白糠高　魅力ある学校へ５つの取組　コーディネーター活用し総合的探究　校舎工事の白糠中４階に受け入れ

（学校 2021-03-16付）

タブレット端末で学びを深める生徒たち

　【釧路発】白糠高校（田村信明校長）は新年度、新たにスタートする５つの取組を通じて生徒の学力向上と学習環境充実などを図る。隣接する白糠町立白糠中学校の校舎が工事によって使えなくなるため、同校４階に教職員、生徒を受け入れる。また、地域教育コーディネーターのさらなる活用を図った総合的な探究の時間もスタート。このほか、学校給食およびオンライン予備校「スタディサプリ」の無償提供・利用、公営塾「久遠塾」の校内開設も行い、生徒にとって魅力ある学校づくりを進める。

　白糠中は、白糠小学校との義務教育学校化に向けて校舎を改修することになっており、来年夏ごろまで一時移転が必要な状況にあった。道路を挟んで白糠中と隣り合う白糠高は、中高連携のよい機会になると考え、白糠町教委からの打診を積極的に受け入れた。中学校が高校の校舎を間借りするのは釧路管内初で、道内でも珍しい取組だという。

　白糠中が間借りするのは、同校校舎４階の全室。従来は１年生が使っていたが、１・２年生の教室を３階に集約し、４階を丸ごと空けた。

　白糠中の職員室は多目的室を改装し、給湯室は水飲み場を仕切るなどして設置した。体育館や特別教室のやりくりなど大変な面もあるが、同校教員と白糠中教員が連携を密に取りながら調整している。

　田村校長は「講演会や芸術鑑賞会など、できる行事は一緒にやっていきたい」と話し、受け入れを楽しみにしている。

　同校の特色ある教育の一つ「白糠学」を柱とする総合的な探究の時間については、地域教育コーディネーターとともに構想する取組を進めている。

　地域教育コーディネーターを務めるのは、白糠町の同校生向け公営塾「久遠塾」前塾長の上内智英さん。元高校教員で、学習塾経営者としての経験はもとより、久遠塾時代に地域、学校と厚い信頼関係を結んでいる。

　上内さんは、総合的な探究の時間の全体計画や授業運営を同校教員と共に担う。福田敏憲教頭は「前年度までは教員４人の推進委員会で全体計画などを練っていたが、新年度は上内さんに総合プロデューサーとして進めてもらう」と説明。地域に精通する人材を活用することで活動の充実を図るとともに、教員の働き方改革にもつなげたい考えだ。

　このほか、白糠町や教育振興協議会の支援による給食無償提供、スタディサプリの無料利用が始まる。学習用タブレット端末やWi―Fi環境は、過年度の支援ですでに整備している。

　また、これまで公民館と同校校舎の２会場で開かれていた久遠塾が同校図書室に一本化される。平日午後３時３０分から９時ごろまで開くことになっており、生徒にとってより通いやすい環境が整う。

　同校では「これほど一度に新しい試みがスタートするのは珍しい。子どもたち一人ひとりの夢の実現に向けて、全力で教育活動に励みたい」としている。

(学校 2021-03-16付)