1年数学科で遠隔合同授業実施 総数の違い着目し比較 教育大附属旭川中と佐呂間中(学校 2021-02-25付)
1人1台の端末を使って授業。写真は附属旭川中
【旭川発】道教育大学附属旭川中学校(上田祐二校長)と佐呂間町立佐呂間中学校(齊藤修校長)は2月上旬、ウェブ会議システムZoomを活用した遠隔合同授業を行った。附属旭川中の菅原大主幹教諭と佐呂間中の谷口千佳教諭、河田将斗教諭によるチーム・ティーチング(TT)で、1年生の数学科「資料の整理と活用」の授業を展開。生徒数が大きく異なる両校の生徒から得た生のデータを扱うことで、総数の違いに着目して比較する方法を考えさせた。
附属旭川中は、前年度からICT活用による授業支援や教員研修支援のライブ配信などを展開。学校規模の縮小や教員一人ひとりの負担増大、研修に参加しにくい現状などをはじめとする地域の現状や課題をICTで解決しようと研究・実践に取り組んでいる。
附属旭川中の菅原主幹教諭をT1に、佐呂間中の谷口教諭をT2、河田教諭をT3とした1年数学科のTT授業を展開。附属旭川中35人、佐呂間中38人の生徒一人ひとりが集中して思考できるよう、1人1台の端末を使って遠隔合同授業に臨んだ。
全13時間扱いの3時間目に当たる本時は、「データの分析」から相対度数の内容を学習。本時の目標を「度数の合計が異なるデータは、相対度数を用いることで比較できることを理解する」と設定した。
今回データとして扱ったのは、60秒間の時間の感覚を図る「60秒センス」の実験結果。附属旭川中1年生105人、佐呂間中38人から得た実験結果を示してどちらの時間の感覚が優れているか問うことで、生徒数の違いに着目しながら総数が異なるデータを比較するための方法を考えさせた。
冒頭、菅原主幹教諭は、一見すると附属旭川中の実験結果が優れて見えるヒストグラムを提示した上で、直観でどちらの学校が優れた結果と考えるか質問。
佐呂間中の谷口教諭、河田教諭と連携し、個人の思考を両校の生徒に尋ねながら、60秒に近い人数や外れ値の分布状況などに着目させた。生徒から「生徒数が違うので、このままでは比べることができない」などの意見を引き出し、解決の方法として「そろえること」「割合で考える」などの重要性を確認。個人思考を経て、佐呂間中の方がよい結果の生徒の割合が高いことを導き出した。
整理の場面では、過去の全国学力・学習状況調査に出題された問題を取り上げ、両校の学習内容の定着について相対度数を求めて比較させた。
今回の実践では、Zoomの投票機能を使って予想や考えの変容を可視化したほか、板書にはノートアプリGood Notesを画面共有して使用。
附属旭川中は、「日常的な授業におけるICT機器やアプリの活用を意識して授業を進めたことで、通常の授業では挙手で行っていた確認などを可視化して認識させることができた」とし、ICT等の活用が学習内容の定着や深い理解につなげる可能性を見いだしている。
遠隔合同授業を受けた生徒からは、
▽それぞれの中学校の名誉のために競い合ったので、話し合いが活発になった
▽見た目だけでは判断できない資料を比較する方法が分かった
▽授業ではZoomでみんなをつないでいるため、リアクションや伝え方を全員が工夫しているように思えた
▽Zoomを使うことで、接点のない人と意見が交流できたり比べたりすることができて視野が広がった
▽投票することができて、遠隔ならではの学びができた
▽自分たちと違う新たな視点での発表を聞くことができた
▽ちょっとしたハプニングがあったけど楽しかった。チャットを使ったらもっと深まるのではないか
―などの感想が挙がった。
(学校 2021-02-25付)
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