学校力向上事業指定・網走小が特別研修 人物関係とらえ心情探る 6年国語公開 講演も(学校 2021-03-11付)
4視点に基づく特設授業
【網走発】道教委の学校力向上に関する総合実践事業実践指定校・地域連携研修主体校の網走市立網走小学校(吉田昌広校長)は2月26日、同校で特別研修会を開いた。市内や近隣町から小・中学校教諭など約50人が参加。6年生国語の特設授業を公開し、井上大輔教諭が、主人公と周辺の登場人物との関係をとらえさせ、考えを広げさせる授業を展開した。また、大妻女子大学の樺山敏郎准教授が講演を行った。
はじめに、井上教諭による6年1組(児童数26人)の国語「海の命」を公開。
単元では、「登場人物の関係をとらえ、人物の生き方について自分の考えを表現する力」を身に付けさせるため、教材の主人公・太一を中心に登場人物の関係性を整理したキャラクターマップを活用。周辺人物が太一にどのような影響を与えたかをとらえさせた上で、「太一に一番影響を与えた人物は誰か」について交流することを通して、自分の考えを広げられるようにすることを目指している。
本時の目標は「太一が瀬の主を殺さなかった理由を考え、複数の人物の関係によって中心人物が生き方をみつけたことをとらえることができる」。
井上教諭は、視点として①問題意識・見通しをもたせる工夫②目的を明らかにした交流③思考を生む中心発問と問い④ねらいに合わせた振り返り―の4点を設定し、授業を展開した。
①では、本時の課題「太一が瀬の主を殺さなかったのはなぜだろう」につなげるため、キャラクターマップから前時の内容や登場人物の生き方について振り返った。父を破った「瀬の主」と呼ばれる大物のクエが、太一にとって父を超えるための壁であることを確認した。
②では、太一が瀬の主を殺さないと判断した理由について、教材の描写やキャラクターマップの内容から読み取れる部分を交流させた。
それを踏まえ、全体交流。③の視点から、「泣きそう」「こんな感情」といった太一の心情に着目した上で、「このとき、太一が思い描いた人物は誰か」と発問。父の生き方、母の悲しみや不安が表れている描写などを引き出し、複数の人物とのかかわりによって葛藤が生まれたことをとらえさせた。
④では、本時の課題に基づき、太一が瀬の主を殺さなかった理由をまとめさせた。
授業後、樺山准教授が「深い学びの実現を目指す教師と授業の姿」と題して講演。井上教諭の授業について、授業づくりの4視点に基づいて講評した。
①については、本時が6時間扱いの5時間目と、単元の山場であることを踏まえ、「太一の揺れ動く心情をとらえさせるため、太一に同化して考えさせる課題にするとよい」と述べた。
②については、「交流が効果的に行われるためには、個々の考えを形成させ、それぞれの理由や根拠を検討し合うことが大切」とした上で、めあての直接的な解答をまとめる前段階として、「叙述から、文章に書かれていない太一の心情、いわゆる内言を読み取り外化するとよい。その内言の理由が重視されるべき」と助言した。
③については、「グループワークを通して出た論点を整理し、見方・考え方を広げ、深める授業の山場をつくってほしい」と呼びかけた。
④については、「本時の学び全体を通して、複数の表現を取り上げ、関連付けて精査・解釈した個々の考えを、時間内に字数を提示してまとめ、それを評価する」と話した。
(学校 2021-03-11付)
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