学校力向上総合実践地域指定の根室市　“心理的安全性”高めて　道教委・波岸指導監が講話

（市町村 2021-02-10付）

教職員約３０人が聴講した

　【釧路発】根室市教委は４日、根室市総合文化会館で学校力向上に関する総合実践事業地域協議会を開催。道教委の波岸克泰教育指導監が道教委本庁舎からリモートで参加し講話を行った。市内小・中・義務教育学校の教職員約３０人が参集。波岸教育指導監は目標の共有や円滑なコミュニケーションの重要性を強調。参加者は組織力を高めるマネジメントの在り方を学んだ。

　道教委が平成２４年度からスタートさせた学校力向上に関する総合実践事業は、学校の総合力を高めるとともに、将来のスクールリーダーを輩出することが目的。本年度は、従来の学校指定に地域指定を加え、根室市を含めた全道１６地域を指定した。

　根室市では、北斗小学校を中核校、花咲小学校、成央小学校、柏陵中学校を指定校として、学校組織マネジメントの改善・充実、全国学力・学習状況調査を活用した授業改善などに取り組んできた。

　今回の地域協議会は本年度４回目。道教委の波岸教育指導監を特別講師に招き、組織力を高めるマネジメントの在り方について研修した。

　また、この日に先立ち、波岸教育指導監が講師を務め道立教育研究所で行った組織マネジメントに関する研修の動画DVDを配布。参加予定者は、事前研修として内容を視聴し、波岸教育指導監に感想を送っている。

　はじめに波岸教育指導監は、学校を取り巻く環境の変遷を振り返った。「３年B組金八先生」が放送されていた時代は「学校に対する尊敬と信頼があった」とする一方、お葬式ごっこ事件や附属池田小事件などが起こり、学校への不安感や不信感が増大したと指摘した。

　こうした背景のもとで始まった新教育学習指導要領には、これまで設けられていなかった前文があることを説明。前文の中で最も重要な文言として「一人一人の児童」を挙げ「どんな状況があっても、１人も逃さず力を身に付けさせるという強い決意が示されている」と強調した。

　Society５・０の到来にもふれ、これまでの“秩序、順応”ではなく“自律、挑戦”を伸ばす授業が必要とされていることに言及。主体的・対話的で深い学びが求められているとした。

　その上で「今までのやり方にとらわれずに、子どもたちが活躍するような授業をつくってほしい」と述べ、「若い先生には大きなチャンス。柔軟な発想で今までにない授業づくりにチャレンジを」と激励した。

　一方、若い教師が活躍する環境をつくるためにも組織マネジメントが重要とし「一番大事なのは目標の共有。なぜこの目標が必要なのかという背景を理解し、自分の言葉で説明しなければいけない。“みんながやってるから頼むよ”ではなく自発的に向かっていく気持ちでなければ仕事の質は上がらない」と述べた。

　目標の共有は、円滑なコミュニケーションが土台となることにもふれ、キーワードとして「心理的安全性」を提示。「何を言っても受け止めてもらえるという文化を学校の中にどうつくり上げるか。簡単に言うと仲のよい職員集団をもてばいい」とした。

　最後に「向かっていく先は目標の共有と実現。そのために心理的安全性の高い職員集団をつくってほしい」と述べ、さらなる学校力向上に期待を寄せた。

(市町村 2021-02-10付)