさつ 学び止めず 心近づけて チーム力で未来見据えた取組加速(あいさつ概要追記)
道教委の小玉俊宏教育長は4月30日、道庁別館で道教委職員を前に就任あいさつを行った。学校の臨時休業下にある子どもたちのため「“学びを止めない、心が近づく環境”を整えることが重要」と強調。長...(2020-05-07) 全て読む
道教委 2年度働き方改革推進事業 栗山小など23校で 実践重ね改革推進 成果普及へ
道教委は、本年度新規となる働き方改革推進事業の推進地域に栗山町など17地域、推進校に栗山町立栗山小学校など23校を決定した。道教委が作成した『北海道の学校における働き方改革手引 Road』...(2020-05-07) 全て読む
道教委 高校生対流促進事業 3校で地域留学推進 希望生徒募集 3年度受入
道教委は、本年度から内閣府の新規事業「高校生の地域留学推進のための高校魅力化支援事業」を活用し、高校生対流促進事業を開始する。鵡川高校、斜里高校、幌加内高校の3校を事業採択校とした。本年度...(2020-04-30) 全て読む
2年度小学校外国語等研修事業 22校に巡回指導教員 TTや模範授業 道教委
道教委は、本年度の小学校外国語等巡回指導教員研修事業にかかわって、22校に外国語活動巡回指導教員を配置する。小学校が3校以上ある道内の市町村を中心に平成28年度から実施しているもの。巡回指...(2020-04-30) 全て読む
道教委 社教主事講習スタート 社会教育士 取得を推進 6月に7会場で遠隔開催
道教委は本年度、文部科学省の委嘱を受け、社会教育主事講習を実施する。本年度新設となった「社会教育士」資格取得に必要な科目を含む4科目の講習を開講。6月から実施するA講習は、道内7会場をテレ...(2020-04-28) 全て読む
幼児教育関係の研修一覧 実施団体・月で検索可 HP掲載し活用求め 道教委
道教委は、幼児教育推進センターや幼児教育団体の研修日程をまとめた幼児教育関係研修一覧を作成した。関係者の意見をもとに作成したもので、「実施団体」「実施月」の2種類で検索可能。同センターのホ...(2020-04-28) 全て読む
全道代表高校長研究協議会 道教委所管事項 〈上〉 指導要領の移行 円滑に 予定した授業時数確保を
道教委主催の令和2年度全道代表高校長研究協議会(14日、道庁本庁舎テレビ会議室)では、各課等の担当者がそれぞれ所管事項を説明した。高校教育課所管事項では、新高校学習指導要領の移行措置に当た...(2020-04-28) 全て読む