檜山管内2年度教育推進の重点 未来を拓く子ども育成 公立校長合同会議で相内局長(道・道教委 2020-05-07付)
檜山教育局・相内修司局長
【函館発】檜山教育局は4月上旬、檜山合同庁舎で管内公立学校長合同会議を開いた。小・中学校、高校、特別支援学校の校長合わせて35人が出席。相内修司局長が本年度の管内教育推進の重点を説明した。檜山の未来を拓く人材の育成を目指し、「“主体的・対話的で深い学び”の実現に向けた研修の充実」など17の重点を示し、児童生徒の健やかな成長と、小学校から全面実施となる新学習指導要領に基づいた学校運営を呼びかけ、各重点における取組の充実に期待を寄せた。
管内教育推進の重点の概要はつぎのとおり。
校長の皆さんには、これまで、長年にわたり継承・発展してきた檜山の教育を学校経営の基盤としつつ、道教育推進計画や管内教育推進の重点に基づき、管内の今日的な教育課題の解決に向けてリーダーシップを発揮していただいていることに感謝申し上げる。
とりわけ、小学校においては、新学習指導要領の移行期間最終年度、中学校においては、2年目である前年度については、各学校において、子どもたちが未来社会を切り拓くために必要な資質・能力を一層確実に育成することを目指すとともに、「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて、全教職員が協力し教育活動を推進できる体制を整備するなど、創意工夫を生かした学校経営に尽力いただいたものと認識している。
檜山教育局では、これまで、道総合教育大綱、道教育推進計画、道教育行政執行方針に基づき、2ヵ年ごとに取り組む管内教育推進計画を策定し、計画の推進に向けた管内教育推進の重点として示してきたが、本年度は、前年度の管内教育推進の重点で示した内容のうち、各町教育委員会や各学校で十分に取り組んでいただき、成果を上げている項目が多いことから、平成30年度に策定した道教育推進計画や本年2月に示された道教育行政執行方針で掲げた目標について、本年度、特に、オール檜山で重点的に取り組んでいただきたい項目を「17の重点」として示す。
▼重点1 「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた研修の充実
前年度の全国学力・学習状況調査の国語問題で、小学校・中学校共に全国平均を上回るなど、すべての子どもが確かな学力を身に付ける取組が着実に推進されている。
一方、子どもたちが課題の解決に向けて自分で考え、自分から取り組むことや、自分の考えを発表する機会で、自分の考えがうまく伝わるように工夫して発表することなど、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善が十分に図られていない状況がみられる。
そのため、学校において取り組んでいただきたい取組と、教育委員会において取り組んでいただきたい取組をそれぞれ明示し、取り組んでいく。
なお、教育支援課長と義務教育指導班が教育委員会を訪問し、各町の教育長の皆さんや指導主事、各学校の管理職と、「主体的・対話的で深い学び」の実現のためには、どのような授業を行えばよいのか、そのイメージを共有できるよう、説明する予定である。
▼重点2 短いスパンでの検証改善サイクルによるカリキュラム・マネジメントの充実
全国学力・学習状況調査等各種調査の結果の分析によって、子どもたちの学力や学習状況を把握し、教育課程を改善するなどの取組が推進されている。
一方、チャレンジテストや授業評価アンケートの結果分析に基づいた継続的な検証改善サイクルの実施について、取組が十分に行われていない状況がみられる。
そのため、カリキュラム・マネジメントの充実を図っていく。
▼重点3 スタートカリキュラムの内容の充実に向けた幼児教育施設と小学校間との連携強化
すべての小学校でスタートカリキュラムが編成されるとともに、昨年は、管内幼小合同研修会に、すべての小学校の教頭と低学年の学級担任が「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を手がかりに、幼児教育施設の教職員と子どもの姿を共有する研修に取り組んだ。
一方、幼児教育施設と合同でスタートカリキュラムを作成している小学校が80%にとどまっているとともに、小学校教員の幼児教育の理解が十分とは言えない状況もみられる。
そのため、幼児教育施設と小学校間との連携強化を図っていく。
▼重点4 他校種と連携した教育活動の充実
中学校区において、小・中学校の教職員が協議するなどの小中連携の取組が推進されている。
一方、全国学力・学習状況調査において、近隣等の学校と教育目標を共有したり、教科の教育課程の接続や、教科に関する共通の目標設定など、教育課程に関する共通の取組を行ったりすることが十分に行われていない状況がみられる。
そのため、他校種と連携した教育活動の充実を図っていく。
▼重点5 バランスの取れた英語力の育成
小学校の外国語活動等で中学校教員が乗り入れ、より専門的な授業が展開されているとともに、中学校においては、前年度、すべての学校で英語の授業公開をしていただいた。
また、高校においては、昨年9月、「世界津波の日」2019高校生サミットin北海道で、奥尻高校と江差高校の生徒が英語でスピーチを行ったり、11月には、江差高校で高校生海外留学促進セミナーを開催したりするとともに、すべての高校において、積極的に英語の授業を公開するなどの取組が推進されている。
一方、前年度実施した全国学力・学習状況調査においては、英語の平均正答率がすべての領域で全国、全道を下回っており、中学生の英語力に課題がみられた。
高校については、前年度実施した英語教育実施状況調査において、CEFR(セファール)A2レベル以上の英語力を有する生徒が30・6%であり、50%以上にするという目標を下回っているなど、英語力に課題がみられた。
そのため、バランスの取れた英語力の育成を図っていく。
▼重点6 道徳教育や情報モラル教育等を充実することにより、すべての子どもが「いじめは絶対に許されない」ということを理解し、行動できる教育活動の充実
いじめの問題を取り上げた授業などや子どもたちがいじめの問題等について、主体的に考える取組の実施などが推進されている。
一方、「いじめはどんな理由があっても許されないことだと思うか」の質問に対して「思わない」と回答する児童生徒が存在することや、情報モラルにかかる取組が十分に行われていない状況がみられる。
そのため、すべての子どもが「いじめは絶対に許されない」ということを理解し、行動できる教育活動の充実を図っていく。
▼重点7 子ども一人ひとりの実態に応じた特別支援教育の充実
個別の教育支援計画が作成され、本人やその保護者の意向を踏まえつつ、関係機関などと必要な情報共有を図る取組が推進されている。
一方、個別の教育支援計画を活用した切れ目のない一貫した支援に課題がみられる。また、特別支援学級における自立活動の指導が十分とは言えない状況がみられる。
そのため、子ども一人ひとりの実態に応じた特別支援教育の充実を図っていく。
▼重点8 道家庭教育サポート企業等の協力を得たふるさと教育の推進
121の企業が道家庭教育サポート企業に登録するなど、地域の子どもの教育への関心の高さがうかがえるとともに、各地域において郷土学習を中心とするふるさと教育が活発に推進されている。
一方、登録いただいた道家庭教育サポート企業と連携を図ったふるさとのよさや、ふるさとの未来を考える学習が十分に行われていない状況がみられる。
そのため、道家庭教育サポート企業等の協力を得たふるさと教育の推進を図っていく。
▼重点9 GIGAスクール構想の実現に向けた教育環境の整備と活用方法の検討
各町が主体となりGIGAスクール構想の実現に向けた教育環境の整備が進められている。
一方、今後、GIGAスクール構想が実現した際の効果的な教育活動の在り方について、十分見通しが立っていない状況がみられる。
そのため、GIGAスクール構想の実現に向けた教育環境の整備と活用方法の検討を支援していく。
▼重点10 遠隔システムを活用した他校の複式学級とつなげた学年別指導の充実
前年度、第69回全道へき地複式教育研究大会檜山プレ大会が上ノ国町立河北小学校、乙部町立栄浜小学校、今金町立種川小学校の3校で開催されるとともに、本年度の本大会開催に向け、檜山へき地・複式教育研究連盟が中心となり、複式学級での指導の研究が推進されている。
一方、複式学級では、在籍児童の少なさから、対話的な学習を進めることが難しい状況がみられる。
そのような状況を打破するためにも、遠隔システムを活用した他校の複式学級とつなげた学年別指導の充実を図っていく。
▼重点11 学習支援ツール「ジブンde勉強」を活用した自力で解決していく学習習慣の形成
各学校で、本ツールを活用し、子どもが自分のつまずきに気付き、自ら克服する効果的な自主学習を進める取組が推進されている。
一方、授業時間以外に、平日1日当たりの学習時間が1時間より少ない子どもの割合は、小学校が43%、中学校が27%と、学習習慣が十分に身に付いているとは言えない状況や、下学年の学習内容を十分理解していないため、基礎学力が不足している子どももみられる。
そのため、学習支援ツール「ジブンde勉強」を活用した自力で解決していく学習習慣の形成を図っていく。
▼重点12 運動習慣形成プログラム「ススンde運動」を活用するなどし、運動習慣が身に付いていない子どもの運動に対する意欲向上と運動習慣の形成
前年度、すべての小・中学校で、管内どさん子元気アップチャレンジに取り組んでいただくとともに、管内運動習慣形成プログラム「ススンde運動」を活用した学校独自の取組として、子どもが運動に親しみ、授業以外での運動の機会を増やす取組が推進されている。
一方、授業以外の運動やスポーツの1週間の総運動時間が60分未満の子どもの割合は、小学校第5学年男子が7・4%、女子が10・8%、中学校第2学年男子が8・3%、女子が27・8%と、運動習慣が十分に身に付いているとは言えない状況がみられる。
そのため、運動習慣が身に付いていない子どもの運動に対する意欲向上と運動習慣の形成を図っていく。
▼重点13 プログラミング的思考を育む学習活動の教育課程への適切な位置付けと、プログラミング教育を推進する研修の充実
新学習指導要領の全面実施に向け、前年度、すべての小学校でプログラミング教育にかかる実践的な校内研修等や授業の実践、模擬授業などの取組が推進された。
一方、依然として、プログラミング教育の推進に不安を感じる教員が少なくない。中学校においては、小学校におけるプログラミング教育を踏まえた学習活動の充実を図る必要がある。
そのため、プログラミング的思考を育む学習活動の教育課程への適切な位置付けと、プログラミング教育を推進する研修の充実を図っていく。
▼重点14 初任段階教員の授業力の向上
前年度から新採用教員が増加し、本年度は、新たに11人が採用されるなど、初任段階教員の授業力の向上が喫緊の課題となっている。
そのため、初任段階教員の授業力の向上を図っていく。
▼重点15 『北海道の学校における働き方改革手引 Road』に基づく取組の着実な実施
道アクション・プランの取組調査の結果、定時退庁日の設定、学校閉庁日の実施、校務分掌の見直しなど様々な取組が推進されている。
一方、学校行事の見直しや勤務時間外の電話対応については、実施率が低い状況がみられる。
そのため、『北海道の学校における働き方改革手引 Road』に基づく取組の着実な実施を図る。
▼重点16 教職員の不祥事の根絶に向けた職員研修や個人面談の充実
前年度、すべての学校において全体の職員研修や個別研修が実施されている。
一方、前年度、管内では4件の懲戒処分があった。
教職員の不祥事の根絶に向けた職員研修や個人面談の充実を図っていく。
▼重点17 新型コロナウイルス感染防止に向けた万全な体制の構築
前年度末からの対策にかかわり、特段の理解と協力をいただいていることに深く感謝申し上げる。
今後も、新型コロナウイルス感染防止に向けて万全を期していく。
終わりに
以上、年度始めに当たり、本年度の管内教育推進の重点の概要を話したが、皆さんには、管内教育推進の重点の内容について理解いただき、管内の特色を生かしつつ、各学校や地域の実態を踏まえた実効性のある施策の展開を進めていただくようお願いする。
教育局としても、各学校の取組への一層の支援に加え、個々の課題の解決に向け、全力で支援していきたいと考えている。
檜山の未来を拓く子どもたちの育成に向け、学校・家庭・地域・行政との緊密な連携のもと、管内教育の推進に取り組んでいきたいと考えているので、本年度もよろしくお願いする。
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(道・道教委 2020-05-07付)
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