富良野東中　コロナにかかわる人権教育　全校挙げ実践力向上　道徳　安心できる学級づくり

（コロナウイルス関連 2020-11-18付）

いじめや差別、偏見について考えさせた

　【旭川発】富良野市立富良野東中学校（千葉良彦校長）は、全校を挙げて新型コロナウイルス感染にかかわる人権教育の道徳授業を展開している。感染症の流行が再拡大している現状を踏まえ、感染症によるいじめや差別を防ぐことなどが目的。１１日には１年生全学級で授業を展開し、誰もが感染する可能性があることや、感染者への望ましいかかわり方や態度を理解するとともに、安心して過ごせる学級づくりに向けた意識や実践力を高めた。

　同校では、感染症が再び広がりつつある現状や、学校祭を控えていることなどを踏まえ、感染症にかかわる人権教育を行う必要性があるとの声が教員の中から上がっていた。

　このため、道徳授業の時間に全校共通での人権教育の実施を計画。三重県教委の人権学習指導資料『考えよう！新型コロナウイルスに感染したときのこと』を先行事例として参照し指導案を作成。このほか、文部科学省が発足させた「新型コロナウイルス　差別偏見をなくそうプロジェクト」にかかわる啓発動画も活用した。

　１１日は、１年生全３クラスで授業を展開。各クラスでは、はじめに、自分を取り巻く家族や、家族を取り巻く環境・人間関係などを示した図をモニターに提示し、感染について考えたことをそれぞれワークシートに記入させた。

　生徒たちは、「姉が高校で感染し、自分にも感染するかもしれない」「飲食店で働いている家族が、客から感染するかもしれない」など、自分の立場に置き換えながら様々な可能性を想定。家族それぞれが多くの人とつながっており、誰もが感染する可能性をもっていることを理解した。

　これを踏まえ、授業者は「自分が感染し、治療を終えて登校したとき、クラスのみんなにどのようにかかわってもらいたいか」と発問。生徒から「いつもどおり接してほしい」「差別しないでほしい」「ＳＮＳに上げないでほしい」などの意見を引き出した上で、感染者を責めるのではなく受け止めようとする意識をもつなど、感染者への望ましいかかわり方や態度に気付かせた。

　２組では、夏の中体連が中心になったことや、学校祭直前であることにふれ「感染症が原因で、楽しみにしていた行事等が中止になったら」と投げかけて気持ちの整理の仕方などを考えさせる場面も設定した。

　さらに、文科省の啓発動画を視聴し、感染症に対する不安から陥りやすい差別や偏見などについて一層理解を深めさせた。

　３組では、クラスで誰が感染してもいじめや差別・偏見の心配をせずに過ごせる「コロナ安全安心宣言」を作成。「私たちは、コロナに感染した人がいても、“いつもどおり、やさしく笑顔で接します”“相手の気持ちを考えます”“差別をしません”“いじめをしません”“うわさを広めません”」との案を示した。

　授業のあと、生徒たちは、「日ごろから相手の立場を考えて行動することが大切だとあらためて思った」「クラスの仲間が感染しても、差別をしたり、責めたりしないで、相手の立場を考えて行動したいと思った」などと振り返っていた。

　「誰もが感染する可能性があることから、感染者に対して、まずは自分が差別等を行わないことが大切」と考える千葉校長は「今回の授業を通して、感染者等を責めるのではなく、早く治るよう励ますとともに、戻ってきたときには温かく迎えられる、思いやりのある子どもに育ってほしい」と期待している。

(コロナウイルス関連 2020-11-18付)